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べっく日記

偏微分方程式を研究してるM2の日常

マイナス金利が義援金に与えうる影響。

4月14日に発生した、熊本県震源とする熊本地震から4日経った。また、昨日エクアドルでも地震が発生した。亡くなられた方々に哀悼の意を、被災された方々にお見舞いの意を表します。

 

2011年の東日本大震災が発生したときは私はまだ高校2年生(新3年)で、まだアルバイトをしていなかったこともあり、10円程度しか寄付しなかった気がする。しかし、今ではアルバイトをするようになり、少額ではあるが毎月安定的な収入を得られているので、今回は義援金を送ろうと思う。

 

さて、私の趣味であるTwitterを眺めていると次のようなツイートが目に入った。

 

 

私がこれらの一連のツイートをリツイートした結果、これらに対して納得がいかない人が少し見受けられたので、これらについての解説を書き、少しでも多くの人が義援金を送ることを願いつつ記事を書くことにする。

 

 

《1.日銀とは》

 

マイナス金利とかを説明する前にそもそも日銀とは何なのか、ということから始めなければならない。日銀とは正式名称は日本銀行の日本の中央銀行である。日銀には様々な働きがあり、主要なものとしては

1.紙幣を発行すること

2.銀行の銀行の働きをする

3.政府の銀行の働きをする

4.金融政策を行う

の4つがあげられる(ほかには経済統計の作成や公表など)。では、なんでそんなことをするのかというと、日銀の目標である「物価の安定、経済の健全な発展」を成し遂げるべく、紙幣の刷る枚数をコントロールしたり、金融政策を行ったりしているのである。大変だね。ちなみにあまり知られていないが北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の代表を務めていた横田滋氏は日銀で働いていて、定年退職したそうだ(Wikipediaより)。

 

さて、そもそも「金融」とは何なのか。金融とは簡単にいえばお金の貸し借りで、ではなぜ貸し借りが発生するかというと、お金が余っている人から足りない人に融通するからなんだな。我々一般人や企業に対して行うのが銀行で、同様のことを銀行にやっているのが日銀である。

 

では次に、日銀の働きについて探ってみる。

 

―1.紙幣を発行する

 

日銀は紙幣、つまり1万円札とかのお札を発行することのできる唯一の機関である。ちなみに、100円玉とかの硬貨は発行していない。紙幣は我々からしてみれば資産のように感じるけれども、日銀からすると資産ではない。そりゃ自分で自分の資産を勝手に増やすことができたらめちゃくちゃになることは容易に想像できる。財布の中にあるお札をよく見てみると「日本銀行券」と書いてあるはずだ。というか書いてなかったら偽札だ。お札は簡単にいえば「券」なのである。

 

今でこそSuicaPASMOでピッピッと電車に乗れるようになったが、10年くらい前までは電車に乗る際には切符、すなわち乗車「券」を購入したはずだ。乗車券は乗客が鉄道会社にお金を払う代わりに電車に乗らせてもらうというメリットを享受することができ、一方で鉄道会社は電車を走らせる代わりに乗客からお金をもらうメリットを享受している。鉄道会社を日銀、乗客を銀行と見てみると、銀行は日銀から「日本銀行券」を受け取る代わりに、銀行が日銀にとって何かメリットとなるものを渡していると考えることができる。そこで登場するのが国債である。国債こそ、日銀にとって「資産」なのである。

 

といっても、日銀は好き勝手にお札をすることができるかというとそういうわけでもなく、毎年決まった量しか刷ってはいけないことになっている(新しく刷るのはぼろぼろのお札の交換のため)。では今述べたこと、すなわち日銀が銀行から国債をまとめて買う場合、お金は日銀から銀行に移る。これによって市場に出回るお金の量が増える。ざっくりいえば、世の中にお金が増える(はず)なので、お金の周りがよくなり、景気が良くなる(とされている)。血が増えれば血流が良くなり健康になるっていう感じだ。このことは買いオペって言われて、マネーストック(旧:マネーサプライ通貨供給量)を増やす手法の一つである。この逆は売りオペって言われ、買いオペと合わせて公開市場操作と呼ぶ。

 

まあ、厳密にいえばお金の流通量が増えればお金の価値が下がるので、一つのものを買うのにより多くのお金が必要になる、すなわち物価が上昇し、逆に減ればお金の価値は上がるので、一つのものを買うのにより少ないお金で十分になる、すなわち物価が減少する、ってこと。

 

 ―2.銀行の銀行

 

日銀は銀行からお金を預かったりもする。我々が銀行にお金を預ける際、預金金利は0.025%だが、銀行が日銀にお金を預けた場合の金利は0.1%であった(マイナス金利導入前)。銀行我々一般人から預かったお金を日銀に預けるだけでお金を増やすことができるのは容易に理解できる。例えば我々一般人が1000万円銀行に預金したらその1000万円をそのまま日銀に預ければ1001万になって戻ってきて、そのうち我々に返さなければならないのは1000万250円なので、銀行は9,750円の得になるのである。

 

銀行とは本来ならば、お金を借りたい人に融資するのが主な仕事であるはずなのに、融資せず、保有するお金を日銀に預ける、つまりお金を貯めこんでしまっていたわけなんだな。そこで待った!と声をかけたのが日銀だったわけ。

 

―3.政府の銀行

 

あんまりたいしたことなく、また今回の説明には不要なので省略。

 

―4.金融政策

 

金融政策といえば金利のコントロールが思い浮かぶが、それだけでなく、日銀の当座残高量のコントロールも含まれる。金融の引き下げではなく、当座残高量を拡大する金融政策のことで、これが量的金融緩和政策といわれる。うん、アベノミクスで聞いたことあるやつだな。

 

www.nikkeibp.co.jp

こちらの記事によれば

平時であれば金利を下げていけば、経済刺激効果が出て、景気は回復する。しかし今の日本のように深刻なデフレに陥ってしまうと、政策金利をゼロにまで持っていっても十分な景気刺激効果を発揮することができない。

 と書いてあるように、まさに日本が陥った「罠」である。こちらの記事に書いてあるように、デフレを脱却するにはデフレマインドの払拭、つまり、「将来のためにお金を貯めなくちゃ!」と過剰に貯蓄するような状況の脱却が重要なのである。

 

デフレ脱却の試みは今に始まったことではなく、私が生まれる前、つまりバブル崩壊後すぐに始められたのはあまり知られていない気がする。このときは金融政策ではなく、財政政策によってデフレ脱却を試みようと思ったわけ。公共事業を増やすとGDPが増えるから…ってことでダムを作ったりしたけれども、結局は失敗に終わったんだな。このとき乗数効果を期待して、いわゆるケインズ政策を行って、上手くいくはず…がうまくいかなかったのである。

 

《2.マイナス金利とは》

 

 さて、日銀と銀行との関係が少しわかったところで、本題のマイナス金利について説明することとしよう。先ほど、銀行は日銀にお金を預けるだけで利子が0.1%つくと説明したが、実はこれが少々複雑なのである。これをしっかり理解することがマイナス金利の理解につながるのである。

 

我々が銀行にお金を預けるとき銀行の口座にお金を預けるのと同様に、銀行が日銀にお金を預ける場合も、銀行は日銀の口座にお金を預ける。この「口座」は日銀当座預金といわれる。我々と少々違うのは、準備預金を用意しなければならないことである。準備預金とはいわば銀行の保証金みたいなもので、規模に見合うだけの準備預金を用意しなければならない。当座預金残高から準備預金を引いた額は銀行は出し入れが自由である。

 

銀行は日銀にお金を預けるだけで利子がつく、といった話をしたけれども、その利子こそ「基準割引率および基準貸付利率(旧:公定歩合)」と呼ばれる。しかし、本来当座預金にかかる「利子」は0なので、日銀にお金を預けても意味がない…はずなのに、銀行は日銀にお金を預けたままにしていたんだな。

 

日銀の資料によればマイナス金利について次のように書かれている。

日本銀行当座預金を3段階の階層構造に分割し、それぞれの階層に応じてプラス金利、ゼロ金利マイナス金利を適用する。

1.3段階の階層構造

(1)基礎残高(+0.1%を適用) 「量的・質的金融緩和」のもとで各金融機関が積み上げた既往の残高については、従来の扱いを維持する。具体的には、各金融機関の日本銀行当座預金残高のうち、2015 年1月~12 月積み期間(基準期間)における平均残高までの部分を、既往の残高に対応する部分として、+0.1%を適用する。

(2)マクロ加算残高(ゼロ%を適用) 以下の合計額にはゼロ%を適用する。 ① 所要準備額に相当する残高 ② 金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給 を受けている場合には、その残高に対応する金額 ③ 日本銀行当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案して、適宜のタ イミングで、マクロ加算額((1)の基礎残高に掛目を掛けて算出)を加算していく。

(3)政策金利残高(▲0.1%を適用) 各金融機関の当座預金残高のうち、(1)と(2)を上回る部分に、▲0.1% のマイナス金利を適用する。

 

 まあ、なんとも難しい感じだ。ざっくりいえば

 

日銀は当座預金を次のように分割してそれぞれに別の金利を適用する。

(1)いままで残高の分には0.1%の利子をつける

(2)準備預金+【(1)に何か掛けた額=マクロ加算額 】は無利子

*東日本で被災した東北地方の金融機関が借りて得たお金に関しても無利子

(3)(1)、(2)以外の分にはマイナス0.1%の利子をつける

 

 ってこと。うん、すっきり。

 

《3.マイナス金利義援金に与えうる影響》

 

さて、ここからが本題である。最初に紹介したツイートにもあったように、義援金受け入れが地方金融機関(地銀)だと、負担が重い。というのも義援金が、さっきマイナス金利を説明した際に出てきた日銀の当座預金の(3)のパターンに入ってしまう、つまり、義援金マイナス金利の対象になってしまうからである。また、被災した場合、より一層貯蓄志向が強まるので、銀行の日銀当座預金残高がかなり増大することになる。これによって地方金融機関は「想定」をはるかに上回るマイナス0.1%の利子の分の額を日銀に払わなくてはならない。どう考えても、地方金融機関の負担が重すぎる。

 

では、地方金融機関ではなく、メガバンクUFJ、住友、みずほ)から赤十字義援金を送った場合はどうなるのか。メガバンクの場合は、マイナス金利の説明で登場した(1)基礎残高 の額が多いので、義援金がかなり集まって、日銀当座預金残高の額が増えたとしても、金利のプラス分が金利のマイナス分を上回るので、地方金融機関ほど大きな負担にはなりえない。赤十字も、地方金融機関よりも多額のお金を扱っている組織なので、赤十字に振り込もう、というのも、メガバンクと同じ理屈である。

 

結局まとめると

ってことですね。

 

被災地のみなさまの無事といち早い復興を願っております。