べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

アメリカ滞在記 part 14(最終回)。

いよいよこの『アメリカ滞在記』も最終回です.昨秋のロンドンの滞在に比べて,1日だけ多く派遣されましたが,意外にも前回よりも時間の経ち方が早かったような気がします.歳をとると時間の感覚が変わるといわれますが,その通りなのかもしれません.しかしながら,時間は不変な量として考えられている(という世界に私は住んでいる)ので,歳を重ねるごとに人生の質を高めていかなければ,自身のQOLを保つことが難しくなるような気がします.人生の質を高める一番簡単な方法は「経験」を積むことだと考えます.自身にとって良い経験も悪い経験もそこから何か得てなおかつその後の人生に活かすことが重要だと思います.今回のピッツバーグ滞在から何を得られたのかな,と振り返ってみると,研究を思うように進められない自分の未熟さだったかなと思います.帰国後はもっとちゃんと研究や勉強に取り組みます.


前回の記事はこちら:

watanabeckeiich.hatenablog.com


目次:

08月25日(Day 93 / 100)

今日も Thomas 君と親睦を深めた.彼は早稲田に何度か来たことあるし,共通の知り合いや知人が多いということもあり,いろいろ話が盛り上がった(と信じている).2年前にダルムシュタットに派遣されたけど,とても優秀なイケメンドイツ人と共同研究ができたり,知り合いが増えたりしたことを考えると,とても有益だったなと実感した.派遣プログラムのコーディネーターだった小薗先生ありがとう again.当時は学振DC1 の面接の準備などでいろいろ憂うつだったし(結局面接は落ちた),滞在先の部屋で火災報知機を2度鳴らしたり,ドイツ語がわからない上に寒かったので外出せずにずっと部屋に閉じこもっていたりといろいろ大変だったけど,それらも含めて,今となってはいい経験・思い出だ.


ドイツの博士課程の学生は,日本とは違い,学位取得後にポスドクなどで大学に残り続ける人は少ない(およそ10%くらい?)だけど,彼はアカデミックな道を希望しているようだ.やっぱり優秀な人はちゃんと大学に残る傾向にある気がする.日本とは大違いだ.どこでポスドクをするかはまだ決まっていないけど,Galdi 先生が予算を獲得したらピッツバーグポスドクをするかもしれないとのこと.でも,早稲田の可能性の一つとして挙げられるよって言ってた.世界的に見ると外国でポスドクの経験を積むのが当たり前な気がする.自分もそろそろポスドク(または助手助教)をどこでやるのかいろいろ考えないとダメだよな.海外は嫌だなあとか思っていたけど,そんなわがままなことを言っている場合じゃないよな.英語勉強しなきゃな.


彼と自然に触れ合った後,帰宅した.明日の弁当の準備でもするかーとか思って冷蔵庫をのぞいたら誰かが私が金曜日に作ったものを食べたようだ(しかも食べかけ).マジでだれだよ......しかも瓶に入れてあったピクルスもかじった跡あるし......めっちゃ萎えたし,キレそうになった.キレたけど.誰かの食べかけを食べようとも思わないし,衛生面も考慮して,残りはすべて捨てた.農家のみなさんごめんよ......シェアハウスは善意のない人も滞在することがあるんだね.学習した.ここの家に滞在するのも1週間弱なので,残りの日は外食などで済ませることにしよう.とりあえず,airbnb を通じて,ホストの人に連絡した.

08月26日(Day 94 / 100)

ホストの人からメッセージが届いていた.ほかの滞在者に事情を聞いてみるねとのこと.こういう対応の早さがホストの高評価につながっているんだろうな(airbnb ではホストの人は滞在した人から評価されるシステムになっている).


朝起きてキッチンに向かったら,カーネギー・メロン大学で数学の講義を持っているおばちゃんとお話をする機会があった.どうやらおばちゃんも被害にあったらしい.結構怒っているとのこと.たぶん,ホストの人から連絡を取り合ったのだろう.


午前中はここ2ヶ月の研究の進捗を振り返っていた.思ったことをつらつら記事にしてみた.

watanabeckeiich.hatenablog.com

この2ヶ月目立った進捗がないのは悲しいよね.泣いちゃう.2相流の研究の続きをやれば結果は出るんだろうけど,査読まだだし,正直研究の面白さを見出せないから気が進まないんだよな.なんかもう当たり前な結果しか出せない気がする.まあ帰国したら少しずつ再開しよう.


午後は reflection argument を考えていたけど,time trace を考えれば上手くいくのかなと思っていろいろ調べていた.Maximal regularity の抽象論の論文をいくつか読んでみたけど,トリーベル・リゾルキン空間を考えることは自然だとわかった.でも扱いに苦慮するから, p=q としてトリーベル・リゾルキン空間を「回避する」というのが German-style なんだなと理解した.抽象論に頼らなければ  p \neq q の場合を扱えるようになりうるけど,そのためには Fourier 変換を用いた解表示か,作用素の imaginary power を考えなければいけない.どちらも contact line problem の場合には上手くいくとは思えない.


と考えていたけど,time trace を考えても仕方ないことがわかった.そりゃそうだ.いったい何を勘違いしていたんだ.明日別のアプローチを考えてみよう.


08月27日(Day 95 / 100)

テレンス・タオ先生がすごい共著論文を投稿したようだ.私はあんまり詳しくないけどなんかすごそう(小並).

Large prime gaps and probabilistic modelsterrytao.wordpress.com

arxiv.org

はあ,私もテレンス・タオみたいにめちゃくちゃ研究できるようになりたい人生だった.


今日もいろいろ考えてみたけど,reflection argument の方法で上手くいくのかよくわからなくなってきたな.一応 Amann 先生の(最近出版された)本に edge があるような領域についての記述があるけど,拡張作用素や制限作用素の存在は「当たり前」ということではなさそうだ.んー,難しいなあ.本当によくわからない.


はあ,もうどうしようもないなあと思って MathSciNet で論文を漁っていたら,Eskin 先生(おじいちゃん数学者・82歳・現役)が昔 inhomogeneous boundary data に対する parabolic な pde に対する一意可解性と解表示を求めていたようだ.知らなかった.一応論文を読んでみたけど,極座標系を考えていない点が不思議.とはいえ,本質的には Mellin 変換を使った証明なので,いままで見つけたやつと本質的には変わらないような気がする.しかし,Florova 先生とは違うアプローチのようだ.たぶん.でも,boundary data を zero 拡張しているので,そこは少し怪しい気がする.やっぱり,どういう拡張を考えるか?ということが contact line problem を解く鍵のような気がする.とりあえずわかったこととしては,解表示を求めようとしたら Mellin 変換を使わざるを得ないので,そうした場合は  L^p-framework への道が閉ざされるということである.もちろん,特異積分の議論から L^p-framework に拡張できるかもしれないけど,要する労力と得られる結果が見合わない気がする.やっぱりまずは  L^2-framework で結果を得るしかないのだろうか.


 L^2-framework に特化するならエネルギー法を使ったほうがいいなと思って,自由境界問題をエネルギー法を使って考えている論文を探した.まあ大体どれも弱解を考える必要があるようだ.指導教員や Hieber 先生など,strong solution に関する優れた結果を出し続けている先生方は弱解によるアプローチを「嫌っている」節があるけど,それは  L^2-framework でしか結果が得られないから,ということなんだろう.私はそんなわがままを言っている余裕はない気がしてきたので,とりあえずは  L^2-framework で結果を出すことを目指そう.Homogeneous boundary data に対する maximal regularity property はすでにわかっているので,Prüss-Simonett の monograph を読み返して弱解に応用することを考えてみるのはいいことかもしれない.でも,まずは Bae 先生の論文を読んでアイディアを学ぼう.


08月28日(Day 96 / 100)

朝コーヒー飲みながら Bae 先生の論文を流し読みしてみたけど,ちょこちょこ Beale 先生の結果を引用しているな.んーー,なんか contact line problem の場合に応用するのは難しい気がしてきたな.やはり異なる境界条件をもつ境界が「接触」する singularity はかなり厄介なのかもなあ.一応,Dirichlet boundary ではなく,Slip boundary にしておけば,boundary data の属する関数空間の regularity は一致するからまだマシなんだろうけど,それでもよくわからない.


よくわからないからとりあえず大学に行こうとしたら,大学に向かう道の途中で警察官がたくさんいた.

写真では少しわかりにくいけど,写真の奥のほうに警察官が集まっている.写真だと2人くらいしか居ないように見えるけど,実際には7人くらいいたと思う.写真を撮影したときは数人家の背後に回っていたと思う.防弾チョッキみたいなのを着てたし,何が起こるのかわからなかったから,現場を早歩きで通過したよね.アメリカの何が怖いって一般人が合法的に銃を所持できることなんだよな.現時点で(2019年の)銃の発砲事件は 35,000 件を優に超えているし,死者も 9,000 人を超えているし,なんなんだこの国は.国土が広いとはいえ,多すぎでしょって思っちゃう.自動車社会というのも,自分の身は自分で守る,というアメリカンな思想に基づくものなのかもしれない.


お昼はピザを食べたいなと思ったのでピザを食べた.

みなさんご存知の通り,私の文章は「〇〇をしたいから〇〇をした」という表現が多いです.Galdi 先生と食事をした際(Day 90 / 100 参照)も,Galdi 先生から「秋の研究集会の organizer が前川先生ではなく菱田先生に代わったのはなぜなの?」と聞かれたとき,「理由はわからないけど,たぶんなんか理由があるのだろう」と答えてしまった.そしたら「いや,そりゃそうだ」と苦笑いされてしまった.そりゃそうだ.


さて,今日はまじめに Mellin 変換によるアプローチを考えてみた.きちんと計算をチェックしてみたけど,うまくいかない…… Mellin 変換すれば解表示は得られるだろうと安易に考えていたのはなぜなんだ.よく考えてみると,Mellin 変換によるアプローチが有効なのは定常かつ2次元の場合「だけ」かもしれない.んー,困ったなあ.


ところで,Galdi 先生から本を借りているので,いつ返せばいい?ってメールで聞いたら,郵便受けに入れておいてくれとのこと.いや,どこだよって感じだ.まあ,秘書の方に聞きばいいだろう.また,先生から

I hope you will be still thinking of the problem I suggested.

という,大変ありがたいお言葉をいただいた.ん〜〜,なんか私のことを買いかぶりすぎなんじゃ無いかな.正直,私がこの問題に取り組むには10年早い気がするんだけどーーー.なんか前から思っていたけど,実力がないのに放置されるのはきつい......でも,先生の犬になってせっせと研究するよりはマシだな.


はあ,とはいえ,今日も憂うつになってしまった.はっきり言って,なんのアドバイスやヒント,議論を抜きに,自力でこの問題に取り組むのは無理がある(切実).帰国したら指導教員とポスドクのXさん(まだ日本にいるかな)と小薗先生に何か手がかりはないか聞いてみよう.


夕食は Thomas 君と enjoy した.

サブウェイみたいなイタリアン?キッチン.たぶん初見じゃ無理.何が無理ってメニューがどこにあるのかわかりにくい.私はスパゲッティを注文した.

他人が作ったスパゲッティをいただくのは4ヶ月ぶりくらいだな.たぶん.


08月29日(Day 97 / 100)

午前中はいろいろ文献を探してみたけど,何もわからず.今日こそ進捗を出すぞ!と思い始めてから早くも2ヶ月以上経ってしまった.こんなにいろいろ考えても未だに有効な方法が見つからないのは,完全に自分の実力不足である.勉強が足りないのか,問題が難しすぎるのか,どっちなんだろうな.たぶん両方だろう.早い話が Wilke 先生や Köhne 先生の reflection argument を「信じる」ことができれば,ささーっと研究が進むんだけど,残念ながら彼らの証明を理解できない.正しいような気はするけど,本当なのかどうか,よくわからない.もし正しいとしても,証明の記述が足りなさ過ぎると思う.


今日のお昼はスタバ.本当はマクドナルド行こうと思っていたけど,めちゃくちゃ混んでいたので諦めた.大学の新学期,授業が開始されたということもあって,学生だらけだったため.

スタバでコーヒーを頼んだんだけど,写真の通り,めっちゃ豪快に店員から渡された.うん,これがアメリカン・スタイルなんだな.異国の文化はきちんと尊重しなければならない.


午後も contact line problem について考えてみたけど,やはり解表示は難しそうだな.いろいろ文献を探したけど,何もわからない.はあ,こうして今日も終わってしまうのか.気分転換に,(興味本位で)同期のT君の論文を検索したら,めっちゃいいジャーナルから出版されてた.んー,なんかどんどん彼に差をつけられている気がするなあ.彼をライバルと呼ぶのはおこがましいけど,ライバルだと思って私も研究を頑張らないとなあ.研究はレースではないし,コンテストでもないけど,同級生と切磋琢磨することは重要だと思う.まあ,現時点では切磋琢磨するどころか,彼に圧倒的差を見せつけられているだけだけど.実際に彼はもうすでに博士論文書き終わっているし(たしか).


と,ひがんでいても仕方ないので,Maz’ya 先生や Solonnikov 先生らの論文を改めて読んでみた.どうやら,inhomogeneous boundary data を扱うには,まず境界条件を満足する解を構成して,それでもって homogenous bondary data の場合に帰着させているような気がする.私がいままで親しんできた手法とは真逆だ.証明はなんかの雑誌に書いてあるらしいけど,古すぎて読めない(アクセスできない).一応,Maz’ya 先生の近年の論文も似たような議論をしてるけど,mixed boundary ではないから機能するかは確信できない.


そこで,求めたい解が  V (r, \phi, \xi) = r^s v (\phi, \xi) と書けると「信じ」て,計算を進めてみたけど,レゾルベントパラメータ  \lambda とメリン(変換に対応する)パラメータ  s が混在するから,かなり複雑になりそうなことがわかった.計算の正当化はもちろん,形式的な計算も大変になりそうなことがわかった.一見,パラメータ  s を適当な定数に「固定」して考えてみても良さそうだけど,計算を正当化させるためには,少なくとも複素平面上のある strip に含まれる任意の複素数,としなければならないんだよなあ.もしも bondary data が contact line で vanish していれば,Eskin 先生と似たような議論から解表示を得られるしれないなあと考えてみたけど,自由境界問題の場合,boudanry data が vanish するはずが無いと思うんだよな.でもこういう思い込みがダメかもしれない.


はあ,もう何もわからないし,研究の進捗は何も出ないし,自分は落ちこぼれだなあって痛感する.仕方ないので,夕飯はサブウェイに行ってむしゃむしゃサンドイッチを食べた.何度もお世話になったこのサブウェイも今日が最後かな.ありがとうサブウェイ.


帰宅後,そういえば先月投稿した論文,いつになったら under review になるんだって思ってステータスを確認してみたら,昨日付けで under review になってた.一安心.ちゃんと査読されますように.


08月30日(Day 98 / 100)

朝起きたら大学から「早稲田アリーナで、ラグビーワールドカップ2019™を観戦しませんか?」というお知らせがきてた.文キャンのあの建物,早稲田アリーナって呼ぶのか.初めて知った.個人的にはラグビー観戦好きだし,参加したいなって思ったけど,大学構内だからビール飲みながら観戦できないんだろうな.HUB に行くのが正解かな.


改装工事してたドーナツ屋さんがオープンしたらしい.

朝からドーナツをモリモリ食べてめっちゃ甘そうなジュースを飲むアメリカ人,元気すぎでしょ.


今日もいろいろ考えてみたけどやはりダメ.もう方法が思いつかないよ.うまい方法かな?と思いついたとしても圧力項を Helhholtz projection でささっと消せるわけではないので,めんどくさい.Edge がある領域なら,極座標で考えてみるという方向性は正しいと信じていたんだけど,どうやら Laplace 作用素に起因する  r^{- 1} \partial_r の項を処理するか,というのが一つの難点なんだよな.私が知っている限りでは,Mellin 変換は有効な技だけど,そうすると  (\lambda + \lvert \xi \rvert^2) v の項が厄介になる.一方,渦度を zero と「仮定」して(つまり  v_\phi \equiv 0 なる解の構成を目指して)Bessel 関数を使うのも手だけど,この場合は予め圧力項を消去しておく必要があるように思える.ではいっそのこと Mellin 変換を使うのをやめて, x \mapsto e^x と変数変換して Fourier 変換を使えばいいのではないか,という発想も浮かぶけど,この場合は  e^{2 x} (\lambda - \partial^2_y) なる項が現れるので,「いつも」と同じように解析することはできない.Prüss-Simontt (2007) や Maier-Saal (2014) の論文を想起すれば,operator sum の方法が有効に見えるけど,inhomogenous boundary data の場合を扱うには(たしか)boundary symbol を計算する必要があるし,operator sum の方法で考えようと思ったら,右上半平面の境界が自由境界,左上半平面の境界が slip boundary という奇妙な半空間における Stokes 方程式を考えなければならないように見える.これで上手くいくのかどうか知らなし,わからないけど,この場合は contact line における境界条件が重要になってくるような気がする.しかしながら,contact line における境界条件をどう定めるかは(物理的に)未解決問題の一つなので,「適当」だと思った条件が本当に正しいのかはわからない,という状況に陥ってしまう.


一方で,contact line problem を「解いた」とされる,Wilke 先生の論文は証明にギャップがあってよくわからない.なんで Dirichlet boudanry data が偶拡張や奇拡張できるんだ......本当に正しいのか疑問.一方で,Köhne 先生の論文で扱われている reflection argument は Wilke 先生とは少し異なるけど,これも議論が足りないと思う.ざっくり言うと,boundary data を領域に拡張して,その後(別の)boundary に trace する,というものだけど,Mitrea-Mitrea (2007) の論文を読む限り,その正当化は結構大変な気がするんだよな.領域の制限とかもしっかり考える必要があるし,作用素が isomorphism なのかも証明する必要があると思う.じゃあ,Mitrea-Mitrea と同じようにすれば上手くいくかというとそうでもなくて,contact line problem の場合は自由境界に圧力項が現れるから注意が必要になると思う.Reflection argument の場合は boundary そのものを「消し」て,半空間の問題に帰着させるという手法だけど,boundary が「消える」ことの証明が容易ではないと思う.もしこれができれば後は難しくないと思うけど,その証明方法は私にはわからない.まあ,これは私の実力不足だし,勉強不足ってことなんだろうけど.


はあ,本当に contact line problem は解けるのだろうか.定常の問題で精一杯であるような気がするんだけど.もちろん,boundary data を 0 である場合はめちゃくちゃ簡単なんだよな.んー,自由境界問題に対応する固定境界問題を考えない方が簡単なのかな.わからんな.はい,というわけでアメリカ滞在中の研究進捗は zero です~~~.悲しいなあ.


というか,今日も院生室は騒がしかった.院生室でなかなかの大音量で映画見るのはやめてほしい.雑談もかなり盛り上がったりしているし,みんな学生気分が抜けていない気がする.まあみんな学生だし,自分も他人のことは言えないけど.でも修士以上の学生だったら,大学時代の同級生は普通に仕事しているわけだし,もっとプロフェッショナルに研究に向かうべきなんじゃない?って思う.たとえ勉強や研究の内容がプロとは程遠い内容だったとしても.ちなみに,雑談の内容はTAに関することだった.そんなに嫌ならやらなきゃいいなのに.時間の無駄じゃない?とか思ったけど,授業料免除とか美味しい話の変わりにやらなければならない duty なのかもしれない.


はい,というわけで,しばらくお世話になった机ともおさらばです.


夜は Thomas 君とバーに行ってハンバーガーを食べようと約束していたので,お互いニコニコしながらバーに行った.入店してすぐ店員に「身分証の提示をお願いします」と言われてしまった.Thomas 君はパスポートをさっと出す一方で,私はじっと彼を見つめるだけ.そう,パスポートを忘れてしまったのだ.先週末の彼と

私「バーに行ったら年齢確認ってされるのかな」

T「いやーされないと思うよ.3週間前ぼくが行ったときはされなかったし,お互い20歳以下には見えないさ」

という会話を交わしたから,てっきりパスポートは要らないのかと思っていた.もちろん,部屋に戻ればパスポートはあるんだけど,往復で30分くらいかかるし,彼をそんなに待たせるのは申し訳ないので,結局私はずっとコーラを飲んでいた.居酒屋でアルコールが飲めない人の気持ちがわかった気がする.


バーで3ヶ月ぶりにビールを飲みたかった私はそこそこショックを受けていたが,そんなショックを飛ばすくらいハンバーガーは美味しかった.

追加で注文したオニオンリングも美味しかった.Thomas 君とはスポーツと数学の話をした.ちなみに,来春,Farwig 先生がオーガナイザーの研究集会があるよと教えてもらった.

08月31日(Day 99 / 100)

明日は朝6時くらいには空港に居なければいけないので,実質上今日が滞在最終日.今日は元気に散歩した.


最後の昼食は,せっかくだしレストランで食べようとか考えていたけど,昼食時に近くのレストランには家族やカップルみたいな人しかいなくて,そんな中ボッチで行くのは少々気が引けたので,仕方なくハンバーガー屋さんで食事を済ませた.

二日連続のハンバーガー.これは太る(確信).大学の近くにあるアイスクリーム屋さんに一度も行っていなかったなと思い,アイスクリームもいただいた.

チョコとストロベリー.これは太る(確信).ちなみに夜はピザを食べた.

美味しかった.アメリカでの最後の晩餐にふさわしいな(?).これは太る(確信).


明日は朝8時発の便だけど,朝ちゃんと起きれるか不安だし,それ以上にバスがちゃんと来るのかどうか不安だったので,今夜空港に行くことにした.というわけで,3ヶ月ちょいお世話になったお部屋とも今日でお別れです.

どう考えても一人で寝るには大きすぎるベッド.

広々とした机.立派な机なのに研究の進捗を出せなくてごめんよ.君は何も悪くない.


空港に着いて,寝どころを確保した後,今日どのくらい歩いたのかなって iPhone を開いてみたところ,13キロくらい歩いたらしい.

まあまあかな.今後も休日はこのくらい歩くようにしたい.


09月01日(Day 100 / 100)

空港で寝ようと思ったが,案の定熟睡とまではいかなかった.思ったよりも寒かった.まあ,4時間くらいは寝れたのでよしとしよう.寝不足の方が飛行機の中でぐっすり寝れるような気がする(?).ピッツバーグ空港は朝6時から飛行機が離陸し始めるので,4時くらいには人がぞろぞろスーツケースを持って空港にやってきた.その音で目が覚めてしまったといっても過言ではない.


4時くらいに起きて,いろいろネットサーフィンしたあと,5時くらいにチェックインした.スーツケースが制限重量を数キロ超過していたので,荷物を二つに分けた.ロストバゲージになりませんように.さすがにカウンターや保安検査は空いてた.


保安検査を済ませた後,コーヒーを買ってこの記事をつらつら書いた.いよいよ帰国かと思うとわくわくする.帰国後,やるべきことはたくさんあるけど,機内にいる間はその存在は忘れよう.



今回で『アメリカ滞在記』の連載は終了となります.今回に海外派遣のレポートについては近日中にスーパーグローバル大学創成支援「Waseda Ocean 構想」活動報告 |スーパーグローバル大学創成支援 早稲田大学 数物系科学拠点にて公開される予定です.今まで読んでいただきありがとうございました.