べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

文章の書くために守らなければならない最低限のルール。

さて,3月になり,とうとう学振DC・PDの申請書を書く時期がやってきた.しっかり採用されるためには,かっこいい文章を書くことが重要だ(と思う).今回は,文章を書く上で,最低限守らなければならないことを(自分のために)まとめておく.

 

論文や申請書はどんなに内容がすばらしくても,文章表現が稚拙だと,取るに足らない論文・申請書だと判断されてしまうことが多い(特に英語で執筆する場合,スペルミスや3単現のsのミスがあるとそのように判断される).要は,どんなにおいしい食べ物でも,見た目がおいしそうでなければ,食べてもらえないのである.よって,その「中身」を評価してもらうためには,少なくとも「かっこいい」文章の書き方の習得が不可欠である.

《目次》

段落の冒頭は,1文字空ける.

特殊な例外を除き,段落の冒頭は1文字空けるのが原則である.LaTeX で文章を書いていて段落を変える際,\\ とする人が多い気がするが,この場合インデントされない.LaTeX で段落を変えるときは,空白行を入れれば十分である.

句読点は「、.」あるいは「,。」を使用する.

テン「、」は横書き文章では使用せず,通常はコンマ「,」を使用する.文章の終わりの記号はマル「。」あるいはピリオド「.」のどちらでも良い.Windows のデフォルトは「、。」なので,Microsoft IME のプロパティで変更しておこう.

辞書を引く.

日本語は同訓・同音異義語が多い.それゆえ,間違えることが多いので,しっかり辞書を引くようにしよう.

形式名詞はひらがなで表記する.

検討したで,結果を考察した限りでは,AよりBのがいい,決定したには,これでは,次のに,Cするに,...

これらの漢字は形式名詞と呼ばれ,原則としてひらがなで書くべきである.
実際に,公文書ではそう決まっている.

リンク:

http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/kunrei.pdf

補助動詞はひらがなで表記する.

増加して行く,Dと言う意味である,理解して来る,...

これらの漢字は補助動詞と呼ばれ,形式名詞と同様に,原則としてひらがなで書くべきである.

文体は「~である調」で記述する.

文章を記述する際,会話文書体「~です・ます調」あるいは口語文書体「~である調」のどちらかに統一するべきである,とよく指導される.しかし,科学・技術文章の文末表現として「~ます」は不適当である.よって,科学・技術文章では「~である調」で執筆するべきである.ここで注意しておくべきことは,すべての文末を「~である」としなければならない,ということではない.実際に,「~だろう」,「~した」,「~られる」などの文末表現は許容される.

接続詞はひらがなで表記する.

「又・然し・並びに」をはじめとするの接続詞はそれぞれ「また,しかし,ならびに」とひらがなで表記すべきである.これは,漢字混じりのひらがな書きの文章で接続詞を漢字表記すると,漢字と漢字が連続するため一般に読みづらくなるからである.

接続詞を正しく用いる.

接続詞は文と文をつなぐ接着剤であるが,その選択を誤ると,文のつながりが悪く,期待通りの内容が伝達できない.接続詞は論理の方向を制御しているので,前後の文が順接関係なのか,添加関係なのか,逆説関係なのか,並列関係なのかを判断して,適当な接続詞を使用しなければならない.

当て字を使用しない.

科学・技術文章では,当て字を用いることができない.例えば,「容易い・相応しい・不味い・真似る・真面目に」は当て字である.当て字はひらがな・カタカナ書き・あるいは類似語に書き換えなければならない.

短文だけで書かない.

文章を記述する際,ダラダラと長い文は理解しにくいので,文は短くあるべきだ,と多くの解説書に書いてある.たしかに,長い文は読んでいて大変だが,接続詞・接文語句が適切に使用されていれば,長い文も読みやすいものである.もし短文のみで文章を記述する場合,文脈の整合性を確保するために,新たに語句を書き加えなければならないことが多い.つまり,短文は「長い文章」になってしまうという欠点がある.科学・技術文章では,文の長さをさほど気にする必要はなく,テンポよく読みやすければ問題ない.

主語を入れる.

科学・技術文章で主語を省略できるのは,①著者が主語のとき,②前文から主語が容易に推定できるときだけである.基本的に主語は書こう.

括弧()を多用しない.

括弧()を多用した文章は煩雑で一般に読みづらい.この記号は補足説明のためのもので,多くの知識を圧縮して掲載しなければならない教科書には頻繁に用いられる.しかし,科学・技術文章では,ほとんどの場合,()をはずすことができる.頑張って()を外そう.

呼応語句をきちんと書く.

「飛行機の機内食が中途半端な時間に提供される理由は,体内時計の調整を意味している」のように呼応語句が適切でない文章はわかりにくい.この場合は「~理由は,体内時計を調整ためだ」としなければならない.

 

参考文献として,以下の本を挙げる.

知的な科学・技術文章の書き方―実験リポート作成から学術論文構築まで

知的な科学・技術文章の書き方―実験リポート作成から学術論文構築まで

 

 

私は,面接を経てDC1に落ちてしまったので,今度は面接にならないよう申請書の作成を頑張りたいと思います.では.

研究進捗2018/2/25

前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいました.この間,ロシアに旅行に行ってきましたが,その模様については時間に余裕ができたら書こうと思います.

 

<これまでの進捗>

非線形項の評価をチェックして,論文を完成させた.ただし,論文が70ページになってしまったので,どこか削る必要がある.

カルデロン・ジグムント分解と常微分方程式について少し勉強し,LaTeX でまとめた.また,それらをホームページで公開した.

リンク:Memo - Keiichi WATANABE

・3月上旬にある講演(30分)のスライドのうち,10枚作った.いま思えば,勉強なんか後回しにしてスライドを先に作るべきだった.

 

<来週までの目標>

・論文を20ページ削って修正する.

・スライドを今月中に完成させる.また,発表原稿を作る.

・3月下旬の学会のスライドを作成する.

 

最近,もっと勉強すればよかったなあと思います.勉強ができる(時間がある)というのは大変幸せなことなんだなあと思います.勉強できるよう頑張りたいと思います.では.

研究進捗2018/2/5

<これまでの進捗>

非線形項を書き直した.

・初期値の連続依存性は陰関数定理を用いて証明できるみたいだけど,なんかよくわからなかった.

・主定理の主張を厳密に書き直した.

非線形項の評価をちゃちゃっと書いて論文を完成させようと思ったが,参考にしていた先生の講義ノートに誤りがあった.

・共同研究者と連絡をとり,証明のヒントを得た.

 

<来週ぐらいまでの目標>

・先生の講義ノートを直して,非線形項を評価する.

 

先日,富山県で研究室の飲み会がありました.おいしい食事,お酒をいただくことが出来ました.幹事のSさん,店の予約をしてくれたYさんをはじめ様々な人にお世話になりました.ありがとうございました.

研究進捗2018/1/30

早いもので今年も1ヶ月が経とうとしています.さっさと論文を完成させたいものです.

 

<これまでの進捗>

・論文のイントロダクションを書き直し,先輩にチェックしてもらった.

・論文の誤植を訂正した.

・低階項の処理について考えた.よく考えると圧力消去の仕方が不十分(というより,書かなければいけないことがもう少しある)であることがわかった.深刻な問題と思われたが,そんなことはなかった.よかった.

非線形項の評価を少し書いた.非線形項が間違っているところがあった.

・計算メモが迷子になることが増えてきたので研究ノートを作った.このノートには結果やアイディアだけ書くことにしよう.

 

<来週までの目標>

・間違っていた非線形項を書き直す.

非線形項を評価する.

・係数(\gamma_1)を直す.

・\pi_+, \psi_+ の正則性をしっかり書く.

・初期値の連続依存性について理解を深める.

・2月4日までに論文を完成させる.

 

もっと頑張ります.では.

研究進捗2018/1/22

今日は4年前に匹敵するほどの大雪みたいです.昔は雪と聞くとうきうきしてたけれども,今は雪かきしなくちゃいけないのかあめんどくさいなあと思うようになりました.歳の経過は早いものです.

 

<これまでの進捗>

・論文の第2章の修正が終わった.

・論文の第1章を少し直した.でもやっぱり最後に直したほうがいい気がする.

非線形項の評価を少しした.第2章を直したことで書きやすくなった.

・Gさんらが書いた論文を理解した.ヒントを得ることが出来た(と思う).ただ,書いていた論文が完成できそうなのでこの研究はしばらく放置しよう.

 

<来週までの目標>

非線形項を評価する.

・論文の第1章をもう少し書き直す.投稿する(予定の)ジャーナルを考えると,第1章は2つに分けたほうが読みやすいかもしれない.

 

数学科の同期のH君はもう単著論文を5本書いていたり,同じく同期のT君は単著論文を3本書いていてすごいなあと思います.研究はレースではないけれども,やはり負けたくないなあいう気持ちでいっぱいです.私も早く論文を完成できるよう頑張ります.では.

研究進捗2018/1/15

研究集会の懇親会の後に海外(ドイツ)から来ていた学生とカラオケに行ったのですが,普通に日本語の曲を歌っていてびっくりしました.やはり意識が高いなあと思いました.尊敬します.

 

<これまでの進捗>

・共同研究している T さんと少し議論した.少し勘違いしているところがあった.

・外部領域に拡張するには Weak Neuamnn ...... の論文ではなく,その一つ前の論文が参考になるようだ.残りやるべきことは,ある2つの不等式の証明の「修正」だけのようだ.ただ,修正する前にその不等式を理解していないので,まずはその理解が先だ.

ヘルムホルツ分解について文献をまとめた.また,ホームページで公開した:

リンク:  Memo - Keiichi WATANABE

急いで書いたので,少し間違っているところもありますが,あまり気にしないでください.

・Weak Neumann ...... の論文は何を当たり前なことをやっているんだと思いながら読んでいたが,それはとんだ勘違いで実はすごい論文であることを理解した.あれは noncompact boundary に対して,小薗先生らが開発した理論に頼らず,従来の関数空間で議論を展開しているという点が優れている.

・Navier-Stokes 方程式の弱解について文献をまとめようと思ったが,めんどくさいのでやめた.というより,小薗先生の論説がとてもわかりやすかった.

・しかし,large initial data に対する "global" mild solution に関する論文を見つけた.これはなかなか面白そうな論文なので,今度暇になったら読んでみよう.

・論文のほうは時間がなくてほとんど書き進められなかった.

 

<来週までの目標>

・Gさんらの論文にある不等式を理解する.可能なら「修正」する.

・論文の第2章を修正し,さらに第1章も修正する.

 

研究集会を通じて,いろんな方と話す機会があった.先生方,先輩方の話は非常に有意義であった.今後もしっかり頑張ろうと思います.では.

研究進捗2018/1/9

先日、中本の北極を3〜4ヶ月ぶりに食べました。お腹を壊しましたが、それでもまた食べたくなる味です。不思議だなあ。

 

f:id:watanabeckeiich:20180109212435j:image

 

今回はいつも行ってる高田馬場店ではなく、渋谷店に行きました。東急線東京メトロから行く場合は2番出口が一番近いです。

 

<これまでの進捗>

・発表練習を何回かやって、今日発表した。緊張していたので、かなり早口になってしまったが、言いたいことはうまくいえたと思う。また、前の人の発表と少し関連のある内容だったため、これまでの発表よりも反応がましだった気がする。

半群の定義域は弱Lpではなく重み付きLpで特徴付けができる(この前の訂正)。直積の場合もB-LやT先生の本に書いてあるだろうと思ったけど大して書いてなかった。やはり、A先生の論文を参考にするしかないようだ。まあ、半空間で成り立っているのだからOKな気がするけどどうなんだろう。

・今日から研究集会のため、共同研究者と久々に再会した。充実したディスカッションをするゾと意気込んでたけど、相手は年末年始の休みを満喫してて、なんも考えてないよごめんね(てへぺろ)と言われた。よって、研究集会が終わった後の週末に少し議論しようとうことになった。

・W-Kの論文を読み、アイディアをつかんだ。結局、重要なところはS先生の論文を引用していたので、我々の場合はまずS先生の結果を考えたい領域に拡張する必要があるみたいだ。

・論文を少し書き直した。

・暇つぶしにテレンス・タオ先生の論文 "Finite time blowup for an averaged three-dimensional Navier-Stokes equation" の解説記事を読んだ。

Finite time blowup for an averaged three-dimensional Navier-Stokes equation | What's new

あの論文は非線形項を「いい感じに」少し書き直して、エネルギー等式(不等式?)を満たすような解が有限時間で爆発することを言っていて、ウェーブレット解析と確率空間も使っているようだ。ただ、全てをタオ先生が考えたというわけではなく、もともとそういう先行研究があったみたいだ。タオ先生のオリジナリティは、フーリエマルチプライヤーを使って、非線形項を「いい感じに」変形したということにある気がする。全体的によくわからないけど、正則性については完全に無視して計算しているので、この辺りをもう少し詳細に考察すればより良い結果が出るかもしれない。まあ難しそうなので、私は(少なくても10年くらいは)やらないことに決めた。

 

<来週までの目標>

・共同研究者と議論し、今後の方針を決める。

・研究集会で学んだことをなるべくLaTeXでまとめる。特にヘルムホルツ分解と、Navier-Stokes方程式の弱解の先行研究と最近の研究動向についてまとめる。

半群の定義域の特徴付けについてはしばらく放置して、論文の第2章を書き直す。今月末には投稿することを目標にする。

 

最近、dTVにて映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」という映画を見ました。これは数学者チューリングをモデルとした映画で、個人的にはまあまあおもしろかったです(ノンフィクションです)。母に「アルゴ」という映画が面白いと聞いたので、今度見てみようと思います。また、最近始まった「ポプテピピック」というアニメも大変面白いです。では。