べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

研究進捗2020/8/27

この前,池袋駅の構内を歩いていたらこんなポスターを見かけました

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「検索より探索。」うん,いい言葉だなと思いました.研究でわからないことがあるとついつい MathSciNet で検索しがちだけど,とにかく手を動かして「探索する」ことも大事だなと思いました.


<これまでの進捗>

・Tさんとの共同研究を行った.まずは Lipschitz boundary を持つ,半空間での解析を行った.どうやら,剰余項に圧力項が現れるのが問題のようだ.既存の研究では,摂動法でうまく処理できるが,Lipschitz boundary の場合は,境界を表す関数の勾配を小さくすることができないので工夫が必要.まずは small Lipschitz constant の場合に研究を進めることにした.たぶん,Lipschitz constant が小さければ,任意の  1 < p < \infty に対して,Stokes 半群の生成が言える.

・Contact line problem の論文を完成させた.Galdi 先生に言われた通り,Tran AMS 投稿したけど,エディターキックを食らった.エディターに流体が専門の人いないからかな.仕方ない.ところで,Guo-Tice から論文に関して,特に Ren-E モデルに関して,私の認識が間違っているといわれたので,少し直したのちに,ARMAに投稿した.上手くいきますように.時間かかるだろうけど,来春までには査読コメントが来ると期待しよう.アクセプトされますように.

・いままで,Pruss 先生をはじめとするドイツ人のグループは最大  L_p-L_p 正則性なのは  H^\infty-calculus を使っているからで,S先生をはじめとするグループは R-boundedness による方法を使っているから最大  L_p-L_q 正則性を得られるんだって豪語している偉い先生がいたけど,たぶん勘違いだと思う.実際に,Laplace-Fourier 変換を用いて解の表現式を得ようとするアイディアは同じだし,積分核の評価に頼らず,operator sum の方法でいろいろ解析した方が証明がよりエレガントになると思う.ドイツ人のグループが  p = q の場合に執着していたのは,inhomogeneous な boundary data を考えたときに,その data が属する関数空間が Triebel-Lizorkin space にならなければならず,その空間が Banach 環になるかどうかが不明だったから,ってだけに過ぎないと思うんだよな.投稿した論文では,これを示してあるので,Pruss 先生の一連の論文をすべて  L_p-L_q の場合に直すことができると思う.

・特に,boundary が homogeneous な場合より, p q を少し大きく取らないと非線型の評価が成り立たないことがわかった.投稿した論文の結果は optimal だと思う.誰からも証明をチェックされてないけど.ところで,Galdi 先生から(論文の投稿先を相談するメールで)S先生宛に "congratulations to you and Watanabe (I’m sure you played a role in this paper too)." って書いてあったけど,何もしてないでしょってツッコミそうになってしまった.相変わらず論文を渡しても「論文ありがとうございます」しか言われないし,メンターとは?みたいな感じだ.将来自分が誰かを指導する立場になったらこうならないよう気を付けよう.

・DAADの申請書を書いた.おかげさまで,Saal 先生,Kohne 先生との共同研究が始められそうだ.どうやら,Contact line problem は diffuse interface model として扱うのがいいっぽい.やはり,モデリングには(いまだに)いろいろな議論があるようだ.

・定常状態における圧力の微分がかなり大きければ,重心を考えることなく,圧縮性ストークス方程式に付随する解析半群の指数減衰を導出できることがわかった.たぶんあっていると思う.Optimal な結果ではないと思うけど,従来よりも簡単な証明方法を与えることができると思う.

・論文の査読依頼がきたので引き受けた.査読ってめんどくさいんだなって思った.

<今後の目標>

・Tさんとの共同研究を進める.といっても,core なところの解析は終えたと思うので,Lipschitz 定数が小さいような有界 Lipschitz 領域における Stokes 作用素が最大正則性を持つことを示す.

・DAADの申請書を提出する.

・Contact line probelm のモデリングをもう少し勉強する.可能ならば,Kohne 先生から学ぶ.

相転移を伴う圧縮ー非圧縮二相流の時間周期解と時間大域解に関する論文を書く.

・9月から修士に進学する留学生(台湾の人)のゼミで,溝畑先生の教科書の英訳版を読むことになったので,少し勉強する.


この前,久々にやすべえに行きました.

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昔はおいしくないって思っていたのに,ここ数年はおいしいって思えるようになってきたのはなぜなんでしょうか.昔を振り返ってみると週1で必ず中本の北極を食べていたと思うと味覚が壊れていたのかなと思います.好きなラーメン屋や居酒屋が最近閉店し始めているので,やはり自分とお店が元気なうちにいろいろ飲み食いしたいなあと思いました.ところでいま食べたいのはサブウェイのサンドイッチです.昨年あれほど食べたのに.さて,次回の更新予定日は10月末になります.それまでにコロナが落ち着いてるといいな.では.