とうとうイギリス滞在も半分が終了しました.あっという間というわけではないですが,時間が経つのが早くなったように感じます.10月も終わりに差し掛かり,随分と寒くなってきました.正直朝晩は寒いです.カフェで温かいコーヒーを飲みながらクロワッサンを食べるのも悪くないなあと思いましたが,物価の高いロンドンではかなわぬ夢です.かなしいなあ.
前回の記事はこちら:
watanabeckeiich.hatenablog.com
目次:
- 10月21日(Day 43 / 98)
- 10月22日(Day 44 / 98)
- 10月23日(Day 45 / 98)
- 10月24日(Day 46 / 98)
- 10月25日(Day 47 / 98)
- 10月26日(Day 48 / 98)
- 10月27日(Day 49 / 98)
10月21日(Day 43 / 98)
今日も元気に(?)大学に行った.先週は日曜日はさすがに行くのをやめようと宣言してた気がするけど,衝動を抑えられなかった.まあ,そういうことってあるよね.
今日は昨日に引き続き Layer potential を勉強した.だいぶ single layer potential と double layer potential の性質を理解してきたと思う.証明は読んでないけど.だって証明長いんだもん.また,理解した内容を LaTeX でまとめた.明日か明後日までには LaTeX でまとめたものをホームページに挙げられるかなあ.
でも,こんなことをしている場合じゃなくてどんどん研究しなきゃいけなんだよなあ.はあ.同期たちはどんどん論文書いているんだよなあ.まあ,まだ D2 になったばかりだし,論文の数は気にしなくてもいいのかな.難しい.
午後は,力学系の講義を理解するためにエルゴード理論について調べた.ほとんど聞いたことなかったけど,思ってたよりも面白そうだな.研究はしないけど,趣味として勉強する分にはいいのかもしれない.帰国後なんか本買おうかな.
夕方はジムに行き,運動した.今日は簡単な筋トレもやった.院生になってから運動不足だったけど,定期的に運動するという習慣は,体力が急激に落ち始める20代後半になる前につけといたほうがいい気がする.いま思うと,サークルの練習に来てた(というより今もときどき参加している)OBたちは体力すごいなあと思う.彼らのテニスに対する姿勢だけは真似たいなと思った.
10月22日(Day 44 / 98)
午前中は Laplace 方程式の Dirichlet 問題に対する layer potential theory をざっと勉強した.また,勉強した内容を LaTeX でまとめて,ホームページにアップした(リンク).1週間くらいで勉強した割にはよくまとまっていると我ながら思う.これでようやく外部リプシッツ領域におけるナビエ・ストークス方程式を研究する算段がつけられたと思う.
というか,共同研究者から連絡こないかな.まあ,彼は優秀で忙しいもんなあ.明日連絡しようかな.進展があるといいな.
午後はPDEの講義.先々週くらいに一生懸命取り組んでいた exercise が課題ではなく,本当にただの exercise であることが判明.どうやら課題は別にあるらしい.というよりは昨日課題をアップしたからみんなやってねって言われた.んー,あの exercise を提出してねっていってたじゃん.なんかなあ,納得がいかないな.まあ,いいや.週末にやろう.
10月23日(Day 45 / 98)
朝,無性にTescoのマフィンが食べたくなったので,Tescoへ向かった.ところが,マフィンが売っていなかった.しかもドーナツも売っていなかった.甘いものが食べたかったのに.痩せろってことなのかしら.Tescoは品揃えが良かったり悪かったりするから困る.なんかなあ,イギリス人もっとしっかりしてよって感じだ.
午前は確率論の講義.今日は直積測度について扱った.トネリの定理とかフビニの定理とか.懐かしいなあとか思ったけど,ここら辺は独学だったんだな.測度論の講義寝てたし.今思うともったいないことしてたな.ということは,講義でちゃんと聞くのは初めてなのかな.まあ正直,今日も得るものはそれほどなかった.でも,確率論の理解を目指しているということもあり,定理の主張が具体的だったのは新鮮だった気がする.ほとんどいたるところにボレル集合体が現れるって感じ.ポッポかよ.
午後は L と G (2006) の外部リプシッツ領域における single layer potential と double layer potential の論文を読んだ.数ヶ月前までは論文で述べられている定理すら謎だらけだったけど,今日は少し理解できた.でも,この論文はなんか雑な気がする.あと,プレプリントだと定常ストークスも扱っているのに,出版されたやつだとその章だけ丸ごとなくなっているんだよな.なぜだろう.共同研究者が考えておくよって言ってたけど,本当かなあ.
10月24日(Day 46 / 98)
今日は Sandpit という研究室紹介(?)の日.Sandpit を辞書で調べても「砂場」しか出てこないのに,なんで研究室紹介を Sandpit というのだろうか.全くもって意味がわからない.
研究室紹介は,弊大学と違って(?)完全にアカデミックな内容しかなかった.いろいろ話を聞いたけど,シンプルに
1. 研究の(かなり大きな)背景
2. 先生が興味をもって研究している内容(背景より少し具体的な内容)
3. 修士課程(MRes,残り10ヶ月)で研究できること(というよりは研究してほしいこと?)
4. 博士課程(3年)で「考えられる」研究テーマ
だけ説明するのがわかりやすいのかなって思った.前にも書いた気がするけど,イギリスの修士課程は1年で,ほとんど勉強がメインみたい.
私はあと2ヶ月で帰国するので,まじめには聞いていなかったけど,一つ面白そうな物理現象があって,聞く限りでは数学解析もほとんど進んでいないらしい.
そこで,Mathscinet とかで調べてみると,たしかにほとんど,というよりは誰も(?)研究していないようだった.ここではどんな方程式かは書けないけど,非圧縮の場合はちょこちょこやられているみたい.K先生も言っていたように,非圧縮でだめなら圧縮でチャレンジっていうのはあり気がする.
Sandpit が終わった後は,ひたすらその物理現象について調べた.うまくいくかわからないけど,こうしていろいろ調べて,興味の対象を広げることというのは大事な気がする.実際に,興味が広がることで,知らなかった重要な論文を知ることもできるし.
研究といえば,共同研究者に Skype でメッセージ送った.8月くらいに10月中旬にアップデートを送るねって言っていたのに,まだ何もないため.まあ,彼は優秀だから忙しいんだよなあ.あと,ドイツからフランスに移ったばっかだし.私も優秀になって忙しくなりたい.
10月25日(Day 47 / 98)
今日は Univ. of Reading で研究室紹介があったけど,参加必須のイベントではなかったので行かなかった.今参加しているプログラム,自分が所属している大学院に関係なく,修士課程の指導教員を Imperial College London と Univ. of Reading の両方から選べるってすごいシステムだなって思う.
そういえば,キックオフキャンプのときに「研究室には(学年を問わず)学生は3人しか入れません.学生が入れない研究室の一覧,すなわちブラックリストをメールで送ったので目を通しておくように」って言われていたのを思い出した.あと,研究室配属は,1月にある試験の結果と提出された研究計画書(というよりは意気込み?)に基づいて行われるようだ.ちゃんと適正があるかどうかチェックされるらしい.どこかの大学のどこかの学科のようにじゃんけんで決まってしまうということはないようだ.
参加が必須ではないというイベントだったけど,ほとんどの学生は参加していたようだ.でも,ルイスちゃんとオリバー君は行かなかったみたい.というか実際に今日話した.ルイスちゃんが今日受け入れを希望する先生と面談があるらしい.行動力早すぎわろた.一方,PDEに詳しいオリバー君はレディングには純粋数学の人がいないから行かなかった,今日は論文を読むよ,と言っていた.私が今日レディングまで行かなかったのもそういった理由による,と言うことでほんの少し話が弾んだ.ブログじゃわかりにくいけど,ロンドン(パディントン駅)からレディング大学までおよそ75キロで,新宿から秩父や小田原くらいまでの距離だから気軽に行こうとは思えないのよね.
今日は昨日興味をもった方程式の理解と線形化方程式の導出をおこなった.いろいろ調べたけど,MHD方程式の線形化,数学と物理で方法が異なるの,なぜだろうって感じだった.やはり数学は数学しか考えていないと思うんだよな.昔はそれでいいと思っていたけど,だんだん嫌いになってきた.物理的な整合性があって初めて意味がある研究だと思うんだよな.
また,夕方はジムに行った.やっぱり平日の夕方は混むのね.今日も前回と同様にちょっとした筋トレとランニングをおこなった.体重は前回より1キロ減っていた.なんか思うんだけどね,体重落ちるペースが速すぎる気がする.食事制限しているわけじゃないのに.イギリス来てから7キロくらい痩せてしまった.たしかにお肉とご飯は食べなくなったけど,そんなに痩せるものなのかな.帰国したら太りそうだな.
10月26日(Day 48 / 98)
昨日,1時に寝たのに,6時半くらいに目が覚めてしまった.なんか最近寝つきが悪い気がするんだよな.やっぱり寝る前にお酒飲まないとぐっすり寝れない身体になってしまったのだろうか.というか,ロンドンに移ってから,最初の1週間を除いて,お酒はほとんど飲んでいないな.ビール飲みたいけど,Tesco とかで売っているビールとかお酒ってちょっと高いんだよなあ.去年ダルムシュタットにいたときはそこそこ飲んでいたのになあって思ったけど,あの国はビールが安すぎるだけかもしれない.
朝は寒かった.マフラーないと厳しい.コートやダウン着ている人が多かった.10月ももう終わりだしなあ.そういう季節なのかな.早いものね.
今日は朝お腹が空いていたので Tesco でマフィンを買って食べた.イギリスに来てから朝ご飯食べなくなったから痩せてしまったのだろうか.本当は食べたいけど,ホストの人と朝ご飯の時間かぶるのはなんか嫌なんだよな.英語話さなきゃいけなくなるし.
今日は昨日に引き続き,いろいろ計算した.だいぶ理解が進んで,何をやればいいのか明確になってきた気がする.あと,いろいろ有名な論文をつまみ食いした.先輩の「たくさん勉強して色々知っておくと研究の際に便利ですが,これを勉強しておけば必ず研究に役立つと断言できるものはありません.研究していくうちに必要に迫られて勉強するという感じです」という言葉(メール)を時々思い出すな.大学院についての相談のメールを書いてからもう3年になるのか.懐かしいな.あのメールを送っていなかったら,修士課程でも週3くらいでアルバイトしていたのかもしれない.いま思うとアルバイトをほとんどやめたというのは正解だったな(ただし,週に1度だけ家庭教師をやっていた).
午後は力学系の講義.相変わらず先生の板書の文字が読めない.なんかね,オリジナルの筆記体で書くのはやめてほしい.読めない.日本の習字みたいにカリグラフィーの授業ってやったりしないのかな.それともあんまり字のきれいさは気にしないのだろうか.まあ,私は達筆じゃないから偉そうなことは言えないけど.内容は,エルゴード性について.ただ,証明を飛ばして,しかも理論の「アイディア」しか説明しないから全然わからない.あとは自分で勉強してね,ってスタイルなのだろう.
講義の後は,PDEや数値解析の課題そっちのけで研究ーというよりは水曜日に見つけた問題ーに取り組んだ.なんか久々に問題に熱中してた気がする.でも,課題もやらなきゃなあ.正直めんどくさい.
帰るとき,ニコロ君に "Why are you so late?" と言われたけど,一瞬 "Why are you isolate?" って聞こえてめっちゃ焦った.いやーリスニングは大切ですねえ.こうやって聞き間違えるからたまに会話がかみ合わなかったりするんだよな.高校生とか学部生のとき英語勉強すればよかったなあ.小3で英検3級,中1で英検準2級取ったのがうそみたいだ(注:高校生のとき英語と国語は苦手科目でした).ちゃんと勉強すればよかったなあ.英語の勉強はサボっちゃだめなんだよなあ.はあ.
10月27日(Day 49 / 98)
昨日もそうだったけど,昨日よりもめっちゃ朝寒かった.昨日はマフラーしておけばちょうどいいかなって思ったけど,今日はマフラーだけじゃだめだった.ふつうにダウンやコートを着るレベル.天気予報のサイト見たら4℃くらいらしい.イギリスって割りと温暖なイメージがあったけど全然違くない??って思ったけど,パリとかベルリンはもっと寒いらしい.ただし,氷点下になるような寒さはあまりない代わりに,寒い期間は長いらしい.
今日も大学に行ってしまった.というかね,大学で勉強・研究する,というのがコスパが良すぎるんだよな.まあ,休暇にコスパを求めてしまう私はどうなんだろうって気がするけど.本当は遠出もしてみたいなあって気持ちもあるけど,所持金が......って感じなのよね.ロンドン物価高すぎ(N度目).感覚的には東京の 1.5 ~1.8倍くらい.Tesco (標準的なスーパー)で売っているコーラ(500 mL)は200円くらい(1.3ポンド)だし,ランチはどんなに安くても800円が最低ラインで,平均的なランチは飲み物を除いて1600円(10~11ポンド)くらい.そりゃ外出・外食も控えたくなるわって感じ.観光地かよって突っ込みたくなるけど,観光地だわ.それにしても高すぎ.みんなどうやって生活しているんだろう.
今日はK先生(九大)とK先生(阪大)の論文を読んだ.いろいろ読んだけど,スペクトル解析を駆使してテクニカルでかっこいいなあって思った.スペクトル解析を駆使できるようになりたいなあって思ったけど,彼らの論文で勉強するのがベストなのかな.かれこれ本探しているけど,詳しいことが載っている本少ないし.誰か自主ゼミで読もう.
でも,どうも彼らのスペクトル解析は行列の対称性に目をつけた方法で,私が取り組んでみたい方法には適さない気がする.K先生(早大)の論説でもあるようにある種の対称性が大事みたいだな.でも,U先生(神大)が最近(?)対称でなくてもイケる!ってたくさん発表しているから,もしかしたら彼の論文は参考になるかもしれない.明日読んでみよう.
みなさんお気づきだろうか......私が滞在日数をカウントしていることに.これは「滞在してから〇日目」と言うことを表しているのではなく,「帰国までのカウントダウン」という意味をこめてつけています.そう,レディングでピザを食べてから(part 1 参照)私は帰国したくてしょうがないのです!いや,もちろんプログラムもロンドンにおける生活もすばらしいものだと思いますよ?でも,やっぱり日本にいたときの方が楽しかったなあと本当に思うんです.
とはいえ,イギリス滞在も残りあと半分なので頑張りたいと思います.最初は勉強だけで終わるかなあって思っていましたけど,いままで誰も解いていない問題にチャレンジできそうなので,何かしら結果を出せるよう頑張ります.次回の更新は11月04日を予定しております.では.