べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

イギリス滞在記 part 1。

さて,イギリスに来てから約1週間がたちました.こちらは日本よりもやや寒く,季節は完全に秋という感じです.プログラムの参加者の中に日本人っぽい名前の人がいましたが,生まれも育ちもイギリスのようです.私と日本語で会話するような気配は全くありません.Line で電話をするような相手もいないので,日本語をかれこれ1週間ぐらい話していません.こんなことは人生で初めてです.


前回の記事はこちら:
watanabeckeiich.hatenablog.com


目次:

09月09日(Day 01 / 98)

キックオフキャンプが行われるレディングに到着.泊まる部屋は大学の寮で,部屋の大きさは日本のビジネスホテルと同じぐらい.日本と同様に,ここの水道水は飲めるようです.どこに水が売っているのかわからないので,これは大変ありがたい.


さて,夜にピザパーティーがありました.アルコールがメインでない懇親会というのは新鮮だけど,もしかしたら経費を節約しているだけかもしれない.ちなみに,参加者はほとんどイギリス育ちのネイティブで,聞き取るのに精一杯だった.まあ,全部聞き取れていたわけではないけど.というより,みんな英語が流暢過ぎて笑う.感覚的にはずーーっと海外ドラマを見ている感じ.疲れちゃう.ちなみにこのとき,隣の席に座っていたイタリアのイケメン,マイケル君と仲良くなる.


懇親会では,数学についての会話ではなく,ただの雑談なので,知っている背景が異なりすぎて話の内容があまり理解できなかった.日本でいうと,「私大阪出身!」「おれは京都だよ」「わあ!近いねー」みたいな会話が繰り広げられていたと思う.マンチェスターってどこだよって感じだった.


そういえば,「名前は〇〇だよ,よろしくね」って言うときに,だいたいの人は名前を省略していた気がする.例えば,Thomas って名前の人は Tom って略していたし,Ryosuke って名前の人は Ryo (発音:ríːo)と名乗っていた.自分もそうすればよかったかな.


09月10日(Day 02 / 98)

さて,キックオフキャンプ初日.私は "visiting student" ということで他の人とはいろいろ違うということを痛感された日だった.午前中は,先生方との顔合わせ的なコーヒータイムがあって,その後 Macbook が配布された.私はもらってないけど.Phython の講義が午後からあるということで部屋にパソコンを置いてきたけど,早速講義っぽいことが始まってしまった.ふつうに困る.


少し経ったあと,ウェブサイトに挙げる用のみんなで集合写真を撮るね,ってことになったけど,私は visiting student ということではぶられてしまった.悲しすぎる.その後,私と写らなかったスタッフ(学生)も交えて集合写真を撮った.


時間的に昼食かなあと思ったので,写真を撮ったあと部屋にパソコンを取りに戻った.でも,戻ったら説明が始まっているし,TA 的なお兄さんに「Windows かあ」ってがっかりされるし,なんかいろいろつらかった.どうやら Mac がふつうらしい.


Python の講義をやることは知っていたので,あらかじめインストールしておいたんだけど,Git の使い方についての講義だった.Git を使えるように設定している間に講義はどんどん進むし,結局よくわからないまま講義が終わってしまった.泣きそう.


さて,午後の後半の時間は,みんなと仲良くなるためのアクティビティーだった.仲良くなれたらいいなあって最初は思っていたけど,私は英語が流暢ではないので,簡単な会話ぐらいしかできなかった.アクティビティーの中で,みんなの出身地を知ることになった.イギリス以外の出身の人は私を除いてみんな EU 圏の人で,イギリスの大学の出身っぽかった.もう少しノンネイティブの人がいるかなあって思っていた私にとって,ショッキングな結果であった.英語をまじめに勉強してなかったことを反省した瞬間でもあった.


部屋に戻る帰り道に,私のことを心配してくれた(?)マイケル君が「ぼく使っていない Macbook あるから貸してあげようか」と言った.イケメンかよ.ただ,私は頑張って設定を終わらせたことと,もし借りることになったら12月までずっと借りることになりそうでそれは申し訳ないなってことで,マイケル君の申し出を断ってしまった.マイケル君ごめんね.


さて,アクティビティーのあとはBQQだった.20~30分に一度くらいのペースで会話に参加していたと思う.やっぱりね,背景をよく知っている数学の話だったら「まだ」話せるけど,しょうもない(?)雑談になったら無理だよね.とりあえず,ロンドンの物価はめちゃくちゃ高いことはよくわかった.ふつうのアパートの家賃が 1000 ポンド(14万円)って高すぎるでしょ.


09月11日(Day 03 / 98)

昨日に引き続き,朝ごはんを食べなかった.いままでこんなことなかったのに.部屋に冷蔵庫ないのはつらいよね.共用の冷蔵庫はあるけど,どれが自分のかわからなくなるからあまり使いたくないのよね.


午前中は Terry Davies 先生の講演.天気予報についての講演だった.自分の研究テーマと関連する内容だったので,興味深い話であった.いろいろ学ぶことができたと思う.途中で隣の席の人とディスカッションする時間が少しだけあったけど,語彙力がなさすぎて,思っていたことを十分に伝えることができなかった気がする.glaciology なんて言葉,初めて聞いたわって感じ.


昼食は学食的なところで食べたけど,高くて笑う.想像していたよりも 1.5 倍くらい高かった.あんまりおいしくなかったカレーっぽいやつで 4.6 ポンド(660円)なんだもん.一応,キックオフキャンプ中は,7ポンドの食券をもらえるからいいけど,キックオフキャンプ終わったらどうしよう.


午後は Python の講義.昨日に引き続き,Git を勉強するのかなって思ったら,そうでもなく,Python の講義をやるらしい......と安心していたのも束の間だった.何か設定を間違えていたために,jupyter notebook が起動しないトラブルが発生してしまった.いろいろググったりしたけど,結局再インストールすることで,事なきを得た.Anaconda さえインストールしておけばいいよねって思っていたけど,何がだめだったんだろう.


私がPython とかをインストールしている間にも講義は止まらない.研究費で Macbook 買っておけばよかったな.本当に.途中で追いつくことはできたけど,肝心のプログラムの組み方はあまり聞いていなかった.となりに座っていたイケメンのニコル君にいろいろ教わった.ありがとう.


講義の趣旨的には,一から教えるねって感じなんだけど,ほとんどの人がプログラミングの経験者だったので,進行具合がめちゃくちゃ早かった.てか,日本語で説明されても理解できるか怪しいと思う.夜に復習したらある程度理解できたけど,たぶん復習をサボると詰むやつだね.次回の講義が来週だから,次回以降は大丈夫なはず.


09月12日(Day 04 / 98)

だんだんこっちの生活に慣れてきて日本の生活が恋しくなってきた頃.音楽とかツイッターとかで寂しさを紛らわすしかないのかな.というか今回は全然時差ボケしていない気がするな.飛行機の中で赤ワインを飲んで寝たのが良かったのかな.わかんないけど.


午前は講義......と思いきやがっつりグループワークだった.議論に参加しようと思ってもなかなかついていけないし,かなり足を引っ張ってしまった気がする.なんか聞いたことすらない単語が飛び交っていた.もっと英語勉強しなきゃ.


午後は Ted Shepherd 先生の講義.内容的には昨日の続きっぽい感じ.実際の気象予報士からいろいろ話を聞くというのは,なかなか貴重な経験であるような気がする.後半の内容はよくわからなかったけど,周りの人もよくわからなかったみたい.いろいろ方程式を知ることができたことは良かったと思う.


その後は Maths Refresher という講義.何をリフレッシュするのかよくわからないけど,プログラムに参加している学生のバックグラウンドは様々だから数学の復習をしようみたいな講義だった.今日はベクトル解析について扱った.


最後は,昨日の Davis 先生と今日の Shepherd 先生の講義を自分なりに理解しようというグループワークだった.どうやら最終日に発表するらしい.自分のグループでは浅水波の方程式の導出とかとそのシュミレーションみたいなことをやることになった.自分のグループに物理学科出身の人がいたからその人が終始仕切っていた気がする.私の出番はなかった.


夜はプログラムのメンバーと駅前まで一緒に歩いて,ハンバーガーを食べた.グループディスカッションとか,雑談に積極的に参加する,ということはなかなか難しいけど,質問されたら答えるということぐらいは抵抗なくできるようになってきた気がする.英語がへたくそなのは仕方ないとして,話せるときに話そうと思った.ハンバーガーはおいしかったけど,一緒に頼んだワイン(シェアした)と合わせて16ポンド(2300円くらい)だった.物価高いなあ.破産しちゃう.


09月13日(Day 05 / 98)

昨日,実は,仲良くなったマイケル君が失踪というか講義に一切参加しなかったんだけど,今日も姿を現さなかった.何かあったのかな.ちなみに,イギリスに来て初めて太陽を見た日であった.


今日の午前は,昨日と同様,グループワークだった.正直,議論に積極的に参加できたとは言いがたかった.ただ,内容は非常に面白かった:アフリカの子供を学校に6年間通わせようというゲームだった.ゲームの詳細をここに書くと長くちゃうから,気になる人は個別に連絡をください笑.とりあえず,6年間継続して子供を学校に通わせることは難しいんだなあって思った.


午後の最初の講義は,Maths Refresher だった.確率論(の初歩の初歩)と測度論について扱った.確率論を授業を聞いてなかったということもあってあまり好きじゃなかったけど,意外と面白そうな気がしてきた.今後の講義で確率論を扱うから,一度ちゃんと勉強するいい機会な気がする.一応確率論の本持ってきているし.またホームページに挙げられたらいいなあ.


午後の最後の講義は......ちょっとよくわからなかった.これまでと同様に,気象についての話で,シュミレーションとかの話だったけど,スペクトルが~~とか言われても良くわかんないんだよな.スライドの字も小さかったし......そして何より,グラフが何を表しているのか良くわからなかった.あの先生は何を伝えたかったんだろう......


そういえば今日ひさびさに Research gate を開いたら,顔見知りのO大のHさんにフォローされてた.ありがとうございます.ただ,同じ分野の人だけフォローしたいのでフォローは返さないです.すみません.将来分散型偏微分方程式を研究することになったらフォローしたいと思います.あと,ロシアのD先生がarXivに挙げた論文を読んでくれたみたいだ(Research gate には誰が論文を読んだかを知らせてくれる機能があるっぽい).ちょっとうれしいけど,彼女は私と同じ問題に興味がある,ある意味ライバルなので負けないように研究を頑張らなきゃいけないなと思いました.


09月14日(Day 06 / 98)

友人と新橋で飲んでから1週間ですが,とても遠い昔のように感じます.1週間しか経っていないのにね.


午前は雲に含まれる氷晶に付いての講義だった.最初の導入では,雲は水蒸気ではないということからスタートして,なかなか面白い話だったけど,案の定(?)後半はがっつり物理という感じで完全には理解できなかった.参考文献を知ることができたのはいいことだと思う.


午後は流体力学についての講義だった.まず実験をして,その後そのメカニズムについて説明する,といったスタイルだった.密度の異なる二相流体がどのように混ざるかという実験は面白かった.その理論はところどころ近似を用いていたけど,もっと厳密に考えると面白いかもしれない.


夜は卓球バーみたいなところに行った.オプショナルなイベントだったけど,みんな参加していた.ここではピザを食べた.帰ろうかなあってときに別のバーに行こうみたいになった.彼らについていったのは,私は帰り道がわからないためである.早く道覚えなきゃ.私は10時半くらいにほかの人たちと抜けたけど,まだ残っている人もたくさんいた.どんだけ元気なんだよ.

09月15日(Day 07 / 98)

目覚ましをかけずに寝てたので10時くらいに起きた.知らない間に疲れがたまっていたかもしれない.まあふつうに考えて毎日10時から17時まで講義(っぽいの)があるし,寝たのが遅かったしね.


今日のお昼はサンドイッチ.イギリスに来て1週間経つけど,サンドイッチをすでに4回くらい食べている気がする.今日は暖かったので外のベンチで食べた with コーラ.太りそう.


午後のメインイベントはクライミングである.オプショナルなイベントなので,参加してない人もいたけど,ほとんどの人が参加.場所は Reading Clibming Centure だった.インストラクターの指示がところどころ聞き取れなかったのは内緒です.

リンク: Homepage - Reading Climbing Centre



なんか久々に運動っぽいことをした気がする.クライミングの後,ボルダリングがあったけど,握力が弱くなっていたので,あまり楽しめなかった.運動不足......というよりは握力が弱すぎるのかな.トレーニングしなきゃ.


その後,みんなとエチオピア料理のお店に行った.まあまあおいしかった.今日ようやく(?)気づいたけど,だいたいのお店では水は無料で提供されるみたいですね(レディング地区だけかもしれないけど).



いろいろ苦労した1週間でしたが,あっという間だった気がします.バックグラウンドの異なる方々との交流も非常に有益であったように思えます.Kick-Off Camp も後半に差し掛かります.木曜日に発表を控えていますが,発表時間は(一人あたり)5分なので,ちゃんと準備すれば大丈夫かなと思います.長くなってしまいましたが,今回はこの辺で失礼します.