べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

研究進捗2017/12/27

今年も終わりに近づいてきました.今年は苦難の連続であった気がします.厄年だったからかな.厄払いしておけばよかったかもしれない.

 

・発表練習をやった.研究集会では,練習どおりきちんと発表できた気がするけど,みんなあまり興味なさそうだった.もっと自身の研究を知ってもらう努力が必要な気がする.

・実は学振DC1の面接を受けていたが,残念ながら補欠になってしまった.来年こそはしっかり採用されるよう頑張ろうと思う.いろいろ振り返ってみると,面接では申請書で書けていなかった点を質問されていたのかもしれない.来年はこれらを踏まえた上で再チャレンジしよう.

・Weak Neumann implies stokes の論文を読んだけど,境界が滑らかだから localization の理論を使って,即ち半空間の結果を使っていろいろやっているみたいだった.考えたい問題ではそうはいかないので,いろいろ工夫しないといけないのかもしれない.これについてはW-Kの2017年の論文が参考になるかもしれない.

・先輩から,半群の定義域についての指摘があった.感覚としては成り立っているけど,厳密にはどうか?というものだった.

 

<来週までの目標>

・W-K(2017)の論文を読む.アイディアをつかむ.

半群の定義域について,弱Lpを用いて特徴付けができるっぽいので,それをベースにやりたいことを示せるかもしれない.場合によってはB-Lの本を参考にする.

・1月の研究集会のスライドをチェックし,発表の原稿を作り,20回は練習する.今度は英語なので,発音にも気をつける.

・共同研究者と連絡を取り,議論の内容を絞る.

・論文を少し書き進める.

 

 

そういえば先日24歳の誕生日でした.

f:id:watanabeckeiich:20171227171251j:image

f:id:watanabeckeiich:20171227171330j:image

また,たくさん(?)のメッセージもいただきました.いろんな方々にこの場を借りてお礼申し上げます.

 

この1年を振り返ってみると,たくさんの方々にお世話になりました.来年もよろしくお願いします.ではみなさん良いお年を.

私の研究

そろそろ研究の進捗を書こうかなと思ったけど、先日の忘年会で「何書いてるかわからないから、数学わからない人にもわかるように書いてほしい」というリクエストをいただいた。そこで、今日は少し志向を変えて、私が何を研究しているのか、そもそも数学の研究とは何かをざっくりわかりやすく書いてみようと思う。

 

ブログを見てもわかるように、私の専門分野は「数学」である。数学の分野はざっくり言って、

1. 代数

2. 幾何

3. 解析

4. 応用数理・その他(統計などを含む)

の4分野に分けられるとされている(だいたいの大学の数学科ではたぶんこう分けている)。私はこの中でも「解析」と言われる分野を専攻している。解析の分野は物理現象を記述する方程式を『解析』するのである。

 

方程式の解析というと何やら難しそうに聞こえるけど、解析の分野の研究は

A. 解析を進めるのに必要な道具の開発

B. その道具を使って新しいことを見い出し、これまでにわかっている事実を改良する

の2パターンに分類されるかと思う。他分野もたぶん同じだけど、あまり詳しくないので、はっきり申し上げることはできない。すみません。ちなみに、最近世間を賑わせている(?)京大の望月先生の abc 予想の解決は上記の A と B の両方を含んでいると思う。イメージとしては、B をやるために A をやる感じ。研究を進める上で少しめんどくさいのは、すでにわかっている道具だけで研究を進められるかどうかわからないということである。従って、私の分野の研究は、A と B のどっちか?とははっきりいうことができない。ただ、私はまだ未熟なので主に B を目指して研究している。

 

解析では、主に物理現象を記述する方程式の「解」を解析することが仕事になってる。なぜ「解」を解析するのかというと、それが物理現象の「振る舞い」を表現するからである。例えば、天気予報では、『プリミティブ方程式』という方程式のもとに、数値計算をして、それをもって予測をしている(最近では、過去の気象データと統計学も用いているらしい)。この方程式の解がわかるということは、「いつどんな方向に」大気が動くのかがわかるということである。極論を言うと、解がわかれば、天気予報は毎回当たるということである。つまり、天気予報が毎回当たるとは限らないのは、方程式の解がまだよくわかっていないということである。

 

さて、やや抽象的な話になってきたので、具体的な話をしよう。今回のブログの目的は、私が何を研究しているのか、ということであった。私は今のところ、

・水と水蒸気がごちゃ混ぜになっているもの(水が水蒸気になったり、水蒸気が水になることも考える)

・境界が凸凹しているような水

の2つが主な研究対象で、これらを記述するような方程式の解が「いい性質」を持つことを証明しようと頑張っている。これはそれぞれ、

・海と大気の動き(両方を考える)

・船が浮かんでいる海の動き(船底は凸凹している)

を考えることに相当する。

 

ここで、「いい性質」とは何か気になるところだけど、簡単に言えば、解が「ちゃんと求められる・定まる」とか、これまでに知られていた結果を拡張するなどである。まあほかにもいろいろあるけど、要は「数学的においしい」内容を追求したいということである。場合によっては数学的に「残念な」結果があることもあるけど、それはそれでちゃんと論文となるので、解析の分野では研究において『捏造』はないと(たぶん)言える。

 

まあ何やらいろいろ難しそうだけど、すべてこれまでに勉強してきたことの積み重ねになっているわけです。何か特別な魔法を使いこなすわけでもないし、中学や高校で学んだ数学の知識もよく使います。研究には「遺伝子的な才能」はそこまで求められないと思います。それよりも、研究に没頭する『貪欲さ』が求められるのではないかと思います。これは「天才」と言われるテレンス・タオ先生(UCLA)も主張しています。

参考: Work hard | What's new

 

数学をはじめとする基礎研究は「役に立たない」かもしれない、それよりも研究は「知的好奇心の追求」なんだ、という声をノーベル賞の受賞者の発表の時期になると毎年見かける気がする。それを聞くと、「なるほど、研究とは暇つぶしなのか」と思うかもしれない。しかし、研究というのは「プロジェクト」であって、「暇つぶし」ではありません。つまり、研究にはその目的(意味)とゴールが明確に決まっているということです(最近では予算の関係から期間も加わっていると思う)。最近ノーベル賞を受賞した大隅良典先生の「役に立たない研究をしよう」という発言が話題になったけど、彼は決して「意味のない研究をしよう」とは言っていない。役に立つかどうかはとりあえずおいといて、「意味のある」研究をこつこつと重ねていくことが大事だと思います。

 

せっかくのクリスマスイブに読んでくれてありがとうございました。では。

研究進捗2017/12/17

先日帰国しました.実りある海外派遣であったと思います.お世話になった方々に感謝してもしきれません.

 

・研究集会のアブストラクトを提出し,発表用スライドも完成させた.

ポスドクのTさんと議論の末,圧力の減衰評価ができた.また,半群の生成に必要なレゾルベント評価の導出に成功した.次の課題としては R-有界性を示すこと.

・論文を加筆した.残りは非線形項の評価を書くだけだ.

・印刷した論文を整理した.

 

<来週までの目標>

・発表用原稿を作成し,発表練習を20回はやる.

・R-有界性の復習をする.

非線形項の評価を書いて,論文の完成を目指す.

・"Weak Neumann implies Stokes" の論文を理解する.

 

やることがたまってきましたが,こつこつ頑張ろうと思います.では.

研究進捗2017/12/10

雪はほとんど降らないと聞いていたのに、めっちゃ雪が降ってて動揺してます。

f:id:watanabeckeiich:20171210215851j:image

それにしてもドイツの方々はほとんど傘を差さないのは何故なんだろう。

 

そういえば投稿していた論文が無事アクセプトされ、オンラインで公開されました。

Compressible–Incompressible Two-Phase Flows with Phase Transition: Model Problem | SpringerLink

相転移を伴う圧縮・非圧縮の二相問題を扱った論文です。引用してもらえるとうれしいです。

 

・圧力の減衰評価が少し間違っていたことが判明した。ただし、 L2 では正しい。それにしても Lipschitz 領域における研究は難しいな。

ポスドクの方が言うには、複素補間を用いれば Lp に拡張できると言われた。正直なところ、Lp の結果と L2の結果を複素補間を使って Lp の結果が出るだろうか。なんか間違ってる気がするな。

・現時点で分かっていることを Latex でまとめた。

・出来上がった論文について、非線形まで扱ったほうがいいという意見をいただいた。

 

<来週までの目標>

・研究集会のアブストラクトを提出する。また、発表用のスライドも作成する。

・圧力の評価を再考する。帰国前にポスドクの方とミーティングを行い、今後の方針について話し合う。

・論文を加筆し、非線形まで扱う。できれば書き終えたい。非線形までやるなら等温に限定しないほうがいいかもしれないけど、それはページ数と相談しよう。

 

 

いよいよ帰国まであと数日となりました。たぶん帰国後も引き続き同じ課題に取り組むことになるかと思います。なるべくポスドクの方や受け入れ先の教授の方からアイディアを盗みたいと思います。これはインパクトのある研究なのでなんとしてでも成功させたいですね。頑張ります。では。

研究進捗2017/12/1

忙しい1週間でした.温泉に入りたいです.

 

・面接の練習,質疑応答の対策を練って面接に臨んだ.概ね予想通りの質問をいただいた.全力を尽くしたと思う.ただし,スライドのコピーを忘れたことに,会場に向かっている途中で気づいたときはさすがに焦った.気づいてよかった.

・完成した論文について先生と議論した.

・学会のアブストラクトを書いて,一般講演を申し込んだ.

・昔のノートを復習して LaTeX にまとめ,ホームページで公開した.

リンク: https://sites.google.com/site/wasedakwatanabe/memo

 

<来週までの目標>

半群の減衰評価をまとめる.

・論文をもう一度チェックして,投稿する.

 

気づいたら12月です.帰国まで2週間ほどになってしまいました.残り1ヶ月も頑張ろうと思います.

研究進捗2017/11/24

クリスマスマーケットが始まって街が少し華やかになりました。ところで、今年のクリスマスには研究集会があるのでクリぼっちは回避できそうです(?)

 

・圧力の減衰評価の証明に成功した。

・発表練習を65回やった。原稿も暗記した。

・質疑応答で答える練習を少しやった。

 

<来週までの目標>

・発表練習を25回やる。

・質疑応答の対策を練る。質疑応答で答える練習をやる。

・面接を頑張る。緊張するだろうけど、頑張ろう。

・先生と出来上がった論文について議論する。

・学会のアブストラクトを書く。

作用素の減衰評価を出す。

 

いよいよ面接までわずかとなりました。特別な研究員と認められるよう頑張ります。

研究進捗2017/11/17

とても寒いです.温泉行きたい......

 

・論文が完成した.面接が終わったらもう一度チェックしよう.

・面接の練習を10回やった.なんとなく原稿は暗記できてきたけど,途中噛んでしまう.時間はぎりぎりぐらい.

・質疑応答の対策を考えた.

ポスドクの方にわからない点を聞いた.有界領域での結果がまだ十分でないことが発覚した.一番の課題は圧力の減衰評価を示すことになった.

 

<来週までの目標>

・面接の練習をあと90回はやる.原稿も覚える.

・質疑応答で答えがスラスラ言えるよう練習する.

 

いよいよ面接が近づいてきました.私は昔から本番は緊張してしまうタイプです.どんなに練習しても緊張する気がします.緊張しても話せるくらい練習を頑張りたいと思います.