べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

研究進捗2020/2/27

今年も早いもので2か月経ってしまいました.叔母の夫(つまりおじ)が中国の深圳に単身赴任しているのですが,春節のときに一時帰国したということで数年ぶりに会いに行きました.そのとき,従弟に言われて犬の絵を書いてみました.

うん.我ながら立派な絵だと存じます.春節が終わった後帰国する予定でしたが,新型コロナウィルスの影響で一時帰国を延長するそうです.ただ,日本での生活はあまり好きではないそうで「ずっと日本にいるくらいなら転職する」と言っているそうです.その行動力を見習いたいものです.


<これまでの進捗>

・論文がアクセプトされ,出版された.

www.sciencedirect.com

なんか長い論文(62ページ)になってしまったけど仕方ない.エディターが証明を書けっていうので.

・名古屋で講演した.板書で発表したけど,案の定上手く発表できなかった.今後はどんなに長くてもスライドで発表しよう.

・名古屋出張の翌日は公聴会だった.発表・質疑応答が大丈夫だったので,3月付で学位が取れることになった.でも卒業式やるのかなあ.おそらく卒業式やるとしても代表者のみとかそういう形になるのかな.

・公募はまだ出てないけど,研究活動スタート支援の申請書を書きあげた.内容は問題ないと思うけど,業績が足りてない気がするけど,仕方ない.通っても通らなくても,夏~秋には若手研究の申請書を書こう.

コリオリ力付きの圧縮性ナビエ・ストークス方程式の研究について理解が進んだ.コリオリパラメータには依存しないよう初期速度場を小さく,その他いろいろ条件を課せば,時間大域解を構成できそうなことがわかった.現段階では,時間局所解の存在さえ示せれば完成できると思う.時間局所解の存在はラグランジュ座標に変換すれば解けると思うんだけど,言うほど自明というわけでもなさそう.でもできると思う.応用として,無限遠方で一次増大する初期速度場に対する時間大域解を構成することができる.

・Contact line problem を考えた.Reflection arguments は slip のときのみ有効で,Navier-type slip の場合は無理なことがわかった.いろいろ考えてみたけど,Navier-type の slip 境界条件を扱うには渦度を考えないとダメっぽい.いろいろ計算するとできると思うけど,大変そうなので,まずは slip の場合をやってみることにした.

・線型化問題に対応するモデル問題を考えた.Contact line が生じる場合は,対応するレゾルベント問題の一意可解性を示すことができても,解の評価を得るのが意外と大変そうなので,レゾルベント問題を考えずに解を構成するのが本質的であるような気がする(たぶん).

・半空間の結果を引用するべく,Prüss-Simonett の分厚い本を読んでみたけど,ちょっと間違っているみたいだな.実際に,彼らは time-weight 付きの最大正則性定理,つまり maximal  L_{p, \mu} - L_q theorem を得ているけど,time-wieght  \mu に対する仮定と,整合条件(conpatibility conditions)が存在するための条件が間違っている.例えば,Dirichlet 境界条件の場合は  \mu \neq 3/(2p) の代わりに  2 \mu/p + 1/q \neq 2 を課さなければいけないし,整合条件が存在するのは  \mu > 3/(2p) ではなく  2 \mu/ p + 1/q < 2 が成り立つときだと思う.

・半空間の自由境界条件付きの Stokes 方程式は指導教員がずっと研究しているけど,彼の結果はいろいろ optimal でないと思う.実際に,trace を考えると空間指数だけでなく,時間指数についても補正を考える必要があるし,特に高さ関数の正則性が正確でない.少なくとも,トリーベル・リゾルキン空間を考えるのは MUST だと思う.また,Weis ではなく,Prüss の Fouirer multiplier 定理を使えば time-weight 付きの最大正則性定理を得ることができる.よって,これらをすべて直して,LaTeX でまとめた.Time-wight はもとの自由境界問題の初期値の regularity を optimal なものにするのに欠かせないと思うんだよな.彼はそこまで考えてなさそうだけど.

・Quarter-space でのモデル問題の解析も済んだ.Trace の Trace を考えるのが本質的だと思う.ただし,Trace の Trace の存在を保証するにはいろいろ条件が必要で,いわゆる L^2-framework は,reflection argument を考える限り,contact line problem では全く機能しないと思う.


<今後の目標>

・研究活動スタート支援の公募が出たら申請書を書く.もし大幅な変更がなければすぐ書き終わるので,10回以上見直す.できれば講義が始まる前の3月中には完成させたい.

・Contact line problem の線型化問題に対する解析を終わらせて,LaTeX でまとめる.頑張って秋くらいには論文を完成させたいところ.難しいと思うけど,できれば CPAM に投稿したい.

コリオリ力付きの圧縮性ナビエ・ストークス方程式の時間局所解の存在を示す.



弟 b がゴール裏のコールリーダーになったようです(母情報).弟 a の方は太鼓たたいてたと思う.エゴサしてみるといろいろ文句言われているみたいだけどめげずに頑張ってほしいところです.でも去年みたいに乱闘は起こさないでほしいところです.次回の研究進捗報告は4月下旬を予定しております.では.