べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

新入生に紹介したい大学数学の本。

週末はブログを書く日になってる今日この頃です。ゼミの準備ができてないけど、そんなもの知らないことにしておこう。

さて、今日は学部の新入生のガイダンスおよび懇親会があり、それに参加してきた。というのも、教授から都合がよければ懇親会に参加してほしいと連絡があったからである。連絡の仕方はいつもメールであるが、懇親会参加の連絡については今日の朝5:49にメールが来てた。先生朝早すぎだし、直前すぎワロタって感じだった。

懇親会では、ちょいちょいジュースを飲みながら、お菓子もつまみ、新入生と少し親睦を深めた(と信じたい)。いろいろ話を聞いてみると、私が学部1年のときに比べて勉強頑張るゾ!みたいな人が多い気がする。これが脱ゆとり教育の成果か。

でもやる気があったとしても、何の本をもとに勉強すればいいのか、新入生はわからないと思う。大学受験の場合もそうであったように、勉強するのに効果的な本と効果的でない本が存在する。効果的でない本で勉強するのはせっかくの大学生活の時間が勿体無いので、今回は自身の経験をもとに、この本は参考になったと思う本を紹介する。

微積分》
微積分の講義でいきなりε-δ論法がでてきたりして、激しいカルチャーショックを受けるが、そんな難しいことなんて最初は無視してしまえばいい。学部での微積分のゴールは結局は微分積分の計算ができるようになることなので、それを最優先にして勉強した方がよい。可能であれば常微分方程式も解けるようになった方がいい。

演習を積むには

新版 演習微分積分 (新版演習数学ライブラリ)

新版 演習微分積分 (新版演習数学ライブラリ)

この本が1番よかった。

鬼門のε-δ論法をマスターするには

イプシロン・デルタ論法 完全攻略

イプシロン・デルタ論法 完全攻略

この本が1番よかった。Ascoli-Arzelaの定理の証明も載っているし、到達点はなかなか高い。また、否定命題の作り方の説明も詳しいので、解析学を専攻したい人はまずこの本をやった方が良い。


線形代数

基礎科目としての線形代数のゴールは固有値とか行列の対角化とか、ジョルダン標準形とかの取得である。個人的にあまり熱心に勉強しなかったけれども、とりあえず固有値の周辺のお話がある程度マスターできていれば大丈夫。


とりあえず、

線型代数入門 (基礎数学1)

線型代数入門 (基礎数学1)

これと、

線型代数学(新装版) (数学選書)

線型代数学(新装版) (数学選書)

これにはお世話になった。後者は少々難しいので、買うとしたら前者。


微分方程式

微分方程式はとりあえず常微分方程式がしっかりほとんどのパターンをマスターすることと、特殊関数について少し勉強していれば十分。


演習は、

演習微分方程式 (新版演習数学ライブラリ)

演習微分方程式 (新版演習数学ライブラリ)

この本が1番いい。大抵のことはこれで事足りる。

特殊関数については、

特殊関数入門 (数学選書)

特殊関数入門 (数学選書)

これと、

特殊関数とその応用 (数学ライブラリー (40))

特殊関数とその応用 (数学ライブラリー (40))

これがよい。後者はおそらくもう売ってないので、図書館で借りるしかない。ただ、かなり詳しいので、自主ゼミに最適な本。


《集合と位相》

集合と位相は非常に抽象的でわかりにくい。しかし、現代数学の「標準語」はこれにもとづいているので、しっかり勉強する必要がある。


私は

はじめよう位相空間

はじめよう位相空間

この本で最初勉強した。ただ、「使いこなせる」ようになることが非常に大切。すなわち演習が重要。そこで、

解いてみよう位相空間〔改訂版〕

解いてみよう位相空間〔改訂版〕

集合と位相空間の基礎・基本 (理工系数学の基礎・基本)

集合と位相空間の基礎・基本 (理工系数学の基礎・基本)

この2冊。個人的に前者がオススメ。


関数解析とか測度論(ルベーグ積分)とか複素解析とか書こうかなと思ったけど、新入生はまだそこまでやらないと思う(圧倒的主観)。ということで、今回紹介するのはこの程度にしておきます。ああ、ゼミの準備やらねば。