べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

研究室の選び方。

早稲田の数学科では3年の後期の12月頃に研究室配属の希望を出すことになっている。先生の講義を受けて感銘を受けたから、その先生の研究室を選んだ、という人は結構多い。来週には後期の講義の科目登録があるので、今日は研究室をどう選ぶかについて書くことにした。


《1.先生を知ること 》
研究室を選ぶということは、自分の指導教官を選ぶということである。つまり、研究室を選ぶにあたって、まずはその先生のことについて知る必要がある。先生を知る方法としてまず提案したいのは、その先生の講義を受けてみることである。科目登録をしなくても、その先生の講義に潜り込む、というのでもいいと思う。言葉では上手く説明できないが、まじめに聞いていれば、何となくその先生はどういう人なのかわかってくる。

 

とはいえ、学部の授業を担当しない先生も中にはいる。その先生を知るには以下のサイトが便利である。

 

research-er.jp


このサイトでは、その先生が今までどのような科研費を獲得してきたかを簡単に知ることができる。科研費というのは、簡単にいえば国からもらっている研究費で、誰もがもらえるわけではなく、当選率は3割程度といわれている。このサイトではその先生が科研費に応募した際の研究のキーワードも見ることができ、その先生が「どのような分野の問題に対して、どのような手法で解決しようとしているのか」を知ることができる。さらにどんな先生と共同研究しているのかも知ることができる。早稲田の数学科(応用数理学科)の先生の多くは科研費を獲得しているので、上記のサイトは先生のことを知るのに役立つ。

 

《2.研究室を訪問する 》
希望の有無に関係なく興味のある分野の研究室は少なくとも一度はすべて訪問したほうがよい。ただし、訪問する前には上記のサイトである程度先生の研究分野などについて調べておいたほうがよい。よく研究室を訪問しようと言われるが、その理由として先生と話をすることができるという点が挙げられる。またいろいろな研究室を訪問することで各研究室との違いが浮き彫りになり、それは研究室を選ぶ際に研究室を比較するのに役に立つ。

 

研究室を訪問して何をすればいいか、すなわち先生と何を話すといいか、まではあまり知られておらず、各自のコミュ力に任せられている気がする。このブログを読んでいる人の中には私のようにコミュ力がない人もいると思うので、私なりに、先生に聞いてみたほうがいい項目を挙げてみる。

 

先生に聞いたほうがいいこと
1.どんな研究をしているのか、またその研究はどのように応用できそうなのか
2.どんな学生を望んでいるのか
3.研究室配属前にどんなことを勉強しておくのが望ましいのか
4.将来の進路について(自分が就職か院進のどちらを希望していて、その要望に対して先生がOKするかどうか)
5.研究室のOBOGの進路(どのような企業に就職したか、D進した人は現在どのような職についているのか)
6.卒論の有無

 

研究室訪問で聞くことのメインは1~3だが、それに加えて4~6も聞くことを推奨したい。

 

まず4についてだが、先生によっては定年が近く、大学院に進学してもその先生の指導を受けられない可能性がある。自分が大学院に進学することを希望する場合、念のため確認しておいたほうがよい。

 

次に5についてだが、大学または大学院卒業後に企業への就職を希望する場合、行きたい会社に勤めているOBOGがいる研究室を選ぶというのも一つの手である。要はコネづくりである。一方D進を希望する場合、D進した人、学位をとった人が現在どのような職についているのかを聞いたほうがいい。すなわち、現在も大学や高専の教員として働きながら研究を続けているのかを尋ねたほうがいいと思う。それを聞くことによってD進した際のイメージがわきやすいと思う。

 

最後に6についてだが、早稲田の数学科(応用数理学科)では卒論がある研究室とない研究室とあるが、大学院の修士1年で学会発表をしたい場合、卒論のある研究室を選んだほうがいい。修士卒業後就職する人であっても学会発表は積極的に行った方がいい。なぜなら、日本学生支援機構の第1種奨学金の返済免除(全額OR半額)の可能性がかなり高くなるからである。借りてない人は修論書ける程度に頑張ればいいんじゃないですかね。

 

修士卒業後就職する場合、修士1年の冬から修士2年の初夏にかけて就職活動を行うので、その間研究が(あんまり)できないので、学会発表などの実績を積むとしたら修士1年の間か、修士2年の秋か冬しかない。特に最近では、内定後に企業から「宿題」がたくさん出る(らしい)ので、実質的に修士1年のときに学会発表したほうがいい、ということになる。

 

と、このように先生に聞いておいたほうがいいことは結構あるので、必ずメモ用紙を持参していったほうがよい。携帯電話でメモをとることは結構嫌われる。以上に加えて、研究室を訪問したときにチェックしたほうがいいことを挙げてみる。

 

研究室でチェックすること
・研究室にいる学生の雰囲気
・酒の有無

 

数学科の研究室の場合、先生が研究する部屋と学生が研究する部屋(院生室)が別になっていることが多く、院生室を使えるのは修士1年以上の大学院生だけである。学部生は図書館かどこか場所を見つけてやるしかない。一方、応用数理学科の研究室は63号館のきれいな建物の中にあり、そこに研究室がある場合、先生と学生は一緒の部屋で研究することになることが多い(らしい)。

 

後者の研究室を訪問した場合は研究室にいる学生の雰囲気をチェックしたほうがいい。なぜならもしその研究室に配属された場合、自分もそのようになるからである。ある意味、雰囲気にのまれるのである。雰囲気が合うかどうかは個人に拠るので、研究室の雰囲気を事前に知っておきたい人はちゃんと研究室を訪問したほうがいい、ということになる。

 

最後に酒の有無もチェックしよう。酒が置いてある研究室は飲み会が多い。酒が好きな人は酒が置いてある研究室に行ったほうが絶対に楽しい。

 

研究室訪問する際は必ず事前に先生にメールし、アポをとってから行くようにしよう。アポなしで研究室訪問するのは失礼です。


《3.顔も大事 》

 研究室訪問する最大の目的(目標)は先生に自分の顔を覚えてもらうことである。早稲田の数学科、応用数理学科の研究室配属はすべてが成績順で自動的に決まるとは限らないらしいので、先生に顔を覚えてもらうことは意外と重要である。ちなみに、研究室配属はすべてが成績順で自動的に決まるとは限らないと学生の私が考える根拠は今年の春私の研究室に配属されたB4が誰もいなかったということと、知り合いのB4で私の研究室を第2希望で出したが結局第3希望のY研究室になったと言っていたからである。

 

数学科の場合、3年の後期からプレゼミがスタートし、そこでしっかりとゼミの発表をし、顔を覚えてもらうことが重要らしい(という噂を最近知った)。顔も大事なのである。

 

 顔を覚えてもらうためには普段の授業から積極的に参加したり、授業の質問に行ったりとそういう努力の積み重ねのほうがはるかに大きいと思うので、これを読んでいる学部1,2年生はまずは授業に積極的に参加するといいと思う。

 

 

とまあエラそうに綴ってきたわけですが、私は研究室訪問はろくにせず今の研究室を選びました。たまたま自分の性格とマッチした研究室だったのでよかったけれども、必ずしも全員がそのようになるわけではないので研究室訪問はしたほうがいいと思います。