べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

仮免許を取得した。

こんばんは。すっかり冬って感じですね。先日手袋をいただいたのですが、手袋ってこんなにも暖かいんですね。

 

さて、一昨日の日曜日に仮免の学科試験があり、無事にパスすることができた。これで仮免許を取得し、いよいよ路上で教習である。

 

当初の免許取得目標は年内だったけれども、まあ無理だろう。混み始めていることを考慮すれば、2月上旬に卒業検定が終わるのが現実的な目標なのかな。

 

1月の中旬までなら空いてるだろうと高をくくってたが、もうすでに混み始めている。特に高校生が増えた。たぶん冬休みっぽいやつなんだろうね。でも、午前中は空いているから、午前中にせっせと通えば早めに取れたりするのかな。

 

とりあえず、研究と教習所を両立しつつそろそろ部屋を大掃除したいと思います。

 

p.s

今日の研究において大変素晴らしい進捗を得た。まだ計算メモにしか書いてないのでそれをまとめて今度のゼミで発表する。結局、「物理的な意味付け」はそれほど意味を成さなかったし、熱流束の仮定も変えずに済んだ。これについてはゼミが終わったあと研究進捗を更新する。

研究進捗2016/12/9

・先週発表した内容をすべてLaTeXにまとめた.

・流体の界面を「大きく」見た.これによりまずは境界条件は無視することができ,流体内の方程式と界面の方程式のみを考えた.

・界面の法線ベクトル,平均曲率を計算し,それを線形項と非線形項に分けた.

・界面が時間によって変わってしまうため,「適切な」座標変換を行うことで界面を固定した.

・方程式が非線形なので,それを線形化した.すなわち,方程式のうち,線形項を左辺に,非線形項を右辺に移項した.

・しかし,界面の方程式のうち一つが,線形化できなかった.これはモデリングにおいて熱流束(Heat Flux)の仮定を間違えていることが原因と考えられる.

 

<来週の目標>

助教のとなりの机の研究員にNavier-Stokes-Korteweg system のモデリングに関する最近の論文を頂いたので,これを参考に先週までに導出した式が「物理的な意味付け」が可能なのか,チェックする.場合によってはモデリングをやり直す.

 

統計力学をもう一度勉強する.特に相転移に関する物理法則を勉強する.

 

 

最近風邪が流行っているようです.私は2年に1回くらいしか風邪をひきませんが,バカだから風邪をひかないんだと言われないようにもっと頑張りたいと思います.まずは仮免の学科試験ですね.頑張ります.では.

よくわかるN次元の極座標変換。

おはようございます.今日もいい天気ですね.

 

最近,極座標変換について講義で詳しく説明されたことないなあ,とふと思った.もちろん,3次元の場合までは講義でやるけれども,N次元の場合は記憶が正しければ教わったことはない気がする.そこで今回はN次元の場合の極座標変換について説明することにする.

 

x\in\mathbb{R}^N として,

x_1=r\cos\theta

x_2=r\sin\theta\cos\varphi_1

x_3=r\sin\theta\sin\varphi_1\cos\varphi_2

・・・

x_{N-1}=r\sin\theta\sin\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}\sin\varphi_{N-2}

x_N=r\sin\theta\sin\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}\cos\varphi_{N-2}

0\leq \theta,\varphi_1,\dots,\varphi_{N-3}\leq\pi0\leq\varphi_{N-2}\leq2\pi

とおく.

このときのJacobianは

r^{N-1}\sin^{N-2}\theta\sin^{N-3}\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}

となるので,

dx=r^{N-1}\sin^{N-2}\theta\sin^{N-3}\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}drd\theta d\varphi_1\cdots d\varphi_{N-2}

である.

これは N=2,3 のとき成り立つことはよく知られているから,N\geq 3 として数学的帰納法により示すことができる.この証明のアイディアとしては,まず直交座標から円柱座標に変換し,その次に円柱座標から極座標に変換すればよい.この説明がわかりやすいサイトとして

wasan.hatenablog.com

が挙げられる.一応杉浦光夫著の『解析入門II』にも記述があるが,初学者にとっては説明が難しく感じられると思う.

 

ここで,半径 r のN-1次元単位球面 S^{N-1}=\{x\in\mathbb{R}^N||x|=1\} の表面積 \Omega_{N-1} は,Gamma関数 \displaystyle\Gamma(s)=\int_0^\infty e^{-x}x^{s-1}dx を用いて

\displaystyle\Omega_{N-1}=\frac{2\pi^{N/2}}{\Gamma(N/2)}

と表せることが知られている.

ゆえに関数 f(x)|x|=r のみの関数で f(x)=g(r) と表せるとき,

\displaystyle\int_{\mathbb{R}^N}f(x)dx=\Omega_{N-1}\int_0^\infty g(r)r^{N-1}dr

積分を書き換えることができる.

 

ルベーグ積分の場合のこの証明として

が挙げられる.

 

さて,昨日修了検定があって無事パスしました.今度の日曜日仮免の学科試験があるので,研究と両立して勉強したいと思います.では.

研究進捗2016/12/2

・先週発表した内容をすべてLaTeXにまとめた.

・熱力学からの観点から残りの境界条件をすべて導出し,ゼミで発表した.

・これにより,Navier-Stokes-Korteweg system の2相流体のモデリングが終了した.

 

<来週の目標>

・表面張力などをしっかり計算する.

・上記の計算を元に,Navier-Stokes-Korteweg system を線形化する.この結果はS田先生のNavier-Stokes-Fourier system の結果と同様になるので,それを確認する.

・昨日のゼミで発表した内容をLaTeXにまとめる.

 

さて明日はいよいよ仮免前の終了検定です.安全運転を心がけたいと思います.では.

関数解析の本。

関数解析」といわれるものは非常に範囲が広い分,その応用も多岐にわたる.しかし関数解析の授業が解析系の分野として扱われるため,学部生のとき,解析系に進まないから勉強しなくてもいいや,という人をよく見かける気がする.

 

大学院に進学してから研究で関数解析を使うことが判明して,いざ関数解析を勉強しようと思っても,関数解析の本はいろいろあり,また本によって載っている事項が微妙に違ったりしていて,独学するには難しい.そこで今回は関数解析の本を紹介することにした.

 

関数解析の参考書としてまず挙げられるのは吉田耕作先生の "Functional Analysis" である.

Functional Analysis (Classics in Mathematics S.)

Functional Analysis (Classics in Mathematics S.)

 

この本はいろいろなことが載っているが,古い本ということもあり,半群の理論についてはほとんど書かれていない.また,証明は行間が広すぎてほとんど参考にならない.良くも悪くも辞書のような本.

 

またゼミで大人気の本としてBrezis 先生の "Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations" が挙げられる.

Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations (Universitext)

Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations (Universitext)

 

ただ,この本もよくわからない上に証明の仕方に癖があり,独学には向かない.一方「読み応えのある」本なので自主ゼミにはピッタリ.

 

実解析への応用を意識した本としてAdams-Fournier の "Sbolev Spaces" が挙げられる.

Sobolev Spaces, Volume 140, Second Edition (Pure and Applied Mathematics)

Sobolev Spaces, Volume 140, Second Edition (Pure and Applied Mathematics)

 

この本は前半にはヒルベルト空間やルベーグ空間などの基本がさらっと書いてあり,Sobolev 空間や補間空間,Lorentz 空間,Besov 空間などについてそこそこ詳しく書いてある.いわゆる「解析系」の研究室に進む人は持っておいて損はない.ちなみに私はよく参照している.

 

和書で有名な関数解析の参考書として黒田先生の「関数解析」が挙げられる.

関数解析 共立数学講座 (15)

関数解析 共立数学講座 (15)

 

いろいろ書いてあり,初めて見たときにはこんなに勉強できないよ,と思ってしまうが,ここに書いてあることは(最低限)すべて勉強すべきことなので,関数解析を独学する場合は,この本をベースにわからないところをほかの本を参照しながら読み進めていくスタイルがよいと思う.ただ,この本はビジュアル的に読みにくい.

 

和書で有名な関数解析の参考書として藤田・伊藤・黒田の「関数解析」が挙げられる.

関数解析 (岩波基礎数学選書)

関数解析 (岩波基礎数学選書)

 

この本は見た目は難しそうだが,説明は丁寧である.先程紹介した黒田先生の「関数解析」の本が嫌だなって人はこっちでもいいと思う.この本の弱点を挙げると,索引が少ないのでわからなかったことを調べにくいことである.この本の後ろのほうは内容が少し難しいので,途中で読むのをあきらめてもいいと思う.

 

私のように授業を全く聞いてなかった人が関数解析を独学するとなった場合,上で紹介した本は少々とっつきにくいかもしれない.そんな人には洲之内先生の「関数解析入門」を紹介したい.

関数解析入門 (サイエンスライブラリ―理工系の数学)

関数解析入門 (サイエンスライブラリ―理工系の数学)

 

この本は「本当に」最小限知っておくべきことがコンパクトにまとまっている.授業の予習にはぴったりな感じだが,期末試験の勉強などには向かないし,レポート書くときも参考にならない.あくまでもさらっと勉強するしたい人向けの本.ちなみにこの本の付録についてあるルベーグ積分はうまくまとまっているのでルベーグ積分を全く勉強したことない人はこの本の付録でルベーグ積分を勉強するのがいいと思う.

 

標準的な関数解析の「教科書」として増田先生の「関数解析」が挙げられる。

 

関数解析 (数学シリーズ)

関数解析 (数学シリーズ)

 

この本は難しすぎず、かといって簡単すぎないので「丁度いい」。関数解析の授業ではこの内容に沿って行われることが多いと思う。

 

増田先生の「関数解析」よりもう少し詳しい本として宮寺先生の「関数解析」が挙げられる.

関数解析

関数解析

 

この本は他の本では省略されている式変形が詳しく書かれていることが多く,「初心者」向けの本である.ただ,用いている記号がやや古い感じがするので,そこさえクリアできれば持っていて損のない本。しかし絶版であるから図書館で借りよう。

 

最近出版された本として山田先生の本が挙げられる。

工学のための関数解析 (工学のための数学)

工学のための関数解析 (工学のための数学)

 

この本は工学向けを謳ってるが、知っておくべきことが満遍なく載っていて、証明もきちんと書いてあるところが多い。カラー印刷だし、結構見やすい。今回紹介した本の中でも一番オススメしたい。誤植が多いという文句がTwitterでチラホラみかけるが、誤植なんてどの本にもあるし、この本に限らず、誤植を訂正する気持ちで読み進めるのがいいと思います。

 

今週の研究の進捗は明日書きたいと思います。では。

研究進捗2016/11/25

・先週は質量保存,運動量保存についてのレクチャーを受けたので,それをまずまとめた.

・運動量保存の式がまだ完成していなかったので少し計算した.

・エネルギー保存則,熱力学第1法則を仮定した場合の境界条件を導出した.

・応力テンソルT=S+KS=\mu D(u) +(\lambda-\mu){\rm div}u\ I-\pi IK=(\alpha_0|\nabla\rho|^2+\alpha_1\Delta\rho^2)I+\beta\nabla \rho\bigotimes\nabla\rho で与えられる場合の様々な条件を導出し,一般に知られる Korteweg tensor がwell-defined であることを確認した.

 

<来週の目標>

・熱力学の観点から成立している式を仮定した場合の境界条件をすべて導出する.

・導出した境界条件が正しいことをゼミで確認する.

・ゼミで発表した内容を先生や助教の指摘をもとに修正し,LaTeXにまとめる.

 

 

 自動車学校と両立しながら頑張っていこうと思います.では.

修論の研究テーマが決まった。

11月ももう中旬になり,今年も残りわずかとなった.そして修論の研究計画書の提出の締め切りもじわじわと迫っている.

 

さて,昨日のゼミにて修論の研究テーマが決まった.Navier-Stokes-Korteweg 方程式の2相問題,特に表面張力があり,相転移を伴う2相流体の自由境界問題を研究することになった.一見難しく聞こえるが,簡単にいえば水が蒸発するときにその水の境界がどう変わるのかを数学的にきっちり解析しようという研究である.ただし,非圧縮性流体の場合,圧力項の扱いが難しくなるので,とりあえずは圧縮性流体ー圧縮性流体の問題を考えるようだ.

 

Navier-Stokes-Korteweg 方程式は方程式に密度の微分の項が含まれている点が「通常」のNavier-Stokes 方程式と異なる.密度の微分の項が含まれるのは,相転移(例えば水が蒸発するなど)を考慮した為である.Navier-Stokes-Korteweg 方程式は最近盛んに研究されているが,ほとんどの研究が「1相」の問題である.しかし,Navier-Stokes-Korteweg 方程式は相転移を記述するために提唱された方程式であるので「2相」の問題を考えるのが自然である.

 

そういえば昨日のゼミの後先生に学振DC1についていろいろ話をされた.私は一言もD進するとは(たぶん)言ってないのに,D進を前提にいろいろ話が進んでいるのはなぜだろう.秋から研究始めるし,学振DC1は業績ゼロで突撃するのかなとてっきり思っていたけど,冬休みに立派でなくてもいいから練習のために論文を書きはじめて,4月にはアクセプトもらおうと先生に言われた.数学の理論系の場合,学振DC1は論文ゼロで応募する人が多い分,論文をもっているとかなり優位に立てるらしい.いつもお世話になっている助教は学振DC2に通っているので何か心強いが,タオ先生のブログに書かれていたように,いずれはきちんと先生から「独立」しなきゃいけなんだよなあ.

 

何はともあれ,今後研究の進捗を少しずつこのブログに書いていこうと思う.とりあえず今日は教習所いって坂道発進をマスターしたいと思います.