べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

研究進捗2018/12/28

研究進捗を書くのは8月ぶりです.なんか思っているよりも多くの人(しかも知り合い)がこのブログを読んでいるみたいです.ありがとうございます.この点を考慮して,今後は支障のない範囲で詳細に研究の実施状況を書いていこうと思います.といってもあまり変わらないかもしれません.


<これまでの進捗>

・学振DC2に採用されました.申請書を読んでいただいたみなさま,本当にありがとうございました.優秀な同期のT君や他大の同期なども面接なしで採用された.めでたい.一方で面接の結果はまだ出ていないみたい.面接になった方々可愛そう.

・レクチャーノートをいくつか書いた.ところどころ誤植はあるので,見つけた方は教えていただけると助かります.個人的にはベゾフ空間とフーリエ・マルチプライヤーのノートは良くまとまっているかなと思う.

・共同研究で取り組んでいる外部リプシッツ領域におけるストークス方程式の研究があまり進まなかった.ストーク半群が解析半群になることは春ぐらいにはわかっていたけど,有界になるかどうかはまだ解決できていない.本当は春の学会で発表したかったけど間に合わなかった.ただ,証明のアイディアは洗練されてきて,あとは細かい計算のチェックだけで済むと思う.たぶん来年の秋の学会では発表できると思う.

・3月に投稿した論文が先週ようやく Under review になった.何度も問い合わせたことが良かったのかもしれない.8月に投稿した論文も査読中らしい.3月に投稿した論文の査読結果が出るまでは二相流の研究は放置(注:指導教員も承認済み).

・9月から12月までイギリスに派遣された.英語は勉強しなきゃだめだなって思った.留学の模様は「イギリス滞在記」シリーズを見てください.おかげでいろいろ学ぶことができた.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式の研究を始めた.特性根を求めることが難しいので工夫する必要がある.年末年始に頑張って計算しよう.


<今後の研究目標>

・投稿している論文の査読結果を気長に待つ.頑張って待つ.でも,できれば来年の夏くらいまでには査読レポートがほしい.

・もし投稿した論文がどこかにアクセプトされたら二相流の研究を再開する.もしかしたら解の減衰レートが一相流の場合と異なるかもしれないけど,だいたいのアイディアは一相流のものを使えばいいと思う.たぶんこれは計算が頑張ることが主な仕事になると思う.これはたぶん良い論文になることでしょう.

・外部リプシッツ領域において,ストーク作用素有界な解析半群を生成することの証明を完成させる.またその論文を投稿する.たぶん大変良い論文になることでしょう.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式を全空間および半空間で解析する.残念ながら何を解析するかはここでは書けない.たぶんこの研究はポスドク時においてメインの研究となることでしょう.これも大変良い論文になることでしょう.とりあえず全空間における解析は来年の秋の学会で発表できるよう計算を頑張りたい.

・上の研究課題で,全空間の論文が書けたら,半空間での解析と平行して,重力がある場合の解析も始める.これも大変良い論文になるでしょう.

・上の研究課題で,頭が良くなったら Imcompressible limit についても考察する.完璧な考察ができればこれも大変良い論文になることでしょう.

有界および外部リプシッツ領域におけるストークス方程式の時間周期解の研究を始める.難しいので数年がかりの研究になることでしょう.でもできるはず.

・外部リプシッツ領域で境界がぐるぐる回転する問題を考えてみる.これは去年ダルムシュタットに行ったときに,Hieber 先生から提案された問題.これは共著論文が書けたら取り組む.これも難しいので数年がかりの研究になることでしょう.これは難しすぎたら諦める.

・気が向いたら最大正則性に関する一般論を勉強する.多くの場合,劣臨界な場合しか考えていないので,臨界・超臨界な場合はどうなるのかを調べてみる.これは単純に趣味なので一生懸命取り組んだりはしない.

・時期は未定だけど,来年はアメリカに派遣させていただく予定なので,英語の勉強を頑張る.まずは発音から勉強する.加えて,できれば語彙力を増やす.可能だったら英検を受ける.

・再来年,学振PDに応募することを見据えて,来年は論文を3本は書く.学振PDは(数学ならば)4本アクセプトあれば業績的には問題ないはず......二相流以外で3本分のネタはある(というよりいま共著で1本書いている)のでたぶん書けるでしょう.また,今後のキャリアを考えて,なるべく有名なジャーナルからアクセプトがもらえるよう頑張る.

・自主ゼミをする.現在候補としては Tai-Peng Tsai 先生著の "Lectres on Navier-Stokes Equations."

リンク:Lectures on Navier-Stokes Equations

ということで,誰か一緒に読みましょう.ところで,1年前は知らなかったけど,タイトルで冠詞は省略できるから,この本のタイトルが Lectres on the Navier-Stokes Equations となっていないのは間違いではないんだよな.英語って不思議ね.


今後も頑張ります.来年の頑張りが今後の人生を左右するような気がします.ではみなさん良いお年を.