べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

アメリカ滞在記 Part 00。

今年の5月25日から9月2日までアメリカのペンシルベニア州ピッツバーグに派遣されることになりました.あのイギリス滞在記から5ヶ月くらいしか経っていません.一昨年のドイツ(ダルムシュタット)や昨年のイギリス(ロンドン)の場合と派遣時期が異なるのは,いろいろな事情によるものです.今回も昨年と同様に,ここに滞在記を記しておこうと思います.ただし,昨年は頑張って毎日の記録を書いていましたが,今回はそうできるかどうかはわかりません.予めご了承ください.


ピッツバーグペンシルベニア州では人口第2位の都市.第1位はフィラデルフィア.とはいえ,場所はフィラデルフィアほど東ではなく,感覚的にはニューヨークとシカゴの間くらい.緯度的にはニューヨークと同じくらいだけど,内陸部ということもあり,冬はかなり寒いらしい.日本からピッツバーグへの直行便はなく,基本的にはどこかで乗り継いで行くことになる.私はワシントンD.C.を経由してピッツバーグにきた.そういえば,ワシントンD.C.からピッツバーグに移動する機内でCAの人が隣に座っていて(私は最後方に座っていた),機内のアナウンスが終わると「オーライ!ロッケン・ロール」とか言っていたけど,全く意味がわからなかった.一方で,帰国する際はシカゴを経由して成田に行く.帰国する便が朝 8:05 発っていうのがネックなんだよなあ.3ヶ月前の私,なぜこの便にしたんだ.


ピッツバーグ大学では,Giovanni Paolo Galdi 教授(72歳)という,ナビエ・ストークス方程式を(数学的に)研究している人ならば誰もが知っているような世界的にすごい先生のもとで研究を進めます.このような大先生を訪問できたというのは完全に指導教員のコネである.この先生のもとで3ヶ月+α を過ごすのは,人生においてたぶん最初で最後になるだろう.なるべくたくさんのことを学び,吸収したいと思う.がんばろう.


さて,滞在記をいろいろ書く前に,ここまでの準備だったり,これからの移動についてまとめておこうと思う.


【J1ビザ】

今回の滞在は3ヶ月を越えるのでビザの申請が必要.私はJ1ビザという短期の交流訪問者ビザを申請した.ビザの申請には,受け入れ先の大学(今回はピッツバーグ大学)との連絡が欠かせない.準備にはかなり時間がかかるので,(遅くても)渡航する3~4ヶ月前くらいから準備をしたほうが良い.準備には下記のウェブサイトが参考になった.

masa-saito.hatenablog.com

rikejoathokkaido.hatenablog.com


どのような書類が必要とかは,将来変わると思うけど,大きくは変わらないでしょう.私の場合,滞在資金の証明として SGU の Guarantee letter(滞在にかかる費用はSGUが負担しますよみたいな書類)を準備した.語学力を証明する書類に関しては,受け入れ先の先生が私の語学力を保証する,ということで特に提出はしなかった.DS-2019 の発行にはかなり時間がかかるので,早めに動くのが吉.私は2月末から準備を始めたけど,ちょっと遅かったような気がする(間に合ったけど).DS-2019には自分のサインをしなければいけないけど,それは

www.e-usvc.com

を参照のこと.入国審査のときはパスポートとDS-2019を見せて,(本当に)簡単な質問に答えるだけで大丈夫だったくらいDS-2019は重要な書類なので,失くさないようにしなければならない.



【滞在先の確保】

昨年のロンドンのときと同様にAirbnbで滞在先を確保した.場所は大学まで徒歩15分となかなかの好立地.ちなみに,カーネギーメロン大学も徒歩でいける.


部屋は一人で過ごすには十分な広さ.そして何より机が大きい.たぶん大学の机より大きいと思う.大変ありがたい.ただし,トイレ・風呂・キッチンは共用.でも昨年と違って部屋に鍵がかけられるようになっているので良しとしよう.管理人は別のところに住んでいて,建物自体が完全にAirbnbの滞在者向けの仕様.自転車あるし,洗濯機も2台ある.そして朝ごはん(オレンジジュースとかシリアルなど)は冷蔵庫の中にあり,自由に使っても良い.非常に好物件だと思うけど,一つ文句を申し上げると冷蔵庫が滞在する人数の割には狭い.


昨日夕飯食べているときに,別の部屋の人(名前は聞き取れなかった)と挨拶したけど,その方もピッツバーグ大学を訪問するためにここに泊まっているようだ.滞在期間は6週間とのこと.たぶん他の部屋の人もそういう感じの人なのかな.


ピッツバーグまでの移動】

私が滞在しているのは,ダウンタウン地区の隣にあるオークランド地区.そこまで移動するのに,バスかタクシー,Uber という選択肢があったが,私はバスを選択した.バスの支払いは現金かよくわからないカードのみ.ロンドンみたいに visa payWave でOKだったら楽だったのに.小銭を用意するために,わざわざ自販機でお菓子を買った.バスの中に両替機があったかどうかは見ていない.


ちなみに,最初スターバックスでコーヒーを買って小銭を作ろうと思っていたけど,2.94ドルだったので,失敗した(25セントを3枚ほしかった).しかも,店員になんか聞かれて全部OKしたらめっちゃ甘いコーヒーが出てきた.どうやらシロップ入れますか?ということを聞かれたらしい.いや,普通シロップなんか入れないでしょって思ったけど,アメリカでは普通のことなのかもしれない.


到着ロビーには,1~8の出口があり,バスは6番出口.バスは狭いので,もしスーツケースのように荷物が多い場合は素直にタクシーで移動するほうがいいかも知れない(高いけど).というか,完全に車社会なので,公共交通機関で移動する人が超少数派なんだよな.バスには降車ボタンがなく,代わりに黄色の紐(?)を引っ張ることでバスが停車してくれる.ちなみに,次の停車がどこかということは表示される.



さて,昨日無事部屋に着いて気持ちよく寝ることができました(現在朝8時).時差ボケは残っていると思いますが,今日からいろいろ頑張ろうと思います.今日は大学の周辺を散策しようと思います.では.

偏微分方程式の本。

以前このブログのコメント欄で「偏微分方程式の本を紹介してほしい」という投稿がありました.今日はたまたま朝早く起きれたので,個人的な見解と偏見と体験に基づいて偏微分方程式の本の紹介をしていきたいと存じます.ただし,よくある「本のレビュー」ではなく,「知っている本を片っ端から紹介する」というスタイルで行こうと思います.本のレビューは口コミとか Amazon のレビューとかを参考にすれば十分でしょう.


さて,偏微分方程式は時間微分や空間微分からなる微分方程式で,大きく分けると次の4つの「型」に分類されるといわれます:

放物型偏微分方程式

楕円型偏微分方程式

双曲型偏微分方程式

分散型偏微分方程式


どの方程式が「偉いか」ってことはないけど,どの分野(の研究)が「流行っているか」というのはありますが,いろんな人に怒られそうなので,ここでの言及は控えたいと思います.それぞれの方程式の特徴は各本にゆだねるとして,ここでは,それぞれ書かれた本のうち,有名またはおすすめできるものを紹介することにします.特に,分野を問わず,全般的に書かれた本を紹介しようと思います.ただし,④分散型偏微分方程式は近年に研究が盛んになってきた方程式ということもあり,下記に挙げる本には載っていない場合が多いです.私はこの方程式に詳しくないのでここでは,①-③の方程式を扱った本を挙げておこうと思います.


まず,いわゆる「初学者」にお薦めしたいのは金子先生の本である.

偏微分方程式入門 (基礎数学)

偏微分方程式入門 (基礎数学)


この本は放物型,楕円型,双曲型の方程式について満遍なく載っている.また物理例も多いのでいろいろイメージしやすいかと思う.自分が4年生のときにちゃんと読んでいればよかったなあって思う本.細かいところの説明は他の本にゆだねている感じで,「広く浅く」学ぶのに適しているような気がする.いわゆるスタンダードな教科書だと思う.ただ,かなり難しいこともさらっと書いてあったりするので,わからないところがあったとしても病む必要はない.


昔ではスタンダードな教科書で最近復刊になった本として,溝畑先生の本が挙げられる.

偏微分方程式論

偏微分方程式論


エネルギー法がわかりやく説明されているという噂を聞いたことがあるけど,私はわからなかった.というか自分にとっては未だにわかりにくい本.最近の研究成果が反映されていないこともあり,正直お薦めはしない.エネルギー法を勉強するならば,松村先生と西原先生の本が良いと思う.

非線形微分方程式の大域解 --- 圧縮性粘性流の数学解析

非線形微分方程式の大域解 --- 圧縮性粘性流の数学解析


この本は「とりあえずエネルギー法」とは何か?ということにコミットした本で,自分がエネルギー法を理解しようとしたときに役立った.本来ならば軟化子を用いて計算を正当化しなければならないところがあるが,そういった点を(一旦)無視して話を進めていこう,というスタンスを取っている.個人的にはこういうスタイルは好きなので(なんとなく)読み進めるのは楽しかったが,厳密に読んでいきたい人には合わない本だと思う.軟化子を用いる議論は極めてスタンダードだし,なぜ滑らかになるのかということも(この本に限らず)ちゃんと書いてあるんだけど,個人的には「軟化子をフーリエ変換すると低周波と高周波の部分が切り落とされるからベルンシュタインの不等式から軟化子は滑らか」という説明の方がわかりやすい思う.


さて,話が少し逸れてしまった.他にスタンダードな教科書として Evans 先生の本をお薦めする.

Partial Differential Equations (Graduate Studies in Mathematics)

Partial Differential Equations (Graduate Studies in Mathematics)


通称「Evans」.関数解析の Brezis 先生の本に並んで,著者名があたかもタイトルのように聞こえるのはすごいと思う.この本は学部4年生のゼミの輪読で用いられることが多いと思う.いま読んでみると確かにいろいろよくまとまっているけど,まとまりすぎているので,初学者が勉強するのには向かないと思う.個人的には「復習用」の本だと思う.あまり知られていないけど,この Evans 先生の本よりもそこそこわかりやすく書かれた本として

Distributions, Partial Differential Equations, and Harmonic Analysis (Universitext)

Distributions, Partial Differential Equations, and Harmonic Analysis (Universitext)

を挙げる.この先生が基本解信者なせいかもしれないけど,やたらと基本解の説明が多い.基本解を理解したいだけだったらこの本でいいと思うけど,「勉強」となるとちょっとバランスが悪いと思う.本の「バランス」を考えるならば Evans 先生の本が一番いいのかなあ.Mitrea 先生よりもバランスが取れていて,いろいろ専門的なことまで踏みこんだ本として田辺先生の本がある.

Functional Analytic Methods for Partial Differential Equations (English Edition)

Functional Analytic Methods for Partial Differential Equations (English Edition)


個人的には参考になる本だけど,明らかに初学者向きではない.いろいろ参考になるけど,明らかに初学者向きでない本として Taylor 先生の本を挙げる.

Partial Differential Equations I: Basic Theory (Applied Mathematical Sciences)

Partial Differential Equations I: Basic Theory (Applied Mathematical Sciences)

Partial Differential Equations II: Qualitative Studies of Linear Equations (Applied Mathematical Sciences)

Partial Differential Equations II: Qualitative Studies of Linear Equations (Applied Mathematical Sciences)

これらの本はいろいろ書いてありすぎて困る.辞書代わりに用いるのがいいと思う.また,最近優秀な後輩に教えてもらった和書で

楕円型・放物型偏微分方程式 (岩波オンデマンドブックス)

楕円型・放物型偏微分方程式 (岩波オンデマンドブックス)

がある.この本もいろいろ書いてあってとても参考になりそうな本だけど,明らかに初学者向きではない.初学者向きでない本ばかり挙げていると怒られそうなので,初学者の私が個人的に役立った本を列挙しておこう.

偏微分方程式論―基礎から展開へ (数学レクチャーノート 基礎編)

偏微分方程式論―基礎から展開へ (数学レクチャーノート 基礎編)

ベクトル解析から流体へ

ベクトル解析から流体へ

ちなみに,私が4年生のときは最後の垣田先生と柴田先生の本の3章と4章をまじめに読んだ.でも,いま振り返ってみればほかの本も一生懸命勉強しても良かったかもしれない.


ところで,大学の講義の単位をとりたいだけならば岩下先生の本を勉強するといいと思う.

工科のための偏微分方程式 (工科のための数理)

工科のための偏微分方程式 (工科のための数理)

この本は基本的なことがしっかり書いてあるので初学者にはおすすめだけど,ちょっと物足りなさはあるかもしれない.



近年の偏微分方程式の(大きな)研究傾向として,①新しい数理モデルの提唱,②調和解析・実解析の駆使,③微分幾何によるアプローチ,④ノイズを入れて Randomness を考慮する,⑤数値シミュレーションの結果を数学的に証明する......などが挙げられます.偏微分方程式を専攻したい人は,偏微分方程式の本だけでなく,分野を問わずいろいろ勉強するのがいいのかなと思います.少なくとも,微分幾何(リーマン幾何)は用いられることが多いです.コメント欄で「偏微分方程式の本を紹介してほしい」って言ってきた人(4年生)がどういうつもりで質問したかはわかりませんがこの記事が少しでも役に立ったらいいなあと思います.でも今日は天気がいいので部屋で勉強するよりもピクニックにでも行ったほうが気持ちいいと思いますよ!では.

研究進捗2019/04/25

このブログは私が思っていたよりもいろんな人に読まれているようです.今後は,読まれても恥ずかしくないようにもうちょっとまじめに書いていこうと思います.


<これまでの進捗>

・去年の春投稿していたLocal theoryの論文がリジェクトされた.まあダメもとで投稿していたので仕方ない.もう少し丁寧に書いた後に別のジャーナルに投稿しよう.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式の線型化問題の解の低周波部分のストリッカーツ型の時空評価の導出に成功した.解の減衰評価を導出しようと思っていた時期もあったが,初期速度場の大きさを制限せずに時間大域解を構成したいので,解の減衰評価は必要なさそうである.重要な点は,解の時空評価が,コリオリパラメータに依存しないような定数を用いて書くことができる点にある.中周波部分および高周波部分については, TT^*-argument を用いることなく,直接計算することで導出できそうである.これはまだ計算中である.特筆すべき点は,compressible Euler の場合と異なり,解の時空評価が  L^p_t L^\infty_x with  1 \le p \le \infty ノルムで得られる点にある.すなわち, p < 2 の場合も許容する点にある.これは流体の粘性に起因するものであり,これによって時間大域解の構成が可能になると思われる.実際に,compressible Euler の場合は,粘性がないために, p \ge 2 の場合しか時空評価が得らない.そのために,回転速度を  \Omega \to \infty とすると解の lifespan は  T \to \infty となるものの,時間大域解の構成は不可能であった.本研究は,粘性を加えれば時間大域解の構成が可能であることを目指すものである.先月までは,何の結果も得られずとても困っていたが,解決の糸口が見えてきた(気がする).

・指導教員から Q-tensor モデルの研究を一瞬勧められたが,その後何も言われなかったので放置した.

・全空間における圧縮性ナビエ・ストークス方程式の結果をまとめ,ホームページに載せた.また,昔(Google)翻訳した Solonnikov-Shchadilov の有名な論文も公開した.電通大の伊藤先生が最近これと関連した論文を書いたという噂を聞いたが,詳細は知らない.ちなみに,ホームページで公開しているレクチャーノートは誤植がところどころあるのでご注意ください.

・外部リプシッツ領域におけるナビエ・ストークス方程式の mild solution をスケール不変な関数空間  L^\infty_t L^3_x で構成した.すなわち,時間局所解および小さい初期値に対する時間大域解の一意存在を証明した.ただし,Bogovskii lemma に関して解決すべき点が若干あるので,現在いくつかのギャップについて考察中である.なお,これはフランスの Patrick Tolksdorf さんとの共同研究である.私だけじゃこんなに考えることはできない.

・解決すべき点は,具体的には,外部領域で方程式の解を構成において全空間と有界領域の結果を切り落とし関数を用いてつなぎ合わせた際に用いる Bogovskii 作用素で,Geissert et al. では切り落とし関数を2つ用いて解を構成しているが, B_2 ((\nabla \eta) f) = 0 on  K_1 という主張にギャップがある.これを解決すべくいろいろ考えているが,切り落とし関数を2つではなく1つにすれば解決できそうである.

・優秀な同期のT君が今年の夏に学位を取得するみたいで,先生から君も頑張ろうみたいな煽りを受けてしまった.頑張って論文を書かねば......

・来月末からアメリカに派遣されることになったのでビザの手続きをした.ビザの申請はおりたのでたぶん大丈夫なはずだけど,大学のオンラインシステム上でもいろいろ手続きが必要みたいだ.これはさっき知ってかなり焦っている(一応手続きは申請したが,まだ受理はされていない).

・ダウンロードしたPDFファイル(論文)を整理した.今後は毎週整理するようにしよう.


<今後の目標>

・適切なジャーナルに論文を投稿する.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式の時間大域解を,初期速度場の大きさを制限せずに構成する.

・Solonnikov 先生の,表面張力のない,圧縮・非圧縮2相流の自由境界問題の時間大域解に関する論文を読み,密度関数の可微分性の損失をどのように解決したのかを理解する.

アメリカに行った後に精神を病まないようにする.


今年度より,正式に,日本学術振興会の特別研究員(DC2)に採用されました(先程学振のホームページで確認した).今後も頑張ります.いろいろ間違っていても,温かい目で見守っていただければ幸いです.

研究進捗2019/02/27

いままで気まぐれに研究の進捗を書いていましたが,今後は偶数月の月末に更新しようと思います.


<これまでの進捗>

・Global の論文がリジェクトされた.理由は少々納得のいかないものだったけど,反論するのも面倒なのでそのまま.現在書き直しているけど,Local の論文はまだ査読中なので,そんなに焦る必要はないと思う.

・外部リプシッツ領域におけるストークス方程式の研究・・・・・・進捗無し.というより手をつけてない.そろそろやらないと.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式を研究してみたけど,ちょっと難しすぎて無理そうな気がしてきた.そもそも特性根が漸近展開された形でしかわからないし,回転速度  \Omega と密度を  \varrho = \rho_* + \alpha \rho と表したときのパラメータ  \alpha の両方に(あまり)依存しないような評価を作らないといけない点が難しい.そして何より,特性根の微分が求められないから,フーリエ・マルチプライヤー定理を使うことができないので,半群の decay を調べようがない.ただし,幸い(?)特性根の実部は真に負であることは証明できた.上田先生(神大)や川島先生(早大)らが構築しようとしている一般論が完成されれば,半群の減衰評価を出すことはできると期待される.要約すると,「今はまだ解析できない」ってことですかね.研究課題のチョイスを間違えた感が否めない.空間2次元における熱伝導のある圧縮性ナビエ・ストークス方程式の時間大域適切性が open problem らしいことも考えると,取り組んでみようと思った問題は正直「だめ」な気がする......んー,3~4ヶ月くらい取り組んでみて進捗がほぼ0だしなあ.

・ということで,指導教員に相談したら,「難しいし,よくわからない」といわれてしまった.一つ別の方法を(一応)提示されたけど,なんかあまり良い方法ではない気がするんだよなあ.結局特性根の exact な表現は得られないし.

・(取り組んでみた問題が難しいので)指導教員から昨日別の研究課題を提示され,論文が送られてきた.まだ読んでない.

・論文をいろいろ読んだ.勉強したことはまだまとめられていないのでまとめないと.

・来年の6月~8月,アメリカのピッツバーグ大学に派遣されることになった.偉い先生のもとで指導を受ける予定.


<今後の研究目標>

・論文を投稿する.

・共同研究を進める.

・指導教員から送られてきた論文を読んでみる.

・重力付きの圧縮性ナビエ・ストークス方程式の研究を考えてみる.この場合はコリオリの場合と異なり,定数に気を使う必要はそれほどないのでさくさく計算が進むと思う.でもあんまり「良い」問題ではない気がする......



帰国して早いもので3ヶ月くらい経ちました.順調にリバウンドが進んでいますが,今後は飲み過ぎ食べすぎには気をつけようと思います.では.

研究進捗2018/12/28

研究進捗を書くのは8月ぶりです.なんか思っているよりも多くの人(しかも知り合い)がこのブログを読んでいるみたいです.ありがとうございます.この点を考慮して,今後は支障のない範囲で詳細に研究の実施状況を書いていこうと思います.といってもあまり変わらないかもしれません.


<これまでの進捗>

・学振DC2に採用されました.申請書を読んでいただいたみなさま,本当にありがとうございました.優秀な同期のT君や他大の同期なども面接なしで採用された.めでたい.一方で面接の結果はまだ出ていないみたい.面接になった方々可愛そう.

・レクチャーノートをいくつか書いた.ところどころ誤植はあるので,見つけた方は教えていただけると助かります.個人的にはベゾフ空間とフーリエ・マルチプライヤーのノートは良くまとまっているかなと思う.

・共同研究で取り組んでいる外部リプシッツ領域におけるストークス方程式の研究があまり進まなかった.ストーク半群が解析半群になることは春ぐらいにはわかっていたけど,有界になるかどうかはまだ解決できていない.本当は春の学会で発表したかったけど間に合わなかった.ただ,証明のアイディアは洗練されてきて,あとは細かい計算のチェックだけで済むと思う.たぶん来年の秋の学会では発表できると思う.

・3月に投稿した論文が先週ようやく Under review になった.何度も問い合わせたことが良かったのかもしれない.8月に投稿した論文も査読中らしい.3月に投稿した論文の査読結果が出るまでは二相流の研究は放置(注:指導教員も承認済み).

・9月から12月までイギリスに派遣された.英語は勉強しなきゃだめだなって思った.留学の模様は「イギリス滞在記」シリーズを見てください.おかげでいろいろ学ぶことができた.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式の研究を始めた.特性根を求めることが難しいので工夫する必要がある.年末年始に頑張って計算しよう.


<今後の研究目標>

・投稿している論文の査読結果を気長に待つ.頑張って待つ.でも,できれば来年の夏くらいまでには査読レポートがほしい.

・もし投稿した論文がどこかにアクセプトされたら二相流の研究を再開する.もしかしたら解の減衰レートが一相流の場合と異なるかもしれないけど,だいたいのアイディアは一相流のものを使えばいいと思う.たぶんこれは計算が頑張ることが主な仕事になると思う.これはたぶん良い論文になることでしょう.

・外部リプシッツ領域において,ストーク作用素有界な解析半群を生成することの証明を完成させる.またその論文を投稿する.たぶん大変良い論文になることでしょう.

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式を全空間および半空間で解析する.残念ながら何を解析するかはここでは書けない.たぶんこの研究はポスドク時においてメインの研究となることでしょう.これも大変良い論文になることでしょう.とりあえず全空間における解析は来年の秋の学会で発表できるよう計算を頑張りたい.

・上の研究課題で,全空間の論文が書けたら,半空間での解析と平行して,重力がある場合の解析も始める.これも大変良い論文になるでしょう.

・上の研究課題で,頭が良くなったら Imcompressible limit についても考察する.完璧な考察ができればこれも大変良い論文になることでしょう.

有界および外部リプシッツ領域におけるストークス方程式の時間周期解の研究を始める.難しいので数年がかりの研究になることでしょう.でもできるはず.

・外部リプシッツ領域で境界がぐるぐる回転する問題を考えてみる.これは去年ダルムシュタットに行ったときに,Hieber 先生から提案された問題.これは共著論文が書けたら取り組む.これも難しいので数年がかりの研究になることでしょう.これは難しすぎたら諦める.

・気が向いたら最大正則性に関する一般論を勉強する.多くの場合,劣臨界な場合しか考えていないので,臨界・超臨界な場合はどうなるのかを調べてみる.これは単純に趣味なので一生懸命取り組んだりはしない.

・時期は未定だけど,来年はアメリカに派遣させていただく予定なので,英語の勉強を頑張る.まずは発音から勉強する.加えて,できれば語彙力を増やす.可能だったら英検を受ける.

・再来年,学振PDに応募することを見据えて,来年は論文を3本は書く.学振PDは(数学ならば)4本アクセプトあれば業績的には問題ないはず......二相流以外で3本分のネタはある(というよりいま共著で1本書いている)のでたぶん書けるでしょう.また,今後のキャリアを考えて,なるべく有名なジャーナルからアクセプトがもらえるよう頑張る.

・自主ゼミをする.現在候補としては Tai-Peng Tsai 先生著の "Lectres on Navier-Stokes Equations."

リンク:Lectures on Navier-Stokes Equations

ということで,誰か一緒に読みましょう.ところで,1年前は知らなかったけど,タイトルで冠詞は省略できるから,この本のタイトルが Lectres on the Navier-Stokes Equations となっていないのは間違いではないんだよな.英語って不思議ね.


今後も頑張ります.来年の頑張りが今後の人生を左右するような気がします.ではみなさん良いお年を.

イギリス滞在記 part 14(最終回)。

イギリス滞在も最後の週となりました.しかし,そこには衝撃の事態が待ち受けていた!......と書きたいなと思いましたが,特に何事もなく,いつも通りなんてことのないふつうの1週間でした.何も起こらない平穏な毎日......私の人生を象徴しているような気がします.先日,親から「フランスは暴動がすごいし,夜は気をつけるように」とメッセージをいただきました.こうして,いま振り返ってみると「何事もなかった」というのは良かったことなのかもしれません.


前回の記事はこちら:

watanabeckeiich.hatenablog.com


目次:

12月09日(Day 92 / 98)

今日は友人のお使いとお土産購入とお散歩の日.日曜日なのにお店が開いているのはすごいなあって思う.実際に,去年ダルムシュタットに滞在したときは,日曜日はどこのお店も閉まっていて苦労した思い出がある.やっぱり都会だと日曜日も開店せざるを得ないのかな.店員およびスタッフのみなさんお疲れ様です.


友人のお使いは,お店を見つけることができずに失敗したけど,お土産をいろいろ買うことができた.満足.結局,今日は一切数学をしなかった.とても久しぶりな気がする.気分転換となってよい休日となった.明日からは頑張ろう.


前から思っていたんだけど,犬を連れて地下鉄に乗ることができるってすごいと思う.というより,しっかりとしつけられているのがすごいなって思う.地下鉄はもちろん,公園とかでも犬が吠えているところは見たことがない気がする.


12月10日(Day 93 / 98)

午前中はSDEの講義.主に前回までの復習と,数値シュミレーションの結果の紹介,演習問題の解説だった.ちょっと難しかった.水曜のチュートリアルは引き続き演習問題を扱うとのこと.演習問題の類題が試験に出るということでみんな真剣に聞いていた.


午後はレポート課題を進めようと思っていたけど,よくわからないので断念.半分やったからいいかなあ.というより,わからないものはわからないよねって感じ.


ということで,その後は共同研究者からの「仕事」をやった.まあ自明だろうなあってことを証明するだけなんだけど,自明ではなかった.というよりも違っている説もある......やっぱり,証明は丁寧にちゃんと考えなきゃだめだなあって思った.


コーヒー飲もうと思っていたけど,タンブラーが割れて使い物にならなくなったので,新しく購入した.


いままでよりも一回り大きくてちょうどいい大きさ.帰国してからも積極的に使おう.


さて,夕方はジムに行った.そこそこ空いていた.試験中だからかな.体重は微減.体重が減らなくなったのは筋肉ムキムキになったってことにしておこう.


さて,夕飯は,荷物を整理するために,サラダと日本から持ってきたカップ麺.食べるだろうなあって思ってカップ麺を持ってきたけど,結局食べようとは思わなかったな.今日食べたけど.というか,カップ麺しょっぱすぎてびっくりした.あんなにしょっぱいものだったかな.自炊も明日で終わりかな.木曜日と金曜日も自炊してもいいんだけど,右手だけあかぎれになってとても痛いんだよな.なんでだろう.


12月11日(Day 94 / 98)

夜中の3時半に目が覚めて,二度寝に失敗してしまった.寝れなかったので,ホームページを更新した.


昨日の夜に,研究室の後輩(修士1年)にゼミで何やっているかって聞いたら(粗っぽく言うと)修論の研究の準備,とのことだった.もうそういう時期なのか.私は解析する方程式をモデリングするところでかなり苦労したけど,彼らはすでにモデリングされている方程式をやるみたいで安心.たまに,このブログにつらつら書いた研究進捗見返すと「何を頓珍漢なことを考えているんだ」って思うけど,なぜか「無駄な時間だった」とは思えないんだよな.ああいった「もがき」や「寄り道」を経ることでさまざま知識を得ることができたと思うし.まあでも効率的ではないから後輩たちにはおすすめできないな.というより,後輩たちは私より賢いと思うので研究はスラスラ進むだろうな.私も彼らに負けないよう頑張らねば.


ということで午前中は共同研究を進めた.リース・ポテンシャルの性質をいろいろ調べた.昨日間違っていると思っていたことはやっぱり間違っていそう.ピンチ~.


ところで,ほかに書くことがないので今日のお弁当を紹介しよう.


うん.健康的.たぶん最後のお弁当かな.我ながらよくお弁当作ったなって思う.ほとんどパスタかジャガイモだったけど.


午後は確率・統計の講義.内容は主にマルコフ連鎖モンテカルロ法MCMC)について扱った.さらさら~って説明されたけど,理解が追いつかないよって感じ.スライドでの講義だとこうなっちゃうんだなあって思った.内容は面白そうなのにな.帰国したら趣味として少し勉強してみよかな.


ジャガイモとにんじんが残っていたので,夕食はコンソメスープとサラダ.


今日で冷蔵庫が空になった.ロンドンにおける自炊生活も今日で最後だな.木曜日と金曜日も自炊していいんだけど,あかぎれがひどいので自炊生活は今日で終わり.ちなみにデザートでエッグタルトを(2個も)いただいた.太りそう.


12月12日(Day 95 / 98)

朝,トム君からクリスマスカードをもらった.


中身はちょっとした手紙とチョコ.


やっぱりヨーロッパではクリスマスはお祭りみたいな感じね.1ヶ月くらいクリスマスやっているイメージ.みんな人生楽しそう.滞在先のホストの人が言っていたけど,12月になるとみんなクリスマスのことで頭がいっぱいで思考で停止するらしい.


一方で私は,共同研究が上手くいったりいかなかったりで......正直つらい.正しいと思っていたことが正しくなさそうなんだよなあ.仕方ないので共同研究者にいろいろメールで報告した.別の研究室の優秀な後輩K君がまた論文書けそうっていうのを見ると私はなんて研究遅いんだろうなあって嫌になってくる.扱っている問題が難しいせいだと思いたい.


午前はPDE......というよりは微分幾何チュートリアル.今日は浅水波方程式についていろいろ説明があった.気象モデルで粘性を無視してオイラー方程式を主に扱うっていうのは一見合理的に見えるけど,温度変化は無視しているんだよなあ.地球規模の場合,垂直方向の「近似」が成り立つから大気の運動は(粗っぽく言うと本質的には)2次元になるっていうのは納得しうるんだけど,さすがに温度変化を無視するのはどうなんだろうとは思う.でも,もしかしたら,温度変化が無視できるほど(地球規模からしたら)小さい領域で考えれば十分ってことなのかな.もちろん,この時間は「微分幾何」のチュートリアルなのでそういった説明はなかった.ちなみに,イタリア人のイケメン,ニコロ君は今日もいつも通り遅刻してきた.今日は35分の遅刻(いつもはだいたい 15 分くらい).(毎度のことだけど)サングラスかけて手振って笑顔で教室入ってくるのは笑っちゃうからやめてほしい.まあ,もしかしたらあれがイタリアンスタイルなのかもしれない.


その後は Remus Gabriel Hanea 先生の講演.講演のタイトルは "Decision making under uncertainties" で,内容はタイトルの通りだった.ただ,正直なところ,講演の方向性が見えなかった.やっぱり,数学以外の講演って扱っている内容が「ふわっと」している(ような気がする)から,場合によっては聴衆の「受け止め方」がさまざまになるのかなあって気がした.まあ,もしかしたら,私がちゃんと聞き取れなかっただけってだけかもしれないけど.スライドで,All models are wrong, but some are usuful という言葉が書かれていた.キックオフキャンプ(Day 9 / 98 参照)で見たものと全く同じだ.誰かの名言なのかなって思って調べてみたら George E. P. Box 先生というイギリスの統計学者の格言らしい.

tjo.hatenablog.com


こういう背景を知ることは大切だと思うけど,「勉強」するときは軽視されているような気がするんだよな.気をつけよう.


昼食は食券をもらったので学食へ.本当はお肉食べたかったけど,行列がすごかったので,ベジタリアン用のコーナーのところへ.ニョッキをいただいた.


そういえば,ベジタリアン用のメニューって日本の学食にあるのかな.あると思うけど,わかりやすく明記されていない気がする.今日は食券で清算したからいいけど,これで5.42ポンド(約800円)って高いよね.学食なのに.ちなみに味はまあまあおいしかった.フィリップ君曰く「今日は当たり」の日らしい.


その後はSDEのチュートリアル.演習問題の簡単な解説......って感じだったけど,半分くらいの人は上の空だったと思う.たぶん「夕方のクリスマスパーティーまだかなあ」って思っていたと想像する.まあでも扱っている内容がちょっと難しいということもあるかもしれない.わずか5週間でSDEを理解しろって言われても厳しいような気がする.ちなみに,チュートリアルは予定よりも12分早く終わった.


その後は確率・統計のチュートリアル.先生からメールで送られてきた課題に取り組みましょうとTAの人が言っていたけど,私はそのメールをもらっていなかった.やらなくていいってことなのかな.課題が何かわからなかったので,とりあえず私は数値解析のスライドの復習をしていた.んー難しいなあ.学部生のとき講義をサボりまくっていたツケが今になって回ってきている気がする.もっとちゃんと講義に出席していればよかったなあ.


最後は数値解析のチュートリアル.1次元ポアソン方程式の数値解の求め方についての(理論的な)演習問題.なんかアルゴリズムって頭を使わないとわからないんだなって思った.大変そう.みんなまじめに取り組んでいて,質問も多かったように思う.フィリップ君もまじめに取り組んでいたけど,ちょくちょく「ピザ~ピザ~」ってつぶやいていたのは笑っちゃった.


チュートリアルの様子.こう見えても,決してふざけているわけではないってことを明記しておく.メリハリはしっかりしていたと思う.


年内のすべての講義・セミナー・チュートリアルが終わった後はクリスマスパーティー.分野と学年が違う人たちが交流する機会があるのは良いことだと思う.乾杯の挨拶はコーディネーターの Dan Crisan 先生.正直なところ,挨拶が長いと思った.でも,9月まで秘書を勤めていた方への労いから始まり,私が参加したプログラム: MPECDT を通じて博士号を取得した人へのお祝いのメッセージなど,内容は豊富だった.


今回プログラムに参加して思ったのは,研究費が豊富だからこのようなプログラムが成り立つってことかな.よく,「日本は研究費が少ない!もっと増やそう!」って言われるけど,(額が十分でないのもそうだけど)一番の問題点は毎年いくらもらえるか固定されていない(わからない)ことだと思うんだよな.まあ,残念ながらこれは私が考えたところで解決できるような問題ではない.偉い人たち頑張って.


実はクリスマスパーティーの前に,メンバー間でのプレゼント交換会があった.交換の方式はシークレットサンタ.私は(参加する?って言われたときは)仕組みがよくわからなかったっていうのと,もうちょっとで帰国しちゃうから......ってことでシークレットサンタには参加しなかったから,プレゼント交換会をやる場所から離れてパーティー会場のほうに行こうとしたら,「ケイイチも来て!」とロイスちゃんに言われたので,言われるがままについていったら,急に私にプレゼントを渡してきた.「あれ?シークレットサンタに参加するって言ったっけ?」って戸惑っていたら,みんなからのプレゼントらしい.中身はインペリアルのシャツをもらった.手紙も入っていた.


サプライズ過ぎてちょっと理解できなかった.「日本に帰っても私たちのことを思い出せるようにインペリアルのシャツにしたんだ」って言われてちょっと泣きそうになってしまった.サイズがSだったけど,ぴったりだった.痩せてよかった.ずっと着られるよう帰国後も体型を絶対に維持しよう.それにしてもいつ用意したんだろう......私はみんなよりも長く大学にいたつもりだったんだけどな.


英語が苦手なせいで上手く意思疎通できないことあったけど,ちょっとはプログラムのメンバーのみんなと仲良くなれたのかな.というか,そうであってほしい.ほとんどの人と研究分野が異なる(PDEはオリバー君ぐらい)から,よほどのことがない限り,もう二度と会えなくなると思うと別れがつらくなっちゃうな.あれほど帰国したいって言っていたのに.渡英前に WhatApp をインストールしておいて,もっと英語が得意だったら,もっとみんなと仲良くなれたのかな.そう思うといままで英語の勉強をサボっていたのが本当に悔やまれるな.今後はもっと英語を勉強して気軽に意思疎通できるようになろう.


ちなみに,クリスマスパーティーのご飯は主にピザ.私はピザを食べ過ぎたせいで,途中からその気持ち悪さがプレゼントをもらった喜びを超えてしまった.また,ピザはおいしかったけど,残念ながらお酒は微妙だった(ちなみにこれはみんな言っていた).

12月13日(Day 96 / 98)

今日は大学の近辺を散歩した.外はちょっと寒かった.マフラーを着用すればよかったな.散歩しつつ,後輩に頼まれたお使いをこなした.その後は大学に用事があったので,大学に戻り,用事をこなした.その後はジムに行って運動した.毎回恒例の体重測定は前回よりも「増」.まあ,昨日あれだけピザ食べたからなあ.ということで,今日はいつもよりも運動した.インペリアルのジムに行くのは今日で最後.帰国後も継続して運動するようにしよう.


食べすぎとリバウンドするんだなあ(当たり前).とか思いつつ最寄の駅の近くのパブでハンバーガーを食べた.


このハンバーガーを食べるのも今日が最後かな.帰国したらハンバーガーは食べないだろうなあ.さよならハンバーガー.ただ,終電逃したときはお世話になるかもしれない.

12月14日(Day 97 / 98)

のんびりロンドンで過ごせるのも今日が最後.明日の昼には飛行機に乗っていると思うと信じられない.午前中は荷造りした.この前買った人形3体が大きすぎる.


お昼ご飯はサンドイッチでも食べようかなあって思ったけど,せっかくなのでトラディショナル・ブレックファスト食べた.


写真じゃ伝わりにくいけど,結構量が多い.目玉焼きの下にもう一つ目玉焼きあるしね.またソーセージも,ウィンナーというよりフランクフルトって感じ.ブランチでもちょっと多いくらいの量.


今日も用事を済ませたあと散歩した.街のあちこちに戦争の戦没者の追悼碑があるのはロンドンの特徴かもしれない.戦没者は国ために戦ってくれた「英雄」という考えは戦勝国らしいなって思った.


日本だと戦争のお話はタブーみたいな感じがするけど,ちゃんと戦没者を追悼することはやっぱり大切なことなんだなって思った.こういう話になると「戦争は良くない!」ってなりがちだけど,そういう議論をする前に戦没者を追悼することが先だと思うんだよな.ちなみに,イギリスでは第一次世界大戦が終わった11月11日が休戦記念日になっている.これは第二次世界大戦よりも第一次世界大戦で亡くなった方の方が圧倒的に多いため.


さて,夜はイギリス名物(?)のフィッシュ&チップスを食べた.


ザ・あぶらの暴力といった感じ.これは太る(確信).


帰宅後は冷蔵庫に残っていたニューヨークチーズケーキを食べた.


写真は 1 / 4 ホール.おいしい.ちなみに,残りの 1/ 4 ホールは今朝,1 / 2 ホールは昨晩いただいた.1ホールで 2.1 ポンドって安いと思うんだよな.売っているのに気づいたのがこの前の日曜日だったんだよな.もっと早く気づいていれば......という気持ちもあったけど,たぶん気づいていたらめちゃくちゃ食べていただろうから,気づかなくてよかったのかもしれない.


12月15日(Day 98 / 98)

ついに最終日.過去の『イギリス滞在記』を見返してみるといろんなことがあったなあって思う.脳内で動画が再生できるほど記憶に残っている出来事ばかりだな.いまとなってはいい思い出.こうして過去は美化されていくのかな.


今日で3ヶ月くらいお世話になったお部屋ともお別れです.


空港にはちょっと早く着いて,VATの免除申請しようと思ったら,必要な書類がなくて申請できなかった.ロンドン行く予定がある人は事前にしっかり予習しておこう.


手荷物の検査を終えたあとはいろいろお土産を買った.途中サンタさんに遭遇した.


サンタさんまた来ないかな.


そうこうしてるうちに搭乗時刻となりました.離陸が13:50なのに搭乗時刻が12:50なのはちょっとびっくり.大きい空港ならではって感じ.


ということで,これから飛行機に乗ります.みなさん日本で会いましょう!


終わりに

派遣先である Imperial College London の EPSRC Centre for Doctoral Training のプログラム Mathematics of Planet Earth のホームページにてプログラムに対する私のコメントが紹介されました.

URL: MPE welcomes Keiichi Watanabe (visiting PhD student) and Prof. Martin Guest as part of its collaboration with Waseda University | Mathematics of Planet Earth

リンク先にもあるように,今回の海外派遣はゲスト先生や指導教員である柴田先生,派遣先の大学の Crisan 先生,Darryl 先生など多くの方のおかげで実現しました.この場を借りて厚く御礼申しあげます.


今回で『イギリス滞在記』の連載は終了となります.今回に海外派遣のレポートについては近日中に 活動報告 |スーパーグローバル大学創成支援 早稲田大学 数物系科学拠点 にて公開される予定です.これまで読んでいただきありがとうございました.

イギリス滞在記 part 13。

帰国したいなあと思い始めて3ヶ月が経ちました.長いようで......やっぱり長かった3ヶ月だったと思います.我ながら研究をほったらかしてよく勉強したなあと思います.今回の海外派遣でよかったなあと思うことは「英語はできて当たり前」ということを痛感したことだと思います.ちょっと前にトランプ大統領が日本人記者の英語に「何を言っているかわからない」と発言したことに対して差別的だと非難が殺到して,「オバマ前大統領やクリントンおばちゃんなら,外国人の話し方や訛りに対する心構えと体験があるから,きっと理解できただろう」って意見をツイッターで見ましたが,「外国人なんだから英語が流暢ではないのは仕方ない」という言い訳は今後通用しない気がします.実際に,インペリアル・カレッジに在籍する中国人の英語は発音がきれいで「バイリンガルか?」と思えるほど英語が流暢だからです.私は英語が苦手なので偉そうなことは言えませんが「英語はできて当たり前」だと思います.これまで英語の勉強をサボっていましたが,帰国したらちゃんと発音から勉強しようと思います.一緒に勉強するフレンズ募集中です.


前回の記事はこちら:

watanabeckeiich.hatenablog.com


目次:

12月02日(Day 85 / 98)

今日も大学に行った.レポート課題をやろうと思っていたけど,結局研究のことを考えていた.4次方程式の根の公式を初めて「見た」けど,たぶんこれを適用するのは得策ではなさそう.ロシアのG先生はどうやって根の漸近展開を求めたんだろう.謎過ぎる.G先生の論文をググってみたら,重要そうなやつのうち一つは大英図書館にあるらしい.行ってみようかなって思ったけど,論文があるコーナーは日曜日は休みで,入るにはどうやら身分証とかが必要で,登録などが必要らしい.明後日講義ないからだめもとで行ってみようかな.


ところで,図書館といえば,今日も中国人らしき人がたくさん図書館にいた.彼ら,勉強熱心というかちょっと熱心すぎる気がするんだよなあ.昔,ツイッターで見かけた記事の内容は本当なのかもしれない.

www.marketingtochina.com


たぶん,留学には海外移住という「将来」がかかっているんだろうな.そりゃ勉強熱心にもなりそう.まあ,優秀な人が増えることは世の中にとってよいことだと思う.ぜひたくさん勉強して私に勉強を教えてほしい.


午後はジムに行った.空いていた.毎回恒例の体重測定は前回比 + 0.2 kg.うん,着実にリバウンドしている気がする.でも1ヶ月前に比べて体重の変化はほぼないのでよしとしよう.でも日本に帰ったら確実に太りそう.ということで,もう少し痩せておこうと思って,今日は久々にランニングマシンで走った.気持ちよかった.今度からサボらず走ろう.11月は体重が前々落ちなかったなあって思ってたけど,筋肉がついたから......ではなく,走るのをサボっていたからかもしれない.


12月03日(Day 86 / 98)

午前中は力学系(仮)の講義.内容はSDE.今日は Euler scheme や Milstein scheme などの解説.まあなんだか難しいなあって感じ.離散的な関数の扱いに私は慣れていないのでちょっと戸惑うところがあったりした.ちなみに,前回は映像のトラブルがあったけど,今日はトラブルなく終わった.課題についての説明をしているときに「あ,君はやらなくていいよ」って言われた.いや,いまさら過ぎるよって感じ.もう課題やってしまったよ.まあでも私だけ課題をやらないっていうのもなにかフェアではない気がするので,必ずしも満点答案を目指さないにせよとりあえずレポートは出そう.


午後はPDEの講義.今日はハミルトン原理を用いた浅水波方程式の導出とケルビンの渦定理の説明について.講義の中でプリミティブ方程式についての言及があって,プリミティブ方程式の「良くない」ところの説明があった.まあ,プリミティブ方程式よりもちょっとだけ一般的な方程式の解説があった,というだけだけれども.もしかしたら,この方程式は研究のネタになるかもしれないけどたぶん難しいだろうなあ.私には5年早いと思う.


講義の後はK-Sの論文の証明をまじめに読んだ.論文や Mathscinet のレビューでは「結果は optimal」って書いてあるけど,たぶんソボレフ空間の枠組みでは optimal なのであって,Bessel potential 空間にした場合はほんの少しだけ結果が良くなる気がする.というより,Bessel potential 空間はフーリエ変換と相性がいい(と私は思っている)ので,計算とかしやすいと思うんだけどどうなんだろうな.


結局のところ,特性根の漸近挙動さえ明らかになれば(自力で証明できれば),いま取り組んでいる研究課題はちゃんと(たぶん立派な)論文になると思うんだけど,これがまた難しいんだよなあ.いろいろ調べてみたら,ピュイズー級数展開について,Volevich 先生が昔いろいろ考察していたみたいだ.そういう論文や本を見つけたので明日読んでみよう.


12月04日(Day 87 / 98)

日曜日に決意したように,この日は大英図書館に行こうと決めていた.そう,論文を読むためである.ということでやってきた.


図書館なのに荷物検査があった.荷物持込OKの図書館で荷物検査されたのは初めてだわ.読みたい論文は Reading room にあり,アクセスするには会員登録が必要ってことなので,パスポートと aribnb の領収書を持ってきたんだけど,ちゃんと「住所」を証明できるような書類でないとだめって言われてしまった.インペリアルの学生証も持ってきたけど効力はなかった.アクセスできないのはふつうにショックだわ.論文を読めば進捗が出そうなのに......このままではイギリスで得たものが「よくわからない話に対して上手く相槌を打つ」っていうスキルだけになってしまう.ピンチ~.


ちなみに,私が閲覧したかったのは

・Trudy Sem. S. L. Soboleva, No. 1, 1981, Akad. Nauk SSSR Sibirsk. Otdel., Inst. Mat., Novosibirsk, 1981.

というロシア語の雑誌に掲載されている論文.もしこの雑誌を持っている(またはアクセスできる)方がいらっしゃったら教えてください.粗品を送らせていただきます.G先生にこの論文のコピーがほしいってメールして,探してみるねって返信があってから連絡ないんだよなあ.本当に論文送ってくれるのかな.送ってくれれば問題は解決するんだけどなあ.先日メールの返信きたときはうれしかったのに,いまでは虚無感しかない.まあ,無名な学生からのリクエストに応えてくれっていうのもおこがましい気はするけど.時折私は自己チューになるんだよな.改善すべき性格の一つ.そもそもこの論文は日本国内にあるのだろうか.


図書館にはダビンチノートの原本とかいろいろ貴重なものが展示されていたので見てみたけど,正直,論文が読めないショックでそれどころではなかった.客観的に見れば貴重な経験なのにね.はあ,論文読みたい.本当ならば論文なんて読まずに全部自分でささーっと計算できればいいんだろうけど,私のような凡人は先人の知恵に頼るしかないんだよなあ.もっと賢くなりたい人生だった.ちなみに,大英図書館は30分しか滞在しなかった.


昼ごはんを求めて最寄の駅の構内を歩いていると,ハリーポッターで出てくる 9 3/4 番線があった.


せっかくだし,(ぼっちだけど)写真撮ろうかなって思ったけど,めっちゃ並んでいたのでやめた.ちなみに行列はこんな感じ.


お昼ご飯を食べつつ,Google で調べた限りでは,この 9 3/4 番線は観光スポットになっているらしい.大英図書館以外には周りに何もないのにね.ちなみに駅の外はこんな感じだった.


先週は雨が多かったけど,この日は晴れ.いい天気.


その後は大学に行って,根の漸近展開についていろいろ調べた.どうやら50年前くらいに inhomogeneous なシンボルをもつ特性多項式についての研究が流行っていたらしい.ヘルマンダー先生のテキストにはいろいろまとまっていた.また,ヴォレビッチ先生らの教科書にはピュイズー級数展開についてめちゃくちゃ書かれていることを今日初めて知った.でも,やっぱり  P(\lambda, t) = 0 の根  \lambda (t) の漸近展開がわかるのは  t が1次元のときに限るのかなあって感じ.たぶん, P(\lambda, t, s) = 0 の根  \lambda(t, s) の漸近展開を得るには相当工夫しないとだめなのかな.先々週に見た代数の論文では片方を固定して考えていたのでそれしか方法はないと思うんだけど,どうなんだろうな.


結局よくわからなかったので,確率・統計の課題を少しやった.残り半分.今週中には終わるかな.頑張ろう.


12月05日(Day 88 / 98)

この日はレディングに行く日.とうとうレディングに行くのも今日で最後.よほどのことがない限り,もう二度とレディングに行くことはないって思うとちょっとさびしい.ちなみに,ロンドンからオックスフォードに行く際にはレディングで乗り換えることが多いみたい(ゲスト先生談).

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雰囲気は田舎.というか実際田舎.落ち着いていていい感じ.


朝コーヒー飲みながらメールをチェックしていたら共同研究者からメールがきた.共同研究者の言っている意味がようやくわかった.この1ヶ月取り組んでいた問題は手詰まり感があるし,帰国までは共同研究のほうに注力しよう.手こずっている問題は帰国後指導教員に相談しよう.


10時からは確率・統計のチュートリアル.TAの人が「本当は教科書の問題をやることになっているけど,せっかくなのでレポート課題について少しヒントをあげよう」みたいな感じになったけど,結局TAの人もよくわからなかったらしく,グダグダのまま終わった.そんなに難しいのか......


その後は Hugo Winter さんの講演.タイトルは「博士号を取った後のキャリア~民間企業編~」みたいな感じ.とても参考になった.結局コミュニケーション能力が大事らしい.私はどういう将来を歩むかはわからないけど,さまざまな選択肢を「知る」ことは自分のためだけではなく,誰かの相談に乗るときのためにも重要だと思う.帰国したらメモしたやつをブログの記事にしよう.ところで,前々からうすうす思っていたけど,こっちの大学では指導教員とのコミュニケーションがかなり重要視されている気がする.


昼食は学食で食べ,その後はレディングのCDTルーム(院生室のようなもの)に行った.

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クリスマスのデコレーションが施されていた.こういうのも悪くないと思うけど,本棚にある本取れなくない??って思ってジェームズ君に聞いたら,誰も本を読まないらしい.そういうものなのか.ちなみに写真の中央に座っているイケメンがフィリップ君.


午後は数値解析とSDEのチュートリアル.ホワイトボードの文字が読みにくかった.ペンのインクが薄いっていうのもあるけど,だからといって赤とか緑のペンで書くのはやめてほしい.そういえばイギリスに来てから黒板を一度も見てないな.昔はホワイトボード派だったけど,今となっては黒板のほうが好きだな.


12月06日(Day 89 / 98)

朝,大学に着いたら,ドアの入り口とかエレベーターの扉とかに「試験中なので静かに」みたいな注意書きがたくさんあった.どうやら試験期間らしい.中間試験かなって思ったけどそれにしては大掛かりな気がする.もしかしたらクォーター制なのだろうか.そりゃみんな図書館に行って勉強するわな.


さて,机でパンを食べながらいろいろ調べてみたら参考になりそうな論文が見つかった.ロシア語だけど,Google 翻訳に頼れば読めそう.便利な時代になったものね.と思って読んでみたけど,全く参考にならなかった.かなしい.結局,手に入れたい論文を読まない限りは理解が進まないんだろうな.


午後は数値解析の講義.今日は反復法とかの収束とかについて扱った.いろいろ計算する際に,固有値を考えるのは自然なことだけど,数値解析におけるスペクトル半径の「イメージ」をつかめたのは良かった気がする.


その後は共同研究を進めようと思ったけど,ピュイズー級数展開の良い(?)発想を得たのでいろいろ考えた.もしかしたら上手くいくかもしれない......けど,共同研究者に来週末には証明を送るねって宣言してしまったから共同研究も進めないといけないんだよな.熱中しすぎないようにしよう.


夕方はジムに行った.毎回恒例の体重測定,今日は前回比 -0.8 kg で体重が戻ってきた.やっぱり走ると痩せるんだね.頑張ってこの体重をキープしつつ,今後は体脂肪率を減らそう.てかテニスしたい.帰国したらラケット買おうかな.


12月07日(Day 90 / 98)

今日はあいにくの雨.しかも強い雨.残念ながら(?)今日は10時から講義があるので雨の中,大学に行った.大学へ行く途中,雨が急に強くなって,傘がなくて困っていそうな子がいたので傘に入れてあげた.雨も悪くないなって思った(?).英語力がなかったのでそれほど会話できなかった.残念すぎる.今後絶対に英語を勉強しよう.前から思ったけど「ありがとう (ニコッ)」って言われるだけで惚れてしまう私はちょろい気がする.


午前はSDEの講義.今日は「近似」についていろいろ扱った.関数が連続ではなく離散的なので,考え方が「独特」な感じだった.数値解析とかではそう考えるのか,って感じだった.ただ,さまざまなスキームがあって全部覚えたり,使い分けたり,理解するのは大変そう.


さて,今日のお弁当はジャガイモ with ケチャップ & チーズ.ジャガイモを茹ですぎてしまったので,全部つぶしてマッシュポテトみたいにしようって思ったけど,完全にポテトサラダのケチャップ版になってしまった.

はっきりいってそれほどおいしくはなかった.ジャガイモごめんね.今度はちゃんと茹でてあげる.


昼食の後は名古屋の講演のアブストラクトを作成した.いつも英文の文法チェックする際にGrammarlyを使っているんだけど,課金はしていないから「より良い」英文を見ることができないので何度も修正した.かなり時間がかかってしまった.時間がかかるのもったいない気がするし課金しようかなあ.年間100ドルくらいだけど,今後英語のメール書いたり,文章を書く機会は増える(はず)だから課金してもいいと思うんだよなあ.こうして考えてみると,個人的には課金よりも馬券の方がハードル低いのは何でだろうな.そういえば今年はまだ馬券買っていないな.有馬記念は買おうかな.


その後はピュイズー級数展開を理解しようと頑張ったけど,わからなかった.級数展開を行うにはニュートン・ポリゴンを考えればよい,ってことは「なんとなく」わかるんだけど,からくりがよくわからない.最低次の項の係数から係数をどんどん決めていけば良い,ってのはなんとなくわかる......つまり,低周波部分の漸近展開はわかったんだけど,高周波の場合はどうなるんだろう.たぶんちょっと工夫すればすぐわかるんだろうけど,残念ながら私は賢くないので今日はわからなかった.低周波部分で特性根が  \xi \to 0 で vanish しないということが信じられなかったけど,形式的に  \xi = 0 を代入したら  \lambda \neq 0 なる特性根を求めることができたので vanish しないような根が存在することは当たり前だった.私はいったい何を勘違いしていたんだろう.もっと賢い人間でありたかった.


体重がもとに戻ったので今日はハンバーガーを食べにパブに行こう,って思ったけど満席で入れなかった.今日はちゃんとパスポート持ってきたんだけどなあ.残念.仕方ないのでその近くにある中華料理店で坦々麺のスープにそうめんをぶち込んだような食べ物をいただいた.

はっきり言って見た目は悪いけど想像以上においしかった.そういえば帰国したら新宿の坦々麺食べに行きたいな.あと中華街にも行って麻婆豆腐食べたいな.誰か一緒に行こう.


帰宅後はピュイズー級数展開についていろいろ調べた.M先生の SIAM J. Comput. vol. 19 (1990) に載っている論文の Sec. 2 がとてもわかりやすかった.あとは高周波部分をどう考えるかってだけだな.再来週の月曜日に指導教員に会うはずだからそこで報告できるよう計算しておこう.


12月08日(Day 91 / 98)

ついにロンドンで過ごす最後の週末になってしまった.来週には飛行機に乗っていると思うとちょっと信じられない.とか言いつつも荷物の整理は始めたんだけどね.


朝は先生にメールを書いた.わかったこととわからないことを全部書いたから長いメールになってしまった.まあ要約すると「よくわかんないから一度相談したい」ってメールを送った.先生からしたら私は度々よくわからないメールを送りつけてくる嫌な学生に見えるかもしれないけど,なかなか会えないから仕方ない.本当は定期的にゼミとかミーティングをやっていればこういうことは起きないと思うんだよな.そういえば博士課程になってから一度も指導教員とちゃんとしたゼミをやっていないな.でもゼミをやったところで「私が先生の言っていることを理解できない」か「先生が私の言っていることを理解できない」かのどっちかだろうからやっても仕方ない気がするんだよな.どうなんだろう.


メールを書いた後は大学に行って,ジムに行った.体重は変わらず.昨日の夕食の後チョコをもりもり食べたからかな.いや,筋トレで筋肉ムキムキになったから,と好意的に捉えておこう.今日は空いていた.快適.


ジムのあとは大学の部屋に戻ったら,「昨日の(ほかのCDTの)クリスマスパーティーの残りです.ご自由にどうぞ」ってテーブルにジュースとかお菓子とかミートパイとかが置いてあった.なんと冷蔵庫にはチーズケーキもあった.まあ,あったら食べちゃうよね.ジムで消費したカロリーを取り戻すかのようにもりもりケーキとか食べた.こんなことするから太るんだよな.でもおいしいから仕方ない.昼食は持参したサラダを食べたのでたぶん大丈夫なはず(?).


昼食を食べたあとは散歩した.どんよりした天気だけど雨は降らないだろうって思ってたけど途中から雨が降ってきてしまった.ここ最近雨が多いな.日照時間短いし,晴れの日少ないし,植物たちはどうやって光合成をしているんだろう.


散歩の途中でパディントンの人形を買った.

くまのパディントンがどういう話かは知らないけど,可愛いから買った.小さいほうは妹へのクリスマスプレゼント,大きい方は自分へのクリスマスプレゼント.大学の机に飾ろう.机でこのくまを見るたびに英語の勉強をしなきゃって思うようになることでしょう.よく見ると「60」って書いてあるけど,60周年ってことらしい.つまり,今年しか買えないらしい.ラッキーである.


その後はカフェに入って勉強でもしようかなって思ったけど,ちょっと疲れていたので帰宅.当たり前だけど,運動したら疲れるんだね.あたりまえ体操~.


帰宅後はピュイズー級数展開を考えた.高周波部分の展開は単にくく出して「置き換え」ればいいだけだった.私はいったい何を勘違いしていたんだ.あとはこつこつ計算すれば根の漸近が出せるな.また,ピュイズー級数展開のからくりも少しずつ理解できてきた.原点近傍でしか級数が収束しないみたいだ.てか,ピュイズー級数展開の理論は代数幾何の内容と関連しているみたいだ.学部3年のとき,研究室の希望を出す際に「代数と幾何はわからないし,プログラミングはもっとわからない!」ってことで解析系の研究室を希望したけど,今となっては全部ある程度必要なんだなって気がする.学部生のときもっとちゃんと全分野勉強しておけばよかったな.まあ,とりあえず,帰国までには線形化問題の解のLp-Lq減衰評価をちゃんと出せそうだ.めでたい.危うく研究進捗ゼロで帰国するところだった.



Youtube で音楽を聞きながら作業することが多いのですが,最近 TRF にはまっています.いやーかっこいいですね.


再生回数見ると何でこんなに少ないの?って感じですね.個人的にはおすすめです.さて,帰国まで残り1週間となりました.次の水曜(いわゆる MPE Wednesday)は年内の講義・講演の最終日ということで夜にはクリスマスパーティーがあるみたいです.いやー,楽しみで仕方ありません.英語でコミュニケーションできるよう頑張りたいと思います.次回の更新は12月16日を予定しております.なお,次回は『イギリス滞在記』の最終回となります.では Hope you have a nice week ahead!