べっく日記

偏微分方程式を研究してるセミプロ研究者の日常

電動ワインオープナーを買った。

先日、特別定額給付金が振り込まれました。私の場合は、新型コロナウィルスで家計が急変したわけではないので、本来の趣旨を鑑みれば、特別定額給付金をもらう対象からは外れるのですが、まあいいお小遣いを貰えたと前向きに捉えようと思います。最初は10万円をすべて宝塚記念に使おうかなと冗談を言ってましたが、いろんな人から止められたので、結局日用品だったり、ちょっと欲しいなあと思ってたものを買いました。

 

買ったものは何かというと、電動ワインオープナーです。

 

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というのも、以前従兄弟家にお邪魔した際、ワインを飲んだのですが、その時電動ワインオープナーを使いました。あら、これは大変便利だわ。と思ったので、買ってみた次第です。

 

引っ越してから、ワインを飲もうと思ったら、ワインオープナーがなく、いつもだいたいキャップ式のワインを飲んでました。まあキャップ式のワインといえばディアブロ一択ですね。

 

 

ただ、先週末くらいに、ふとエヴォディアを飲みたいなとなりました。

 

 

そこで、「ふつう」のワインオープナーを買おうと思ったら、思ってたより安くなく、せっかくなら電動のやつを買おうという考えに至ったわけです。

 

今回買ったやつは、USB接続して充電するタイプなので、従来の電池式よりも少し軽いのが特徴です。値段も2000円程度と、大変お手頃価格です。

 

 

Amazon で注文したのですが、置き配をお願いしてたことをすっかり忘れてて、段ボールが雨ですごく濡れてしまいました。中身に問題がなかったとはいえ、今後は少し気をつけたいところです。

 

ところで、よく見ると、この電動ワインオープナーは父の日用のプレゼントみたいですね。私も父に何かプレゼントを送ろうか考えましたが、現在父はタイに単身赴任してるので、何かプレゼントを送るのは難しいですね。振り返ってみると、父に一度もプレゼントをあげたことがないような気がします。私はお賃金をいただくようになったので、何かあげたいなあとは思ってますが、なかなか会えないのはちょっと難しい気もします。まあ、いまのところ「これをあげたい」というのはないので、父が一時帰国するまでにいい案を考えておきたいと思います。

研究進捗2020/6/25

先日都道府県をまたぐ移動の自粛が解除されたので,数か月ぶりに実家に行きました.少しは思い出に浸れるのかなと思いましたが,ただのんびり過ごして終わりました.置いてあった荷物を持ち帰りましたが,肝心の学位記を忘れてしまいました.今度帰った際は忘れないようにしたいものです.


<これまでの進捗>

・イケメンドイツ人のTさんとの共同研究が始まった.最終目標は,有界な Lipschitz 領域において,Stokes 作用素 L^p, ( 1 < p < 3 + \varepsilon), で有界解析半群を生成することを示し,特に領域が convex であれば  p の範囲を  1< p < \infty に取れることを示すことである.すなわち,Maz'ya の予想(Integr. Equ. Oper. Theory (2018), Problem 66)を肯定的に解決することである.彼はすでにいくつかのアイディアを持っているので,彼のアイディアをもとに(彼に依頼されたことを)少し計算した.論文になるまで数年くらいかかりそうだけど,いい論文になると思うので頑張ろう.いまのところかなり足を引っ張っているので,もう少しいろいろ勉強しつつ取り組みたいところ.

・Contact line problem で少し混乱したところがあったので,Galdi 先生に論文の原稿と分からない点を聞いてみた.理由は分からないけど,どうやら今できているところまでで "I read your manuscript and, as a first result on this difficult topic, I find it valuable." という大変ありがたいコメントをいただいた.ということで,とりあえずモデル問題までで論文をまとめた.チェックが終わって問題なければ投稿しよう.

・圧縮・非圧縮二相流の時間周期の存在の論文の執筆を始めた.存在だけだとあまり面白くないのかなと考えたけど,業績が足りないので,とりあえず書いてみよう.

<今後の目標>

・時間周期解の論文をまとめる.

・共同研究を進める.

・Contact line problem の計算を進める.できれば Bent space の解析は終わらせる.


先日ようやく後期の講義ノート(draft)の作成が終わったので,今後はしばらく研究に専念することができそうです.周りを見ているとみんなポンポン論文を書いているので,私も頑張らなければいけません.次回の更新は8月下旬を予定しています.では.

博士課程を振り返ってみる。

修士課程や博士課程の学生というのは,助教や助手,ポスドク等の先輩から学べることが多い,と個人的に考えていますが,新型コロナウィルスの影響で大学に入構できない日々が続いていることもあり,その機会が損なわれている気がします.そこで,今回は志向を変え,自身の博士課程生活を振り返ってみて,自身が意識的に取り組んでいたことなどを書き連ねていこうと思います.といっても,私自身は今年の3月に学位を取得したばかりなので偉そうなことを言える立場ではありませんが,この記事を読む同期や先輩方は温かい目で読んでください.なお,表現が雑な箇所があったりするかもしれませんがご了承ください.なお,以下面倒なので敬体を用いません.

そもそも私はどんな学生だったか

いまでこそ,偉そうに「よくわかる測度論」とか「よくわかる関数解析」とかいう記事を書いているけど,学部生のころはサークルやバイトに明け暮れる典型的な大学生だった.そのせいかもしれないけど,学部3年生の秋ころにようやく極限の定義(学部1年で習う内容)を理解したし,修士1年の夏ころまでナブラと発散の違いをよく理解していなかった.しかし,なぜか「博士号は欲しい」と考えていた,今振りかってみるとよくわからない学生だった.でも,大学院に進学してからようやくいろいろ理解できるようになった.と,何を言いたいかというと,私はそんなに優秀じゃなかったということを念頭において以下記事を読んでください.

まず読むもの

修士課程や博士課程の学生にありがちな誤りとして,ただ闇雲に頑張るというのが挙げられると思う.もちろん,それが良くないというわけではないけど,あんまり効率的でない......というか,ちょっともったいないな,と個人的に思う.博士課程だけでなく,修士課程の学生にも次の本を強く薦めたい.

道は開ける 新装版

道は開ける 新装版

これらの本から学べることは多いと思う.というより,かなり参考になった.博士課程の学生はいいから黙って買って読みなさい.また,昔少し紹介したように,テレンス・タオ先生のキャリアアドバイスも大変参考になった.これもいいから黙って読みなさい.

リンク:Career advice | What's new

以下述べることはこのキャリアアドバイスを踏まえたうえでの,自身の体験談がベースになっています.

とにかく頑張る

世界一の数学者(といっても過言でない)テンレンス・タオ先生が Work hard で述べているように,数学に王道はなく,自分の直感と厳密な数学がうまくマッチする段階に到達するためにはハードワークが欠かせない.私はまだこの段階には到達できていないけど,たぶんそうなのだろう.博士課程に進学すると感覚がマヒしがちだけれども,学部時代の同期はほとんどが社会に出て,国や会社,世の中のために一生懸命働いているので,博士課程の学生も彼ら彼女らと同じくらい研究や勉強を頑張らないといけないと思う.修士課程でも少なくとも平日は毎日7~8時間は研究や勉強をすべきだと思う.

とはいえ,頑張りすぎて夜型の生活を送っている人をよく見かけるけど,それはやめた方がいいと思う.普通に考えて,他人と接する機会が失われるし,そうすると気づかないうちにストレスがたまる.何より,もし講義を教える立場になったとき朝起きるのがつらいと思う.今のうちに社会人と同じ生活スタイルで一生懸命頑張るべき.朝起きて夜寝よう.

まずは修士論文を投稿できるよう頑張る

博士課程に進学する(または考えている)人の多くの悩みの種は金銭問題だと思う.特に,日本学術振興会の特別研究員(いわゆるDC)になりたいと考えている人は多いと思う.でも,採用者を見ていると,優秀な人は必ず採用されるというわけではないし,半分くらいは運だと思う.ただ,DCの採用者を見ると,修士論文の内容がどこかのジャーナルにアクセプトされているので,この記事を読んでいる修士課程の学生は,修論の内容をどこかに投稿できるように研究を頑張ればいいと思う.

あまり知られていないけど,日本学生支援機構の第一種奨学金の返済免除の数は年々少しずつ増えているので,金銭面がネックな人も少し思いとどまってほしいと思う.こっちの場合は,頑張りが報われることが多いと思う.

研究に飽きたらどうするか

修士課程では,勉強していないことがかなり多くあり,また指導教員とゼミをすることも多いので,「研究に飽きる」ということはほぼないと思う.ところが,博士課程に進学するとこのようなことが起こりがちである.博士課程では修士課程の研究内容の続き「以外」も研究しないといけない(はず)なので,こうなるのは仕方ないことだと思う.そこで私が提案したいのは「何かしら勉強すること」である.

修士課程時代は,指導教員から掲示(?)された文献を一生懸命理解するのに時間を使ったけど,博士課程では「何を勉強しなければいけないか」を自分なりに探さないといけないと思う.自身の研究のためになるようなことでもいいし,全く関係ないことでもいい.とにかく,研究に飽きた場合は「何かしら勉強する」ことで,時間を無駄にしないことが必要だ.自分の経験上,研究に飽きてしまうのは研究がうまく進まないときで,だいたいそういうときは自分の理解不足や勉強不足だったりする場合が多い.勉強しても研究が進まない場合は指導教員に相談するか,潔くあきらめよう.また,勉強した内容は LaTeX などでまとめ,PDF 化しておき,いつでもどこでも参照できるようにすれば,ちょっとした空き時間に復習することができるので,そのようにしておくのを強く勧める.

良い論文を読み込む

私が博士課程時代を振り返って唯一後悔しているのはこれです.いいジャーナルに載っている論文はいい論文と限らない,とよく言われているけど,真に受けてはいけない.自分が観測している限りでは,いい結果はきちんといいジャーナルに掲載されているし,ふつうの結果はふつうのジャーナルに掲載されていると思う.学生のうちはどこがいいジャーナルかどうかの判断はつかないけど,通常は SCImagoジャーナルランク を参考にすると思う.

www.scimagojr.com

特に,解析や幾何などの分野ごとのランキングも表示できるので,参考になると思う.少なくとも数年にわたって Q1 であれば安心だと思う.いい論文はいろいろ勉強になるし,数学だけでなく,論文の書き方も学ぶことができ,一石二鳥である.個人的には,Pruess 先生の次の論文(と本)はもっとしっかり読むべきだった(今読んでいる).

link.springer.com

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/03605302.2013.821131

www.springer.com

結果はこつこつ出す

まあまあうまくいっている博士課程の学生はこつこつと研究発表しているような気がする.よく「いい結果を出して,いい論文を書くべきだ」と言われるし,私もそう思うけど,博士課程の学生の場合は,時間の制約上,ある程度の妥協は必要だと思う.実際に,業績がないと博士号は取れない(と思う).たしかに,ミレニアム問題のような「大きな」問題を解決できれば一躍有名人になれるけど,研究がうまくいかない可能性が高く,かなりリスキーなので避けた方がよい.D1 のときに O 先生から「大きなプロジェクトと小さなプロジェクト,2つの研究テーマを持つのがよい」という助言をいただいたけど,その通りだと思う.

また,論文の書き方については齋藤宣一先生のホームページにあるメモを参照しよう.

www.infsup.jp

特に,

論文のIntroductionには、考える問題、動機(背景)、結果(の概要)、その新規性、解析方法(の概要)が明快に述べられていなければならない。良い論文はIntroductionが読みやすい論文である

ということを念頭に置こう.

ホームページを作り,Research Gate のアカウントを作る

どこかで研究発表したり,論文が掲載されるようになったら,自身のホームページを開設しよう.これは,大学の先生方が外部向けに公開しているのとは目的が異なり,自分の記録のためになる.実際に,記録をまとめておくと,様々な申請書を書く際に役立つ.また,運が良ければ,講演依頼が来るかもしれない.

自分の結果を他人に知らせるだけでなく,他人の結果を能動的に知ることも研究を進めるうえでためになる.競合する研究グループの研究結果を知っておけば,論文を書く際に,自分の研究結果を客観的に評価できるようになり,論文を面白く書くことができると思う.このためには,Research Gate のアカウントを作ることを勧める.これは Facebook のようなもので,フォローしている研究者が論文を発表したら,それがわかるようになっている.もちろん,arXivメーリングリストを使ってもいいけど,量が多すぎて見落とすことがしばしばあるので,個人的にはそこまで推奨しない.

最後に

いろいろ研究のことについて書いたけど,やっぱり大切なのは自分の家族や恋人,友人,そして何より自分の健康だと思う.これらは研究よりも優先すべきだと思う.博士課程に進学すると先生方が参加する懇親会に行く機会が増えると思うけど,お酒の量は気をつけた方がいいと思う.と,わかっているけれどもついつい飲んでしまうので,これは今後の課題ですね.

研究進捗2020/04/22

都内に引っ越してから早いもので1か月経ちました.これで大学に行くのも楽だな,と思っていたところに新型コロナウィルスの猛威がやってきました.コロナウィルスと聞くと「まあ風邪のような弱いウィルスでしょ」と思ってしまいがちですが,猫の場合,弱いコロナウィルスが突然変異してFIPという致死率100%のウイルスに代わるので,新型コロナウィルスもこのように突然変異しないことをただ祈るばかりです.ということで,日々の食事は自炊しているのですが,我ながら料理の腕が上がってきたような気がします.





今後は料理だけでなく,数学の腕も上げていきたいところです.



<これまでの進捗>
・博士号(理学)を取得した.卒業式がなくなったのは残念だけど,かといって一緒に写真を撮るような人がいなかったので,まああったもなくてもどっちでもよかったかなという感じ.今後はちゃんと「プロ」になれるよう頑張ろう.


・4月付で講師(任期付)(注:助教相当のポジション)に着任したので,研究活動スタート支援の申請書を書いた.学内の締め切りが4月21日だったけど,当初は4月8日から4月21日まで大学構内立ち入り禁止だったので,念のため7日に書類を提出した.しかし,翌日事務から締め切りが延長される旨の連絡があった.もっとさ,早く教えてよ.書類を一応 S 先生に見せたけど「よく書けてます.このまま出しましょう」と言われた.いや,聞きたいのはそういうのじゃなくてダメ出しなんだよ.まあ,書類はたぶん通るでしょう.


・測度論と常微分方程式講義ノート(英語)を作成した.あんまり自由に発言できるような立場ではなくなってしまったけど,測度の定義からフビニの定理までを半期で扱うのは少々無理がある.


・共著論文がアクセプトされた.

www.sciencedirect.com

やっぱり論文がアクセプトされるというのはうれしいものね.この調子で Q1 ジャーナルに掲載されるような論文をたくさん書きたい.


・共同研究者にコロナが落ち着いたら会いに行っていいかと聞いたら welcome と言われた.また,彼がいま疑問に思っていることを聞いた.もしかしたら共同研究が持続されるかもしれない.もう少し勉強しないと.


コリオリ力付きの圧縮性ナビエ・ストークス方程式をよく考えてみたけど,非圧縮の場合と違って遠心力をきちんと考えないと方程式として意味がないことがわかった.てか,Ngo-Scrobogna の論文間違っているので,粘性がない場合ももうちょい解析が必要な気がする.遠心力の項をどう扱うかが割とカギになりそうだけど,私にはまったくわからない.んー,あきらめるしかないのかな.重み付きの空間でうまく処理できるのかなって思ったけど,重み付きの空間で議論が全部 parallel になるかどうかよくわからない.ちょっと難しすぎる気がするな.


・Comtact line problem はモデル問題の解析がようやく終わった.表面張力付きの半空間のストークスの解の正則性の修正にかなり時間がかかってしまった.特に圧力項と高さ関数の正則性が S 先生の論文では議論が不十分だと思う.また,時間に重みをつければ初期値の正則性を optimal にできるなと思ったけど,計算がかなり煩雑になりそう.Holder の不等式とかがどうなるか,今少し混乱している.



<今後の目標>

・Comtact line problem で,bent space の解析を終わらせる.可能なら線型化問題の解の構成まで.このためには圧力項の正則性をきちんと丁寧に考察する必要がある.今後,S 先生の論文は鵜呑みしないようにしよう.


・Danchin-Mucha の仕事を Korteweg の場合にやってみる.そこまで面白い結果にはならないと思うけど,comvergence rate が少し変わるとか,ちょっとは新しい知見を得られるような気がする.まあ,気が向いたらやってみよう.



今月から NHKラジオ講座で英語を勉強することにしました.

www.nhk-book.co.jp

量が多すぎず,かといって難しすぎず,簡単すぎず,週に3回の放送なので,コツコツ続けられそうでおすすめです.後期は英語での講義週4コマあるので,さすがにそろそろ英会話を練習いなければいけません.オンライン飲み会が当たり前になりつつあるので,オンライン(による)英会話(練習)も当たり前になるのでしょうか.一緒に練習してくれる方,募集中です.次回の更新は6月下旬を予定しております.では.

住民票の手数料免除

この時期、奨学金だったり、就職するときとかに住民票の提出が求められることが多い。いつも

 

「ああ、手続きで必要なだけなのに手数料かかるのかあ。そのお金でコーヒー一杯飲めるよなあ」

 

って何回も思ってた。ただ、母が「タダになる場合があるって聞いたよ」と言うので、実際に調べてみたら、

 

・年金の受給の手続きで年金事務所に提出する場合

・就職時の年齢確認のため、アルバイト先などに提出する場合

 

に限ると、手数料が免除になるらしい。横浜市の場合に関しては、

戸籍や住民票の証明書が無料(手数料減免)になりますか - 横浜市 Q&Aよくある質問集

に記載がある。

 

税金の還付もそうだけど、基本的に申請しないとお得にならない社会だよね。うん。ドラゴン桜にも書いてあったけど、

「頭使わずに面倒くさがってると一生だまされて高い金払わされるんだ」

というフレーズ、大人になってから身に染みて感じるよね。やっぱり勉強って大事なんだなあって思いました。おしまい。

研究進捗2020/2/27

今年も早いもので2か月経ってしまいました.叔母の夫(つまりおじ)が中国の深圳に単身赴任しているのですが,春節のときに一時帰国したということで数年ぶりに会いに行きました.そのとき,従弟に言われて犬の絵を書いてみました.

うん.我ながら立派な絵だと存じます.春節が終わった後帰国する予定でしたが,新型コロナウィルスの影響で一時帰国を延長するそうです.ただ,日本での生活はあまり好きではないそうで「ずっと日本にいるくらいなら転職する」と言っているそうです.その行動力を見習いたいものです.


<これまでの進捗>

・論文がアクセプトされ,出版された.

www.sciencedirect.com

なんか長い論文(62ページ)になってしまったけど仕方ない.エディターが証明を書けっていうので.

・名古屋で講演した.板書で発表したけど,案の定上手く発表できなかった.今後はどんなに長くてもスライドで発表しよう.

・名古屋出張の翌日は公聴会だった.発表・質疑応答が大丈夫だったので,3月付で学位が取れることになった.でも卒業式やるのかなあ.おそらく卒業式やるとしても代表者のみとかそういう形になるのかな.

・公募はまだ出てないけど,研究活動スタート支援の申請書を書きあげた.内容は問題ないと思うけど,業績が足りてない気がするけど,仕方ない.通っても通らなくても,夏~秋には若手研究の申請書を書こう.

コリオリ力付きの圧縮性ナビエ・ストークス方程式の研究について理解が進んだ.コリオリパラメータには依存しないよう初期速度場を小さく,その他いろいろ条件を課せば,時間大域解を構成できそうなことがわかった.現段階では,時間局所解の存在さえ示せれば完成できると思う.時間局所解の存在はラグランジュ座標に変換すれば解けると思うんだけど,言うほど自明というわけでもなさそう.でもできると思う.応用として,無限遠方で一次増大する初期速度場に対する時間大域解を構成することができる.

・Contact line problem を考えた.Reflection arguments は slip のときのみ有効で,Navier-type slip の場合は無理なことがわかった.いろいろ考えてみたけど,Navier-type の slip 境界条件を扱うには渦度を考えないとダメっぽい.いろいろ計算するとできると思うけど,大変そうなので,まずは slip の場合をやってみることにした.

・線型化問題に対応するモデル問題を考えた.Contact line が生じる場合は,対応するレゾルベント問題の一意可解性を示すことができても,解の評価を得るのが意外と大変そうなので,レゾルベント問題を考えずに解を構成するのが本質的であるような気がする(たぶん).

・半空間の結果を引用するべく,Prüss-Simonett の分厚い本を読んでみたけど,ちょっと間違っているみたいだな.実際に,彼らは time-weight 付きの最大正則性定理,つまり maximal  L_{p, \mu} - L_q theorem を得ているけど,time-wieght  \mu に対する仮定と,整合条件(conpatibility conditions)が存在するための条件が間違っている.例えば,Dirichlet 境界条件の場合は  \mu \neq 3/(2p) の代わりに  2 \mu/p + 1/q \neq 2 を課さなければいけないし,整合条件が存在するのは  \mu > 3/(2p) ではなく  2 \mu/ p + 1/q < 2 が成り立つときだと思う.

・半空間の自由境界条件付きの Stokes 方程式は指導教員がずっと研究しているけど,彼の結果はいろいろ optimal でないと思う.実際に,trace を考えると空間指数だけでなく,時間指数についても補正を考える必要があるし,特に高さ関数の正則性が正確でない.少なくとも,トリーベル・リゾルキン空間を考えるのは MUST だと思う.また,Weis ではなく,Prüss の Fouirer multiplier 定理を使えば time-weight 付きの最大正則性定理を得ることができる.よって,これらをすべて直して,LaTeX でまとめた.Time-wight はもとの自由境界問題の初期値の regularity を optimal なものにするのに欠かせないと思うんだよな.彼はそこまで考えてなさそうだけど.

・Quarter-space でのモデル問題の解析も済んだ.Trace の Trace を考えるのが本質的だと思う.ただし,Trace の Trace の存在を保証するにはいろいろ条件が必要で,いわゆる L^2-framework は,reflection argument を考える限り,contact line problem では全く機能しないと思う.


<今後の目標>

・研究活動スタート支援の公募が出たら申請書を書く.もし大幅な変更がなければすぐ書き終わるので,10回以上見直す.できれば講義が始まる前の3月中には完成させたい.

・Contact line problem の線型化問題に対する解析を終わらせて,LaTeX でまとめる.頑張って秋くらいには論文を完成させたいところ.難しいと思うけど,できれば CPAM に投稿したい.

コリオリ力付きの圧縮性ナビエ・ストークス方程式の時間局所解の存在を示す.



弟 b がゴール裏のコールリーダーになったようです(母情報).弟 a の方は太鼓たたいてたと思う.エゴサしてみるといろいろ文句言われているみたいだけどめげずに頑張ってほしいところです.でも去年みたいに乱闘は起こさないでほしいところです.次回の研究進捗報告は4月下旬を予定しております.では.

かっこいい修論の書き方(数学編)。

修論の提出時期が近づいてきました.研究室の後輩の(書きかけの)修論を見ていると「こうするともっと見栄えが良くなるのになあ」と思う部分が多々あります.後輩一人一人に説明するのは大変だし,一昨日公聴会が(たぶん)無事終わって時間に少し余裕が出てきたので,今回は「どうすればカッコよく修論を執筆できるのか」をブログに簡単にまとめておこうと思います.予め断っておくと,あくまでも数学専攻の学生向けに説明を行うので,他分野,特に工学などの学生には当てはまらない部分が多々あるかもしれません.

LaTeX をインストールする

修論をカッコよく執筆するには Word ではなく LaTeX を使う.Word と LaTeX,どちらでもいいじゃないか,と言われるかもしれないけど,数学専攻ならば LaTeX を使おう.最近になって Word の数式モードでも LaTeX と同じコマンドで入力できるようになったけれども,後に述べるようなマクロの定義ができない(いやできるかもしれないけど私は知らない)ので,結果的には Word よりも LaTeX で入力した方が早い(と私は思う).


LaTeX のインストールは例えば私の過去の記事を参考になるかもしれない.

watanabeckeiich.hatenablog.com


LaTeX はいわゆるマークアップ言語で,ホームページを作成する際に用いる HTML と同様にタイピングを行う.慣れてしまえば難しくない.また,TeX ファイルはエディタを使って編集を行うが,デフォルトの TeXwokrs よりも TeXstudio の方が補完機能が充実しているのでそちらの方をおすすめする.人によっては「Emacs とか Atom を自分好みにカスタマイズするといいよ」とアドバイスをもらうかもしれないけど,今からそんなことをしている時間はない.

ざっくりしたテンプレ

LaTeX で論文を書くには次のようにタイピングすればいい.

\documentclass{jsarticle}

% -----------------------------
% 使いたいパッケージ
% -----------------------------
\usepackage{amssymb,amsmath,amsthm}    % 数式を記述するのに必要
\usepackage[abbrev]{amsrefs}    % bibtex の代わりに amsrefs を使う場合には必要
\usepackage{cite}    % bibtex の代わりに amsrefs を使う場合には必要

%\usepackage[color]{showkeys}
%\definecolor{refkey}{rgb}{1,0,0}
%\definecolor{labelkey}{rgb}{1,0,0}

% ほかにパッケージを書く

% -----------------------------
% 定理のスタイル
% -----------------------------

\newtheorem{theo}{Theorem}[section]
\newtheorem{lemm}[theo]{Lemma}
\newtheorem{corr}[theo]{Corollary}
\newtheorem{prop}[theo]{Proposition}
\renewcommand\thefootnote{*\arabic{footnote}}
\numberwithin{equation}{section}

\theoremstyle{definition}
\newtheorem{defi}[theo]{Definition}
\newtheorem{exam}[theo]{Example}
\newtheorem{rema}[theo]{Remark}
\newtheorem{assu}[theo]{Assumption}

% -----------------------------
% マクロの定義
% -----------------------------

% ここにマクロを定義する

\begin{document}

\title{
% ここにタイトルを書く
}
\author{
% ここに自分の名前を書く
}
\date{
% ここに日付を書く
}

\maketitle

% ここに文章を書きたければ書く

\section{セクションのタイトル}

% ここにも文章を書く

\section*{しゃじ}
先生あざお.

\begin{bibdiv}
\begin{biblist}

% ここに参考文献を書く

\end{biblist}
\end{bibdiv}

\end{document}


通常のプログラミング言語では,コメントアウトに # を使うけど,LaTeX の場合は % を使う.最初に書いた \documentclass{jsarticle} は「こういうフォーマットで文章を書きます」というおまじないである.英語で執筆する場合は "js" をとって \documentclass{article} とする.もしフォントのサイズを 11pt に変えたいということであれば \documentclass[11pt]{jsarticle} とかにする.学科や指導教員から何も指示がなければ気にする必要はない.


参考文献については,bibtex よりも amsref を使う方が楽なのでこちらを推奨する.参考文献のデータは Mathscinet から簡単に入手でき,自分で頑張ってタイピングする必要がなく,何よりタイピングエラーは発生しえない.実際に,引用したい論文の Mathscinet のレビューのページを開き,上にある ▼ Select alternative format をクリックして,AMSRef を選べばほしいデータを得ることができる.ただ,ここで得られた情報はいらないもの(例えば issn)を含んでいるので,適宜コメントアウトする.


ここで,\documentclass{jsarticle} と \begin{document} の間の部分をプリアンブルと呼ぶ.ここの部分にいろいろ書いておくときれいにそして早く執筆できるようになる.詳しくは後述.


原稿を執筆する際は \usepackage[color]{showkeys} を用いると編集が楽になる.この下に書いてある \definecolor はラベルとかに色を付けるコマンドである.ほかの色が良ければ適宜変える.個人的には赤色が一番わかりやすいと思う.当然ながら,原稿の最終版(つまり提出する際)はここの部分はコメントアウトしておく.

マクロをたくさん定義する

限られた時間の中でたくさん執筆するにはマクロをたくさん定義するべきと執筆時間を短縮できる.実際に,私は次のようにマクロを定義して論文を執筆している.

\newcommand{\BC}{\mathbb{C}}
\newcommand{\BL}{\mathbb{L}}
\newcommand{\BN}{\mathbb{N}}
\newcommand{\BR}{\mathbb{R}}

\newcommand{\bb}{\boldsymbol{b}}
\newcommand{\bD}{\boldsymbol{D}}
\newcommand{\be}{\boldsymbol{e}}
\newcommand{\bE}{\boldsymbol{E}}
\newcommand{\bF}{\boldsymbol{F}}
\newcommand{\bI}{\boldsymbol{I}}
\newcommand{\bK}{\boldsymbol{K}}
\newcommand{\bM}{\boldsymbol{M}}
\newcommand{\bmm}{\boldsymbol{m}}
\newcommand{\bN}{\boldsymbol{N}}
\newcommand{\bR}{\boldsymbol{R}}
\newcommand{\bS}{\boldsymbol{S}}
\newcommand{\bT}{\boldsymbol{T}}
\newcommand{\bu}{\boldsymbol{u}}
\newcommand{\bU}{\boldsymbol{U}}
\newcommand{\bv}{\boldsymbol{v}}

\renewcommand{\L}{\mathrm{L}}
\renewcommand{\H}{\mathrm{H}}
\newcommand{\B}{\mathrm{B}}
\newcommand{\W}{\mathrm{W}}
\newcommand{\C}{\mathrm{C}}

\newcommand{\CA}{\mathcal{A}}
\newcommand{\CD}{\mathcal{D}}
\newcommand{\CF}{\mathcal{F}}

\newcommand{\pd}{\partial}
\newcommand{\wt}{\widetilde}
\newcommand{\wh}{\widehat}
\newcommand{\dv}{\mathrm{div}\,}
\newcommand{\supp}{\mathrm{supp}\,}
\newcommand{\dx}{\,\mathrm{d}x}


マクロを定義するコツはなるべく短く定義することである.長くなったとしても 5文字以内には収めたい.

文章を執筆する

文章を執筆するには Word と同様に文章をタイピングすればよい.ただし,数式を用いたい場合は少し工夫しなければいけない.文章中で数式を使いたい場合は次のように数式を $......$ で挟む.

関数 $f$ の微分を $f'$ と書く.


気を付けるべき点は $......$ の前後には半角のスペースを入れることである.入れなかった場合は文章が窮屈に見える.また,よくありがちな間違いとして,文章も $......$ と挟むことが挙げられる.つまり,先程の例でいうと

$関数 f の微分を f' と書く.$

というのは誤りである.


もちろん,出力結果は同じように見えるけど,スペースが微妙にずれていて,こう書いた場合は文が窮屈に見える.これは,$......$ の中ではスペースが無視されることに起因する(つまりスペースを入れても出力には反映されない).


また,よくありがちなミスとして,文章の冒頭を記号から始めてしまう人がいる.先程の例でいうと,

$f$ の微分を $f'$ と書く.

と書く人がいる.これはあまりよろしくないので,文頭はきちんと文字からスタートしなければならない.これは式番号も同様で,

(1.11) より $f = g$ が成り立つので~.

ではなく,

式 (1.11) より $f = g$ が成り立つので~.

としなければならない.このあたりの注意点に関しては私の過去の記事が参考になると思う.

watanabeckeiich.hatenablog.com



文の中で  f (x) \to 0 as  \lvert x \rvert \to \infty と記述する際に, \lim_{\lvert x \rvert \to \infty} f (x) = 0 ではなく, \displaystyle  \lim_{\lvert x \rvert \to \infty} f (x) = 0 のように \displaystyle を使いたがる人がいるけど,文の間隔がバラバラになり,見栄えが悪くなるので使うべきでない.その他の注意点は「数学の常識・非常識—由緒正しい  \TeX 入力法」を参照のこと.

リンク:http://www.math.tohoku.ac.jp/tmj/oda_tex.pdf


さて,数学の場合,文で説明するだけでなく,独立した式を用いて証明を述べることが多い.この場合は amsmathの数式環境を用いる.この使い方は剱持先生の

qiita.com

を参照のこと.


最後にインデントについて説明する.文章を執筆するということは適宜段落を分けることが求められる.LaTeX の場合は空白の行を入れることにより自動的にインデントされる.つまり,段落を変えたい場合は次のように記述する.

段落1
% 空白の行
段落2

しかしなら,これは「空白の行を入れたらインデントされてしまう」ということを意味する.したがって,意図しないインデントが発生する可能性がある.これを排除するためには空白の行を作らない(つまり,\maketitle の後は空白の行を作らない)ことを推奨する.では,どのようにすれば段落を変えられるかというと \par を使えばよい.具体的には,

段落1 \par
段落2

とすればよい.


LaTeXプログラミング言語ではないので,文章を記述する際に改行が果たす役割は大きくない.ゆえに,文章を記述する際に改行を行うのは 1. 段落を変えるとき,2. 数式環境を使うときに限るのが良いと思う.例えば,

むかしむかし~~~.
桃太郎は~~~~~.
鬼が~~~~~~~.\par
段落2

のように,適宜改行するのではなく,

むかしむかし~~~.桃太郎は~~~~~.鬼が~~~~~~~.\par
段落2

のように段落を変えるときだけ改行するのがいいと思う.ちなみに,\\ による強制改行はインデントされないので,段落を変えたいは何があっても使ってはいけない.

表紙だけを Word で作成したい場合

修士論文のような学位論文の場合,学科によっては表紙のフォーマットが決まっていることがたまにある.この場合はフォーマットを LaTex で実現させるよりも Word で作成してしまった方が早い.Word で作成した後はそれを PDF 形式で保存し,それを Tex ファイルに挿入すればよい.このためにはプリアンブルのところに

\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
\usepackage{pdfpages}
\usepackage{afterpage}

を書く.これにより PDF ファイルの挿入が可能になり,挿入したいところで

\includepdf{ファイル名.pdf}

と書けばめでたしめでたしとなる.

参考文献

最後に,文章を書く上で参考になりそうな本をいくつか紹介する.まずは,一般的な文章の書き方を学べる本として

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

が挙げられる.


英語で執筆する場合は

科学英文技法

科学英文技法

が参考になる.今まで英語のライティングに関するいろんな本を読んでみたけど,結局のところこの本が一番役立ったと思う.この本を簡単に(自分用のメモとして)まとめたのが過去の記事になる.

watanabeckeiich.hatenablog.com


個人的な考えとしては,参考文献が10以上あって30ページ以上書いてあれば,(数学の)修士論文としてはまあまあ立派だと思います.先輩の F さんや S さんのように 100 ページ近くも書く必要は(おそらく)ないと思います(というか私は彼らほど書いていない).後輩の皆さん頑張ってください.では.