べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

研究進捗2022/4/28

早いものでまた春がやってきました.大学のキャンパスにある桜を見るのはこれで10年目です.

来年はもう見たくないですね.任期を1年更新したのでしばらくは困りませんが,早く職が決まればいいなと思います.自分の大学の公募に出そうとしたら偉い先生に止められてしまいました.世知辛いです.

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<これまでの進捗>

コリオリ力を伴う圧縮性ナビエ・ストークス方程式の共著論文を書いた(むしろ書いてもらった?).現在原稿の細かい点を確認中.マッハ数とロズビー数が十分小さければ,任意の有限時刻  T に対して,初期値に smallness condition を課さなくても  (0, T) 上で強解が一意に存在することを書いた.


・外部領域におけるストーク作用素を斉次べゾフ空間で考えた論文についてはずっと放置してた.K先生の講演を聞いたら解の解析性が得られそうだなと思って上司に報告したら「時間がちょっと経ったら analytic になるというのは,なんか誤魔化している気がする」と言われた.時間が「ちょっと経ったら」というのが引っかかるらしい.正直なところ,おっしゃっている意味がわからない.バトルするとめんどくさそうなので,解析性が得られたとしても黙っておこう.どうも,「加藤」信者なところがあるけど,もっと柔軟に考えてほしいところだ.


・査読レポートに基づき,論文をきちんと修正した.ちゃんと全部直したせいかはわからないけど,revision の期間が長い.もうすでに1ヶ月半以上経っているのに.まあ,今までが早かったということなのだろう.気長に待つことにしよう.


・一様に滑らかな領域におけるストーク作用素の解析,境界の正則性が  C^{1 + \alpha} じゃないとダメかなとか思っていたけど,少し工夫すれば  C^1 でもいけそうなことがわかった.もう少しちゃんと書いた後 P さんにメールしよう. C^1 でできれば胸を張れる結果だと思うので頑張りたいところ.


・SIAM のミニシンポジウムでの講演を終えた.深夜2時半からの講演だったけど,頑張った.正直体力的に辛かった.


・T さんや同僚のN君とシンポジウム後に色々話したところ,6月に国際フォーラムをやろうということになった.詳しくはこちらから.
sites.google.com


・障害物周りの流れの解析に関する研究を少し進めた.ここで,境界はあまり滑らかではない,リプシッツ連続であるものを考えている.外部領域での解析を行いたいので,有界領域における圧力の減衰評価を導出することが鍵になるが,うまく考えればできそうなことがわかった.実際に,摂動の理論から有界領域における線形化作用素 H^\infty-calculus をもつことが言えるので,数年前にやった手法を使うことで圧力の評価が従う.ここで重要となるのは,作用素をどのように定義するか,ということになると思う.


・早稲田の応用解析研究会で講演する機会をいただいた.やったね.


・上司に共同研究に誘われ,半空間における線形化作用素の最大  L^1 正則性の導出方法を考えた.境界がディリクレ境界条件であれば難なくできることがわかった.もう少し色々盛り込んでから論文を書こうと思ったら「早く論文を書いてください」と言われた.間に合えば 7月の RIMS の研究集会で発表したいらしい.


・8月に国際研究集会を行うことになったので,講演者に招待メールを送った.無事人が集まってよかった.招待を引き受けて下さった先生方ありがとうございます.あとは,ドイツの方々との調整だけ.昨年に比べるとスケジュールに余裕があると思う.


・同僚と後輩の学振PDの申請書を添削した.正直なところ,書き方がどうこうというより,研究の中身が面白いかどうかが審査員の評価に大きな影響を及ぼす気がする.申請書の中で「XXXという研究はすでにやられています.よって本研究ではYYYを研究します」と主張して「だからどうした」というような反論を言われないような文章を書くことが大切だ,ということを伝えたけど,同僚には伝わっているのだろうか.まあ,今年就職が決まらなかったら来年度は申請する予定なので,あまり他人事ではない.


接触角を生成する流れに関するプレプリントを発見した.
arxiv.org
読んでみたら勉強不足であることを痛感した.もっと頑張らねば.ざっとみた感じ,従来のモデルは蔑ろにされてきた圧力の weak singularity が再現されるモデルのような気がする.勘違いかもしれないけど.


<今後の研究目標>

・講演発表の準備をする.


・国際フォーラムの準備を行い,その運営を頑張る.まあ,大丈夫だろう.


・一様に滑らかな領域におけるストーク作用素に関する共同研究を進める.可能ならば論文の執筆に取り掛かれるようになりたい.


・ストーク作用素を斉次べゾフ空間で考えたときの解の正則性を考える.たぶん,K先生らの論文と全く同じ手法になるので,論文が出版されなければ,これについては別の論文で書くこととしよう.


・障害物周りの流れの解析に関する研究を進める.少なくとも時間局所解の構成くらいまでは終わらせたい.また,時間大域解を構成するための作戦を考える.


・書き途中の論文を完成させる.


プレプリントhttps://arxiv.org/abs/2112.12406)を解読する.高度な解析を行なっているというわけではなさそうなので,頑張れば読めるような気がする.


・夏に修了する修士の学生の修論の添削を頑張る.まだ解析が終わっていないけど,大丈夫なのだろうか.


・さきがけの申請書を書く.


・住友財団の申請書を書く.


科研費の報告書を書く.

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春休みが終わって講義が始まりました.昨年に比べると対面授業の出席者が多く,驚きました.みんな真面目だなあと思っていたら,3回目の講義における出席者は初回の半分以下になってしまいました.まあ,zoom でリアルタイム配信するし,教室に来る必要はないんですよね.でも,昨年と近い,zoom からの参加者を合わせれば初回の講義と同じくらいの出席率です.黒板で説明するのは疲れるし,個人的には椅子に座って zoom で説明する方が体力的には楽なんですけどね.教室に行って zoom で講義するのもありかなとか思いましたが,それを対面授業と呼ばないと言われると後々めんどくさそうです.

さて,次回の更新は6月下旬の予定です.では.