べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

よくわかるN次元の極座標変換。

おはようございます.今日もいい天気ですね.

 

最近,極座標変換について講義で詳しく説明されたことないなあ,とふと思った.もちろん,3次元の場合までは講義でやるけれども,N次元の場合は記憶が正しければ教わったことはない気がする.そこで今回はN次元の場合の極座標変換について説明することにする.

 

x\in\mathbb{R}^N として,

x_1=r\cos\theta

x_2=r\sin\theta\cos\varphi_1

x_3=r\sin\theta\sin\varphi_1\cos\varphi_2

・・・

x_{N-1}=r\sin\theta\sin\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}\sin\varphi_{N-2}

x_N=r\sin\theta\sin\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}\cos\varphi_{N-2}

0\leq \theta,\varphi_1,\dots,\varphi_{N-3}\leq\pi0\leq\varphi_{N-2}\leq2\pi

とおく.

このときのJacobianは

r^{N-1}\sin^{N-2}\theta\sin^{N-3}\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}

となるので,

dx=r^{N-1}\sin^{N-2}\theta\sin^{N-3}\varphi_1\cdots\sin\varphi_{N-3}drd\theta d\varphi_1\cdots d\varphi_{N-2}

である.

これは N=2,3 のとき成り立つことはよく知られているから,N\geq 3 として数学的帰納法により示すことができる.この証明のアイディアとしては,まず直交座標から円柱座標に変換し,その次に円柱座標から極座標に変換すればよい.この説明がわかりやすいサイトとして

wasan.hatenablog.com

が挙げられる.一応杉浦光夫著の『解析入門II』にも記述があるが,初学者にとっては説明が難しく感じられると思う.

 

ここで,半径 r のN-1次元単位球面 S^{N-1}=\{x\in\mathbb{R}^N||x|=1\} の表面積 \Omega_{N-1} は,Gamma関数 \displaystyle\Gamma(s)=\int_0^\infty e^{-x}x^{s-1}dx を用いて

\displaystyle\Omega_{N-1}=\frac{2\pi^{N/2}}{\Gamma(N/2)}

と表せることが知られている.

ゆえに関数 f(x)|x|=r のみの関数で f(x)=g(r) と表せるとき,

\displaystyle\int_{\mathbb{R}^N}f(x)dx=\Omega_{N-1}\int_0^\infty g(r)r^{N-1}dr

積分を書き換えることができる.

 

ルベーグ積分の場合のこの証明として

が挙げられる.

 

さて,昨日修了検定があって無事パスしました.今度の日曜日仮免の学科試験があるので,研究と両立して勉強したいと思います.では.