8月28日から8月31日まで第38回発展方程式若手セミナーに参加していた。その期間、私のツイート数が驚くほど少なかったのはそのためである。ちなみに場所は京都であった。
このセミナーは合宿形式のセミナーで、主に博士課程の人たちが自身の研究成果を発表する場となっている。毎年行われていて、今年は38回目であり、歴史は長い。発表を行う博士課程の学生以外に、毎年多くの修士課程の学生も参加しているのが特徴である。
ちなみに、発展方程式というのは、ある物理現象を考えたときに時間が変化するとどのように状態が変わるのかを記述した方程式である。具体的には、熱方程式や波動方程式、Schrödinger(シュレリンガー)方程式、Navier-Stokes(ナビエ・ストークス)方程式などが挙げられる。これらの研究は工学上大切になってくるので、数学にしては割と「役に立つ」分野ではないかと勝手ながら思ってる。
私はこれまで学会というものに行ったことがなかったので、これが「初めての学会」ということになる。なぜ今回参加することになったかというと、隣の研究室の先生から修士1年でも積極的に参加してみようと言われたから、というのが最初のきっかけだった気がする。
まだ十分な知識が積めていないから参加してもよくわからないのではないかという懸念もあったが、それよりもまだ一度も研究発表を見たことがないので、その発表の仕方を学びたいということと、このセミナーを通じて「同じ分野」の知り合いを増やしたいという気持ちの方が大きかったので、参加した。
さて、研究発表の仕方を学ぼうと思ったが、それは少々難しかった。講演時間は質疑応答も含めて1人30分だったけれども、スライドの枚数が人によって様々で、また、説明がざっくりした人もいれば説明が厳密な人もいたりして、どのくらいが「スタンダード」なのかがよくわからなかった。まあ、スライドの枚数が全てではないけど、枚数が25枚以上の人は軒並み忙しく発表していた印象がある。
研究発表の仕方は学ぶことはできなかったが、「研究のやり方」を学ぶことができたのは非常に大きい。大体の人が講演や質疑応答の際、先行研究とどのような点でその研究が異なっていて、またどのような手法を用いることで研究の障害となっていたものを取り除いたのか、またその研究の今度の進展として今こんなことを研究している、といったことを話していた。ざっくりまとめると研究というものは
・先行研究の結果の改良
・先行研究の結果の応用
の2点から主になっているのかなと感じた。もちろん京大の望月先生のように、これまでにない全く新しい理論の構築も研究の一つではあるが、修士及び博士の学生がそれに取り組むというのはあまり現実的ではない気がする。
それ以外にも、他大学の人と知り合いになれたというのは非常に刺激になった。中でも特に中国からの留学生はすごかった。彼は新疆ウイグル自治区の出身で、修士課程から日本に来たそうだ。現在博士1年の方なので、来日して3年目ということになる。講演は日本語でスラスラ発表していたのでてっきり高校のときから日本語を勉強したのかなと思っていたが、学部3年のときから勉強し始めたと聞いて驚いた。さらに彼はウイグル語、中国語、英語、日本語の4ヶ国語を話すことができると聞いて「すごい」の一言しか出てこなかった。
一方、夜は懇親会やバーベキューがあり、そこでは日中話せなかった方と話すこともできた。
今回仲良くなった修士1年の人たちと来年こそは結果を出して発表しようと約束したので、来年に向けて今から頑張りたい次第である。